地球時間2014年夏。
誰がどういう技術を駆使したのかわからないが、地球某所とM78星雲光の国に、期間限定の直通ルートが
設けられ、『入国証』さえ所持していれば、誰でも行き来できる状態になっていた。
そんな訳で、「遊びにおいでよ」と、知人である警備隊員から入国証が送られて来たので、都合を合わせて
光の国を訪れた団体客が2組居た。

1組めは、ガイアから入国証をもらった強き竜の者達with獣電竜ご一行で、いつもの6人に加え、紫祖父孫に
美琴や福井母娘とキャンデリラこと喜美子嬢とラッキューロまで含む大所帯―尚、一応2代目グレーの津古内
真也も誘ったが、締切やらアニメ化と実写映画の打ち合わせやら何やら重なっていて無理だった―で、
獣電竜達は小型化した状態で連れて来ていた。
2組めはヒカルから入国証が届いた幼馴染達+友也で、友也にはジャンナインからも入国証が届いていた。

そんな2組は、初めの内はそれぞれ招待してくれたメンツや顔見知りなどに、光の国を案内されており、
ステージショー後
「……ショウ。ちょっとそこに座って下さい」
と真顔の友也が、淡々とかつ延々くどくどと説教に見せかけたロボット論から「僕のナイン」の話を始め、
友人達―ヒカル除く―の苦笑を買ったり、

「へぇ。近くでゴジラ展もやってるんだね」
『ゴジラさんね、ゴモラとお知り合いで、ガブティラ達の先輩なんだよ』
「そうなの!?」
「そうよぉ。恐竜から進化したんだもの」
「そうか。ゴジラザウルスか」

なんて、意外なような納得出来るような接点が発覚したりなどしていた。


そんなこんなであちこち見て回り、人数多いし関係者の招待客だから、バックヤードの控え室で休憩でもする? 
ということで、裏でまったりお茶を飲むことにした所で鉢合わせた2組を、お互いの知り合いがそれぞれ簡単に
紹介した所、

「美琴さん、歌手なんですかぁ。あたしも、アイドル目指してるんですぅ」
「ありがとう。キャンデリラも、人間態の喜美子さんのモデルはアイドルで、歌姫なんだよ」
「そうなんですか!?  すごぉ〜い」

と千草が目を輝かせたり、

「なんと。こちらの干菓子は、美鈴殿が作られたのか」
「あ、はい。何か差し入れがあった方が良いかな、って思ったので。本当は、練り切りとか寒天を使ったのを
 持って来たかったんですけど、この暑さだとダメになりやすいので」
「すごーい。美味しそうで綺麗。ウッチーもね、お菓子作りが上手なのよ」

と、ヒロイン達(アラサー侍含む)が意気投合したり、健太がイアンにモテる秘訣を聞いてみたり、ソウジが
愛想無しで他のメンツのテンションについて行く気の無い友也に何かシンパシーを感じていたりしたが、
最も波長があったのは

「桐生ダイゴだ。みんなには『キング』って呼ばれてる」
「そっか。俺は礼堂ヒカル。よろしくな、キング!」
「ヒカルも、世界中旅してるんだってな。今まで、どんな所に行ったんだ?」
「そうだなぁ。一番最近ですごかったのは――」

といった感じの、冒険野郎で前向きで人たらしというかフラグ乱立魔。という、属性かぶりまくりの2人だった。

更には、「若い子は順応性が高いなぁ」などと思いながら仲間達を眺めていたノブハルも、

「おや、ノブハルさんじゃないですか!」
「ああ、ナイスさん」
「久しぶりですねぇ。観光ですか?   お時間あるようでしたら、折角ですし私とゼアスくんと一緒に、
 ふれあいステージで漫才とか、あとはラジオやってるのでそのゲストとかしませんか?」

ということで、以前意気投合したナイス(とゼアス)とステージやらラジオにゲストで出たら意外とウケたり、
通りすがりのジャスティスが、優子の顔を見て何やら驚いた表情を浮かべたので「どうかしましたか?」と
尋ねたら
「失礼。知人に、よく似ていたもので」
という、ナンパにありがちな返答が返って来たが、ジャスティスに限ってそういうのはないだろうから、
ホントに知り合いに似てるんだろうな。と思ったら、
「デカイエローさんのことですね?」
との指摘をしてきたのが、何故か通りすがりのボーイだったので、何で分かるのか尋ねようとしたら

