「秋って良い季節だよねぇ。暑くも寒くも無いし、美味しい物いっぱいだもん」
	「そうだな。元手タダの山菜や栗や柿とかが、町で良い値で売れるもんな」
	「……うん。台風直撃で薬草園に甚大な被害が出たり、雨の中鍛錬や自主練や委員会に出て、風邪を引いたり
	 怪我をする生徒が増えたり、なのに雨の中迷子になった友達を探しに行った先輩が、滑って転んで手首を
	 捻挫した挙句風邪を引いたりしなければね」
	「そっかぁ。大変なんだね、乱太郎」
	「そこまで重なるのもすげぇよな、保健委員会って」
	「どうせ、『不運委員会』だからね」

	@保健



「きり丸、怪士丸、久作。中在家先輩と松千代先生がね、今年の読書週間の本を選ぶのを君達に任せたい。  って仰っていたから、よろしくね」 「え。僕らがですか?」 「うん。僕じゃ悩んじゃって全然決められないし、先輩や先生は色んな本に詳しいけど、やっぱり毎年じゃ  偏っちゃうからね」 「それって、何の本でも良いんスか? 例えば、金儲けに使えそうなのとかでも」 「うん。みんなが他の人にお勧めしたい本だったら、どんな本でも良いことになってるよ」 「あの、えっと、先輩方は、助言とか相談には……」 「もちろん乗るから、悩んだらいくらでも聞いてくれて良いよ。でも、やっぱり僕よりは先輩か先生の方が  良い気もするけど」 @図書
「兵太夫。それ……」 「秋の新色フィギュアと、デコ鍬と僕の新作の、どれのこと言ってるの伝七?」 「ケバイ首実検用のフィギュアのことだけど、後の2つは何」 「んー。『芸術の秋』ってことで、さっきまで先輩達と色々遊んでた産物だけど?」 「首フィギュアや鋤を飾るのはともかく、お前のカラクリのどこが『芸術』なんだよ」 「はぁ? 何言ってんの。立花先輩監修の、この秋の最新作にして最高傑作の装置だよ。芸術に決まってるじゃないか」 @作法
「だいぶ涼しくなってきたから、委員会も楽になりましたね。って言ったら、滝夜叉丸先輩にも金吾にも 『信じられない』って顔されたんだけど……」 「当たり前だろ。『運動の秋だ!』とか言って、いつもの倍の距離走ったり、バレーもそれ以外も力が  入りまくっているから、連日満身創痍で医務室に来てるし、授業中も居眠りばかりだって、乱太郎や  三反田先輩からも聞いてるぞ」 「……。そのトンでも無い委員会に行く前に、あんなにがっつり食べてるしろを見ているだけでお腹いっぱいに  なって来たのは、僕だけか?」 「いや、僕もだ三郎次。『食欲の秋』だからって、どこにあんな量が入るんだろうな」 @体育
「あの、食満先輩」 「どうした平太。雨漏りしてるっていう倉庫は、お前らじゃ無理な位酷い状態だったのか?」 「えっと、そうじゃなくて、しんべヱが屋根を踏み抜いちゃって、僕らだけじゃひっぱりあげられないんで、  先輩を呼んでくるように、富松先輩に言われたんです」 「……何で、しんべヱが屋根に上ったのか訊いても良いか?」 「雨漏りで湿ってるせいで、ナメクジとかがいっぱい居たので、喜三太ははしゃいじゃって役に立たなかったし、  僕はばっちくて近寄れなかったんです。ゴメンナサイ」 「そうか。それは、任せた俺が悪かったかもしれないな」 「そんなことは無いと思います。やっぱり、ちゃんと委員会の仕事が出来ない僕らが悪いんです」 「いや、でも……まぁいいか。ひとまずしんべヱを助けて、拡がった穴をさっさと直さないとな」 @用具
「……松虫だな」 「正解です! じゃあ、次。コレは何の泣き声でしょう」 「クツワムシは、僕で無くても解るだろう」 「まぁ、そうですよね」 「お。何してんだ?」 「竹谷先輩。伊賀崎先輩と、秋の虫の鳴き声当てしてたんです」 「そうか。楽しそうだな。俺も挑戦して良いか?」 「はい! じゃあ、後ろ向いてて下さいね。……何の虫にしようか、みんな」 「そうだなぁ、竹谷先輩も、伊賀崎先輩程じゃなくても詳しそうだしなぁ」 @生物
「……。鉢屋先輩とタカ丸さんが、この秋の流行の服装や髪形についての話に花を咲かせてるのは  いつものことだけど、伊助まで混じっているのは珍しいね」 「そうかな。伊助の家は染物屋だから、着物の色柄の流行りには、結構興味があるみたいなんで、  不思議は無いと思うけど」 「ああ。趣味じゃなくて、売れ筋を探る為か」 「それもあるけど、多分純粋に好きなんだと思うよ。僕は」 「ふぅん。……よく解ってるんだな、伊助のこと」 「まぁ、同じ組で、同室だし、『は組の父ちゃんと母ちゃん』なんて言われてるしね」 「……」 「やきもち」 「え!?」 「いや、だから、勘ちゃんから、『餅焼けたから食べに来い』って」 「あ、ああ。ありがとうございます久々知先輩」 「……庄左ヱ門。今の彦四郎の反応は何だったんだ?」 「さぁ、何でしょうね。でも、多分しばらく放っておくのが一番良いと思いますよ」 「そうか」 「ええ。そうです」 @火薬&学級
「連日、隈が濃くなっているな三木ヱ門」 「ああ。……上半期の締めが、終わらないんだ。その上、涼しくなってきたとはいえまだまだ気温は  高めだから、池で寝ても風邪を引くことは無いとか言って……」 「大変だな、お互いに。……そろそろ、善法寺先輩辺りにお願いして、睡眠薬でも盛ってもらうか」 「お前の所はそれでどうにかなるかもしれないが、うちは修羅場が伸びるだけだから、その案に賛成する気は無い」 「そうか。それではまぁ、精々頑張るのだな」 @体育&会計 元拍手御礼 各委員会の秋の風景でした