6年
ある所に、伊作という不運なお姫様が居ました。
伊作姫は、何かいつも雪のように真っ白なトイペを
抱えているので、「白雪姫」と呼ばれていました。
白雪伊作姫を産んだお妃様は、姫を産んですぐに亡くなったことになっていて、
父親の王様(潮江さん/出番これだけ)は、後妻を迎えてすぐ亡くなりました。
その死因は、「後妻に謀殺されたのだ」とまことしやかに
ささやかれていたりしますが、証拠は一切ありません。
当たり前です。伊作姫の継母は仙蔵様なので、
そんな片手落ちなことをするなどありえません。
そんなこんなでも、仙蔵様と白雪伊作姫は、それなりに
上手いことやっていましたが、ある日事件が起こりました。
「鏡よ鏡。この世で最も美しいのは誰だ?」
魔法の鏡に問いかける仙蔵さまは、ハマり役過ぎましたが、
「えっとー。綺麗なのは仙ちゃんだと思うけど、いさっくんも可愛いよね」
考えなしな答えを返したのは、鏡の精の小平太です。
それにムカついた仙蔵さまは、猟師の長次に
「伊作を始末しろ」
と命じましたが、心優しい長次のことなので、姫を
こっそり逃がすだろうことは折り込み済みでした。
そんなわけで、とりあえず城から追い出された白雪伊作姫は、
森の中の保健委員の後輩な小人の家で暮らすことになりました。
そんなある日。白雪伊作姫はリンゴをのどに詰まらせて倒れましたが、
継母の仙蔵様は何もしていません。ただの不運による事故です。
小人たちが嘆き悲しんでいると、通りすがりの留三郎王子が、
とても立派な棺を作ってくれました。そして、それに姫を
納めて埋めようとしたら、小人たちの手がうっかりすべり、
棺が地面に落ちた拍子に、リンゴがのどから取れました。
そして、通りすがりの王子は、あくまでも通りすがりに
棺を作ってくれただけなので、特に何の進展もなく、
姫と小人達は、今まで通りに暮らしていきましたとさ。
おしまい
キャスト
姫…伊
継母…仙
(亡王…文)
鏡…小
猟師…長
王子…留
小人…保健後輩
3年
あるところに、作兵衛という白雪姫がおりました。
「ちょっとまて! 何か色々おかしすぎるだろ!」
尚、苦情は一切受け付けません。先を続けます。
継母は数馬で、鏡に向い訊きました
「鏡よ鏡。ウチの学年で一番苦労してるのは誰?」
「藤内か、作兵衛だろうな」
きっぱり答えた鏡の精は孫兵ですが、間違ったことは言っていません。
「僕だって、『不運委員』とか言われたり、影薄くて大変なのに!」
「……数馬。そんな不幸自慢に勝てたとして、嬉しいか?」
「煩い! 作の苦労なんて、半分はその妄想力から
くる勘違いじゃないか! もうヤダ。出てって」
一応この話においては、数馬は女王様なので、権力があります。
てなわけで、癇癪を起した数馬に「作兵衛を始末してきて」と
命じられたのは藤内です。何か、一番哀れな感じがしますね。
「いや、違うだろ。どう考えても俺が一番だって!」
だから、苦情は却下だっての。黙んなさい作ちゃん。
数馬の我が儘に付き合っていられないと思った藤内は、白雪作兵衛を
森に逃がしてやりましたが、その森には迷子の小人が2人いました。
他に行くところもないので、仕方なくその迷子な左門・三之助の
世話をやきながら白雪作兵衛が過ごしていると、ある日明らかに
怪しい雰囲気の老婆が訊ねてきて、リンゴを置いて行きました。
その老婆は数馬の変装でしたが、実はリンゴは単なるリンゴでした。
しかし白雪作兵衛は、たっぷり疑心暗鬼に駆られて、目一杯悪い想像を
めぐらせたことで、魔法の鏡越しにそれを見た数馬の気は晴れたそうです。
おしまい
キャスト
姫…作
継母…数
猟師…藤
小人…迷子
鏡…孫
作法
あるところに、独特な前髪をした、
藤内というお姫様が居りました。
藤内姫は、日々継母達に虐げられて家事を
…って、間違えた。それは『シンデレラ』だ。
気を取り直して。
特に「白雪」要素はないけれど、何故か
「白雪姫」と呼ばれている藤内姫には、
仙蔵様という、美人の継母がおりました。
仙蔵様は魔法の鏡を持っており、それに向い
「鏡よ鏡。この世で最も美しいのは誰だ?」
と訊くと
「立花先輩もすっごいお綺麗ですけど、
浦風先輩も案外将来有望な気がします」
「ちょっと、兵太夫! 何言ってるの!!」
鏡の精兵太夫の無責任な発言に、もう一人の
鏡の精伝七が、慌てた声をあげました。
その兵太夫の言葉を真に受けたわけではない。
と言い訳はしていましたが、仙蔵様は白雪藤内姫に、
城から出て行くように命じ、姫は大人しくそれに
従い、とりあえず友人である小人達(数馬・作兵衛・
三之助・左門・孫兵)の元に身を寄せることにしました。
しばらく経って、白雪藤内姫は毒りんごを口に
して倒れましたが、その出所は仙蔵様ではなく、
数馬が間違えて作ってしまったものだったとか。
棺は作兵衛が作り、三之助メインでそれを埋めるための
穴を掘っていると、通りがかった喜八郎王子が、自前の
鋤などを使って、嬉々として手伝ってくれました。
穴が掘り終わる前に、数馬の毒りんごで仮死状態に
なっていただけの白雪藤内姫の意識が戻りましたが、
王子は単に穴が掘りたかっただけなようで、その後も
ずーっと延々、気が済むまで穴を掘っていたそうです。
おしまい
キャスト
姫…藤
継母…仙
鏡…1年
王子…綾
小人…他3年
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