「そういや、ギンッギンにウザい銀色の戦隊オタクと、友達になったんだってな、小僧」
「はい!  鎧さんからスーパー戦隊大百科を借りたんです。あと、オキさんとテッペイさんからも
 怪獣図鑑を借りたので、その3冊と、友也さんの怪獣図鑑を参考にして、夏休みの自由研究を
 したいので、貸していただけますか!」

という、納得がいくようでツッコミ所満載で、とりあえず、グレンはメタ発言自重。な説明返って来た。

そして、ボーイ以外にも
「ナインから、友也は怪獣博士だと聞いた」
と興味を持ったらしいレイや、
「タロウ兄さんから聞いたよ。友也くんも、大学に在籍しながら警備隊に所属してるんだってね。僕の
 ところのテッペイさんも、大学生でGUYSの隊員で怪獣に詳しかったんだよ」
と、かつての仲間との共通点に目を輝かせたメビウスが、色々と話しかけに来たが、自分達の知る怪獣オタクとの
テンションの違いに

「レイさんみたいなテッペイさん。って感じだね」
「俺みたいな、オキ?」

との、間違っていなくも無いがそれは……。な感想を抱いたが、ツッコミようが無いのが、保護者達としては
複雑な所だった。

それ以外では、「そこ!  メタ発言自重!」といったノリでグレンとドクターが盛り上がっていたり、美琴が
ゼロの声にビクッとしたり、ヒカルの友人達が
「やっぱりどこかで聞いたことある声なんだよなぁ」
という目でグレンを見たりしたが、概ね実に良い感じで楽しい時間を過ごせた。

そのため、
「夏休みの宿題の絵日記には、今日のことは書いちゃダメよ」
と母優子に言われた理香の、「何で」攻撃がしばらく続いたが、結局「光の国」や「ウルトラマン」、
「獣電竜」などの単語や詳細は書かず
『かぞくみんなで、おじちゃんのおともだちもいっしょに、おじちゃんたちのおしりあいのところにあそびにいきました。
 めずらしいものがいっぱいあって、たのしかったです』
という、当たり障りの無い内容にとどめておき、絵の方も小学校低学年の画力なら、そんなにまぁ問題ないかな。
とのことで、母(+伯父)と娘の双方が妥協したのだった。




ウルフェスぶらつき中に、ふと「キングさんとヒカルは意気投合できそうだよなぁ」と思い、 柳佳姉さんに振ったら他にも色々ネタが出来たので書いてみました。 あと、友也はロボットを悪く言われると、真顔で延々「僕のナイン」の話をすれば良いと思ってます 2014.7.12
以下オマケ ナインが元々友也好きなのはともかく、レイまで何だか友也に懐き、ナイトとジャンは「姫様の居る王族仕え」 ということでビクトリーというかショウにシンパシーを抱いたようで、グレンはまぁ置いといて、出番は概ね ギンガに持って行かれ、遊びに来た強竜メンツにはやっぱりまだ何か警戒され……。ということで、ぼっち気味で ヒマを持て余していたゼロが、デパート脇でダレながら会場内を眺めていると、 「なにサボってんだ、そこのヤンキー」 と声を掛けられた。 「は? サボってねぇし。……って、尊?」 誰がどう見てもサボっているようにしか見えない態度だったくせに、指摘されたら反論しようとした ゼロに声を掛けたのは、旧知の少年だった。 「尊、お前何でこんなとこに居るんだ?」 「お前な。わざわざ来てやったのに、随分な言い草だな。ウチの妖怪クソ親父に入国証を渡したのは、  お前んとこの親父だろ」 少年―諸星 尊―は、ゼロとは一応友人(の筈)で、室町の世から生きているストーカーな元上司の父親に 連れられて光の国を訪れたことは何度かあったが、ひとりで来たのは多分初めてだった。 「妖怪共が『遊びに行ってあげなよ』とかニヤニヤ笑いで言ってくんのがうぜぇから来てやったけど、  お前がそんな態度なんだったら、帰るぞ」 「悪りぃ。来てくれてあんがとな。案内すっから、どっか見てぇとことかあるか?」 「いや。別に無い」 何しろ、ウルトラマンにそんな興味無い男子高校生だからな。とそっけない尊に、それでも折角来たんだから。 と、張り切って会場中を案内して周るゼロの様は、目撃した身内や知人にほぼもれなく生温〜く見守られる レベルだったという(笑)