タカ→綾 今日もまた―何度フラれてもめげずに―、綾ちゃんに「好きだよ」って伝えたら、 「何で僕なんですか」 って返って来た。 正直、それが簡単に説明出来たら、こんなに苦労してないと思う。 綾ちゃんは、綺麗で可愛い。だけど見目だけなら、他にも綺麗な子や可愛い子は、この学園内でも結構居る。 しかも、オレ好みの綺麗な髪をした子も、それなりに。 「オレの方を見て欲しいと思った」 では、「何故」の理由にはならない。 「不思議な雰囲気が気になった」 も、動機としては弱い。 それでもオレは綾ちゃんのことがすごく好きで、綾ちゃんに振り向いて欲しいと切望している。ただそれ だけが真実で、何でこんなにも綾ちゃんを好きになったのかは、自分でもよく解らない。 でも、ほら、「惚れたが因果」って言うし、つまりはそういうことだと思う。理屈なんか抜きにして、 オレには綾ちゃんしか見えない。そういう答えじゃ、納得してもらえない、かな。 (綾部が墜ちるちょっと前。ようやくほだされてきて、少し前向きに向き合ってみようかと考えた辺りかと) 孫兵→藤内 忍術学園に入学した当時は、じゅんこや他の虫達さえいれば充分で、人への興味は一切無かった。 学年が上がるにつれ、委員会の先輩後輩や、同期などにも多少興味を持つようになり、今や互いに「友人」と 呼べる相手が居るのは、僕が歩み寄ったというよりは、周囲が僕を気に掛け、関係を築こうと、根気強く接し 続けてくれた結果なのだという。そう教えてくれた―というよりは、説教してきた―のがお前で、その時は ハッキリ言って「面倒くさい」と思ったが、少しだけ周囲に目を向けてみた所、普段のお前はそのような熱い 言動をする性質ではなく、どちらかと言えば冷めた印象で、あまり目立たずむしろ他が強烈過ぎて霞んですら いるのだと知って、微かに興味が湧いた。 それが他人に興味を持ったきっかけで、今でも一番興味深いのは、実はお前だったりする。 何故、そんなにもお前のことが気になるのか。そう考えてみたのはつい最近になってからだが、つまりコレは いわゆる「恋」というものに起因しているのだろう。というのが、今の所の結論だ。 かといって、いきなり伝えても困惑するだけだろうし、他の奴らとの関係にも影響しそうなので、もう少し 様子を見てからにしようと思っていたのだが、つい 「人の中では最も好ましいと思っている。もしくは、唯一『愛おしい』と感じた人間だ。そう言ったら、 僕のものになってくれるか?」 などと告白してしまったのは、他にもお前に想いを寄せている奴が友人達の中に居ることに気付き、そいつに 奪われたくないと、無意識で焦ってしまったのだろうな。 確かに、そういった言動は僕の柄ではない。けれど、「惚れたが因果」ということで、多少無理をしてでも 手に入れたいと考えた。「恋」とは本来、そういうものではないか? (5〜6年時かな。あえて相手は伏せましたが、察せるのではないかと ※告白部だけ、以前書いた『斑雪』のを使用) 藤内 読み物や噂話に出てくる恋や、実際に誰かに恋している、もしくは互いに想い合う先輩後輩を、羨ましく 感じたことはある。だけど自分が誰かに恋する日が来るとは思えなかったし、想いを寄せられていること には気付いていても、それに応える気にもなれなかった。 その筈なのに、いつの間にか1人だけ、無意識の内にその姿を探すようになり、些細な言動に一喜一憂し、 傍に居ることが嬉しくて、想いを寄せられていることを心地好く感じていることに気が付いた。 それが、いつからそうなのかは覚えていないし、向こうが気付いているかも解らない。そして、本人にしろ 他の誰かにしろ、気付いてそれを指摘してきたりしたら、もう今まで通りではいられない。 1人を得る為に、他を喪いたくはない。けれど、気付いてしまった以上は、この想いを捨てることは、多分 出来ない。 「惚れたが因果」とはよく言ったものだが、そんな風に割り切ることなんか、出来やしないんだ。 (5年頃。相手は同期の誰か)オマケ 三之助と四郎兵衛 滝夜叉丸先輩が、美人で面倒見が良くて、目上には礼儀正しい ってのは、まぁ事実だと、俺も思う。でもやっぱり、自信過剰で、 自慢話が長くて、自己中気味な性格はウザいとも思う。 だから、普段結構面倒見られてるけど、同じ位自慢話にも 付き合わされてる金吾が、あんなに心底惚れている理由が、 さっぱり解らない。 けど、しろなんかが言うには、 「まぁ、『恋は盲目』とか、『惚れたが因果』って 言いますから。それに、あの自信過剰なところが、 いっそ可愛いと思えなくも無いんじゃないですか?」 だそうだ。よく解んねぇけど、アノ性格を可愛いと思えるのは凄いな。 「先輩も、いつか誰かを好きになれば解りますよ。欠点も、何もかも ひっくるめて、その相手を愛しいと 思えるのが、『恋』ってやつです」 (金→滝に関する、他人事恋愛談議。 成長っぽいけど、現在でもアリな気が…… 体育の恋愛観は、多分下級生の方が大人。 というか、三之助(と左門)は興味が無いので、 学年でも委員会でも、基本的に蚊帳の外)
五万打記念企画柳佳姉さんリク 「三年の誰かorタカ綾で、ほんのりラブ話がみたいかも」 とのことでしたので、両方書いてみました。(全部片想いっぽいけども) どれも『斑雪』(女体化)仕様でも、通常版でもアリな書き方にしたつもりなんですがどうでしょう? (というわけで、『斑雪』と『皆の間』の両方に置いときます) 2010.3.11 「惚れたが因果」……惚れたのが運の尽き。好きになったのだから仕方がない。