『がたがたの竹馬小僧』


貧しい粉屋が王様とお茶をする機会を得たときに、見栄を張って
「私の娘はわらを紡いで金に出来ます」とうそをつきました。
すると王様は面白がって娘を城に連れて来させ、わらを紡いで金にするようにと命じました。

しかし当然娘はそんなことは出来ないので途方にくれて泣いていると、小人が現れて代わりにわらを
金にしてやろうと言い、その代わりに一度目は首飾り二度目は指輪を娘は小人にやりましたが、三度目
には何もあげられるものがなくなってしまいました。
王様はわらを金に出来なかったら殺すと娘を脅し、そのかわり三度目には成功したら王妃にしてやると
約束していました。そこで小人は、娘が王妃になったら最初の子供を自分にくれないかと言ってきました。
娘はほかにあげられるものもなく困っていたので、小人の言うとおり約束をしましたが、子供が生まれて
その子を小人がもらいに来ると、手放したくないと思いました。
子供さえ奪わないならどんな宝物だってあげるといっても小人はダメだと言うので、王妃は泣き出して
しまいました。すると、小人もさすがにかわいそうに思ったのか、三日以内に自分の名前を当てられたら
見逃がしてやろうといいました。
そこで王妃は知っている名前を必死で思い出し、国中の名前を調べ、何か変わった名前を探してくるように
使者を出して小人の名前を当てようとしたのですが、小人はどんな名前を挙げても
「おいら、そんな名前じゃないよ」
と言うばかりでした。
しかし三日目に戻ってきた使者が、森の中で

今日はパン焼き、明日はとうじ(酒造り)、
あさってはひっつぁらう、きさきのこわっぱ、
やんれ、うれしや、俺の名が、がたがたの
竹馬小僧とぬかすのを、
どいつもこいつも知り申さぬ

と歌いながら踊り狂っている小人を見たと報告しました。
 そこで王妃が、現れた小人にいくつかどうでもいい名前を挙げた後
「ルンペルシュティルツヒェン(がたがたのたけうまこぞう)とでもいうのかい?」
と言うと小人は体を自分で真っ二つに引き裂いてしまいました。