現在中学3年生の黒木庄二郎には、忘れられないハロウィンの思い出がある。それは11年前の、
	まだ保育園に通っていた頃のことで、限りなく悪夢に近い思い出だったりする。


	商店街主催で、中在家美術館と何故か七松組が協賛している「ハロウィンスタンプラリー」は、町内に住む
	子供達が商店街を仮装して回り、スタンプとお菓子などをもらう。というもので、スタンプを全て集めると
	景品がもらえる仕組みになっている。

	店によっては、もらえるのがお菓子ではなく「練り物の詰め合わせ(魚屋)」「応急手当セット(薬局)」
	「揚げたての油揚げ(豆腐屋)」という妙なものだったリ、おやつではあるが干しイモ(乾物屋)だの
	おはぎ(米屋)だの酒まんじゅう(元酒屋なコンビニ)だったりはするが、子供にとっては結構楽しい筈の
	このイベントが、庄二郎にとってトラウマと化している原因は、主に9歳上の兄とその友人達にある。



	11年前。中学生だった兄達は、庄二郎やしんべヱの妹のカメ子、七松組の四郎兵衛などの「おチビ達の引率」
	という名目で、自分達が目一杯楽しんで仮装をして商店街を回っていた。その仮装こそが、庄二郎達にとって
	怖ろしい記憶として残るものだったのだ。

	兄庄左ヱ門と、同じクラスの友人達10人と、クラスは違うが同じ中学の友人4人の、計15人の中学生達の
	仮装の内訳をまともだと思えなくもない順に並べると、以下の通りになる。
	


	しんべヱ……かぼちゃ大王
	喜三太……シーツを加工したナメクジ(伊助製らしい)
	乱太郎……ミイラ男(一部本物の傷もあったとの噂)
	伊助……シーツを被っただけのお化け(と思いきや、下にスクリームの仮面仕込み)
	怪士丸……幽霊(三角巾に着物なだけだが、似合い過ぎで怖い)
	孫次郎……半魚人(むやみやたらに鱗がリアル)
	平太……吸血鬼(既製品を加工し、牙から血が滴る)
	伏木蔵……ジェイソン(チェーンソーに赤いモノが付いている)
	庄左ヱ門……狼男(無駄にリアルな毛皮)
	兵太夫……死神(切れ味のよさそうな鎌を所持)
	三治郎……ゾンビ(溶けかけ)


	そして、残る4人は「仮装ならいいんだろ」とお化けではないものを選び、単体ならば3人はまともに
	見えなくもないが、4人セットで考えると、「何故よりにもよってその配役なんだ!」と言われるような
	ものだった。というのは……

	ルパン……団蔵
	次元……きり丸
	五右衛門……金吾
	
	富士子……虎若

	という「ルパン一味」だったからである。



	そんな化け物共に囲まれ、米屋ではまだ芸大生だった三郎のやり過ぎな仮装で脅かされ、七松組では
	「僕はいたずら担当だから」
	と言って綾部喜八郎に遊ばれたのだから、トラウマにならないわけがない。しかも道中で、警官の
	潮江文次郎に呼びとめられて兵太夫が鎌のことで職務質問を受けたり、アヒル男とすれ違ったりと、
	他にも怖いことはいっぱいあったという。




おまけ 「大木のおっちゃん。トリック オア トリート!」 「……左門、三之助。お前ら、今年いくつになった」 「高2だぞ」 「そうか。いや、まぁ、別に良いけどな」 「コイツらに関しては、気にしちゃ負けです」 「その声は、作兵衛か? お前さんのそれは、いったい何なんだ?」 「高校の文化祭の被り物を借りただけですけど?」 「面倒臭がって、適当に被っただけらしいんですけど、逆に目立ちますよね」 「えーと、お前さんは何もんだ?」 「富松くんのバイト仲間の、浦風と言います」 「そっちのもう一人は仮装しとらんが、それだと何もやれんがいいのか?」 「僕は、単に藤内についてきただけですから」 チャッキー(オーバーオール+口元にマジックで線)左門とフランケン三之助 with アヒル男作兵衛(監視役)と、誘われた藤内(ネコ耳)+ついてきただけの数馬(仮装無し) でしたv


仲間内の雑談派生なので、だいぶてきとーです ちなみに、出て来てませんがしろちゃん以外の現2年と現5年は、全員家業の手伝いでスタッフ側に居て、 完全不参加は、この当時町に居ない仙・伊・孫と、三木(地元民)くらいです 2009.10.9