1年は組は、よく事件に巻き込まれる。
	その原因の多くは、怪しい老人とか困っている人に声を掛けた所為らしいけど、そんなもの無視すれば
	良いだけだと思う。
	「触らぬ神に祟りなし」って言うんだから、関わり合いにすらならなければ、巻き込まれることも無い。って、
	何で解らないんだか。

	(1い→1は)




	1年い組の子達は、確かに成績が良くて優秀だと思う。
	けど、だからといって、は組の子達を見下して馬鹿にするのは、どうかという気がする。
	実際に何か事件に巻き込まれたり、学園長の思い付きの行事の時なんかの時には、どう見てもは組の子達の
	方が、慣れているから臨機応変な対応が出来るし、顔も広い訳だし。
	だから「頭でっかち」とか「口先ばっかり」みたいに言われて自尊心をへし折られたくないなら、ある種の
	「触らぬ神に祟りなし」ってことで、わざわざ馬鹿にしてケンカを売らなければ良いだけじゃないかなぁ。
	とか、思わなくもないんだけど、どうだろう?

	(1ろ→1い)



	ろ組は、何か暗い以外にそんなに特徴も無いし、僕達に対抗意識も持っていない。
	というか、最近は結構僕達寄りになってきている気がしなくもない。
	けど、やっぱり控えめで大人しいよね。と言ってみたら、
	「うん。あのね、斜堂先生に、ばっちいものだけじゃなくて、危なそうなものにも近付いちゃいけません。って
	 言われてるから」
	ってことで、どうも「君子危うきに近寄らず」と「触らぬ神に祟りなし」が、斜堂先生の教えで、ろ組の信条
	みたいな感じになってるらしい。
	うん。まぁ、確かに間違ってはいない感じだけど、何か遠回しに僕らだけじゃなくて、過激で変わり者の先輩方
	までひっくるめて馬鹿にされたような気がするのは、うがった解釈で、ひがみかなぁ。

	(1は→1ろ)




	「なぁなぁ、数馬。善法寺先輩のコーちゃんって、アレ本物かどうか知ってるか?」
	「さぁ、知らないけど、興味があるなら自分で訊けば?」
	「数馬は興味無いのか?」
	「興味無いっていうか、伊作先輩に関することは、何か訊かない方が良さそうなことが多い気がするから、
	 気にしないようにしてるんだ」
	「あー、『触らぬ神に祟りなし』ってやつか」
	「そういうこと」
	「……関わり合いにならないようにしているのに、神の側からちょっかい出してくる場合は、どうしたら
	 良いんだろうな」
	「その『神』って、立花先輩のことか?」
	「ものすごくその表現が似合い過ぎてて、何か怖いな」
	「立花先輩だけじゃなくて、綾部先輩や、1年の連中もだけどな」
	「作法委員会に入った時点で、自ら関わってしまったことになるんじゃないのか?」
	「……。孫兵、それは言っちゃダメだよ」
	「というか、保健や作法に限らずどこの委員会の委員長も、結構『触らぬ神に祟りなし』って感じだけど、
	 向こうから関わってくるから逃げられない気がしないか?」
	「確かにうちの七松先輩も、そんな感じかもなぁ」
	「だな」
	「そうかなぁ。体育と会計は認めてもいいけど、用具と図書は、かなりマトモな方でしょ」
	「ああ。食満先輩は、潮江先輩とケンカしてる時以外は、作が勝手に疑心暗鬼に駆られて暴走してるだけだし、
	 中在家先輩は図書室の規則と返却期限さえ守っていれば、かなり真っ当な部類に入るよな」
	「うちの竹谷先輩も、それこそ『触らぬ神に祟りなし』で、ある一定の要素に引っ掛からない限り、比較的
	 マトモな方だと思うが?」
	「比較的、ね」
	「一番おかしいのは鉢屋先輩だけど、5年生も6年生並に変わった人ばかりだし、やっぱりどこかズレているもんな」

	(3年)




五万打記念企画 おりづる様リクエスト 「皆の間/1年か3年/触らぬ神に祟りなし」 誰で書くかを悩んだ結果、何かよく解らない感じになってスイマセン。 1年は特に誰だかは特定せずに書きましたが、 左伝のどちらか、伏以外、伊助か金吾 辺りだと思います 2010.6.7