「ミニティラばっかりずるーい」ということで、他の獣電竜達もミニ化してしばらく経った頃。
たまたまテレビでMeekoこと美琴の海外ツアーの特集を目にしたアミィが、「そういえば、
トバスピノはミニ化しなかったのかしら?」と疑問に思い、傍らのチビケラに尋ねてみると、
『スピノおねーちゃんは、ちっちゃくなってみーこちゃんとツアー回ってるよ』
という答えが返ってきたが、小学校低学年程度の精神年齢のチビケラの説明ではよくわからなかったので、
後日弥生に訊いてみると
 
「えぇとですね。トバスピノは、最初の獣電竜で、試作品みたいなものでもあったからか、色々
 特殊というか仕様が違うみたいで、自力で小型化して美琴さんの側に居るんですよ」
 
とのことだった。
尚、一番最初の獣電竜なので、全ての獣電竜達から姉扱いはされているが、眠っていた時間が長いので、
精神年齢はチビケラとさほど変わらないらしく、先日の母の日の手紙の話を聞いた時は、
「みんなずるーい。トバスピノも、美琴ちゃんと、みんなとお手紙書きしたかった」
と拗ね、次の機会は絶対に一緒!  強く希望しているのだという。
 
「なので、次にみなさんで何かする場合は、ブラギガスが連絡してくれることになったんですが、その、
 ミニ化の前に、光の国を訪れたことがありましたよね。あの時もトバスピノは不在だったことにも拗ねて、
 多分今頃、光の国に行ってるんじゃないかと……」
 
そんな弥生の補足通り、数日前に美琴と共に海外ツアーから帰国したトバスピノは、ミニティラから
光の国行きと母の日の手紙の話を聞き
「トバスピノも、ママに会いに行く!」
と言い出し、美琴にダン箱詰めで光の国に送ってくれるよう頼んだのだという。
 
 
 
そんな訳で、同じ頃の光の国の入星管理局。
『M78星雲 光の国  宇宙警備隊   ガイア様』宛で届いた、生体反応のある段ボール箱を開けたら、
メカっぽい生物が出てきて、敵意は無いようだけど、言葉通じないしどうしよう。とりあえず、
生物保護局のコスモスさんと、受取人に指定されてるガイアさん呼んで来る?   と、職員達が
対応を悩んでいると、通りすがりのゼロが、「何かあったのか?」と首を突っ込んできた。
そして、ゼロがダン箱を覗き込み「なんだコイツ」と呟くなり、段ボール箱から飛び出したトバスピノが、
ゼロに噛み付いた。
 


『D!   また美琴ちゃんや、みんなを攻撃しに来たの!?  させないよ。みんなは居ないけど、
 トバスピノだけでも、負けないからね!!』
「は?  えっ?  いきなり何だよ。やっぱ敵だったのか!?」
 
青くて赤くて目付き悪くてアノ声なゼロを、獰猛の戦騎Dことデスキョウリュウジャーだと認識した
トバスピノの攻撃に、ゼロが応戦しようとした瞬間。
 
「ちょっと。うちの子いじめないでくれる?」
 
とそれを止めたのは、入星管理局職員に呼ばれて来たガイアだった。
 
 
『ママ!』
「うん、久しぶり。よく来たねトバスピノ」
 
ゼロに警戒したまま飛びついてきたトバスピノを、抱っこして撫でてやっているガイアに、
 
「ガイア!  攻撃して来たのは、そっちからだぞ!」
 
とゼロが抗議すると、ガイアはとりあえずトバスピノに
 
「トバスピノ。このガラの悪いのは、よく似てるけどDじゃないから、咬んじゃダメだよ」
 
と言い聞かせはしたが、再度ゼロに
 
「ママの職場に初めてのお使いしに来た子を泣かすとか、お兄ちゃん失格だよ、ゼロ」
 
なんて、訳の分からない説教をかましてきた。
 
「は?   攻撃されたのは俺なのに、何で俺が叱られなきゃなんねぇんだよ」
「お顔が怖いとか、悪い人に似てる。って泣いちゃったおチビちゃんを、更に怖がらせたようなもんだもん。
 悪いのはゼロでしょ」
「何でそうなんだよ!」
 
こないだゴモラの同窓会の引率した時もだけど、問答無用で攻撃されるようなことを、俺がしたってのか!
 とのゼロの抗議は
「声も姿も似過ぎなのが悪い」
と一刀両断されたのだった。




姉さんから、トバスピノちゃんを綺麗さっぱり忘れてたとの指摘ついでに、ネタもらったので(笑)