1年後
三木「おい、きり丸」
きり「何ですか田村先輩?」
三木「いくらなんでもこの予算は、流石に無理があるだろう」
きり「大丈夫っすよ。どこも、最低限の必需品は賄える額でしょう?」
三木「いや。そうだけど……」
左門「殆どの委員会が雑費0って、どういう基準でだ?」
きり「使途の明記されていない予算や、前年繰越がある所は全て切りました」
左吉「あと、必要最低限は保証してるって言っても、この額はかなりきつくないか?」
きり「そりゃ、全て底値で計算したからな」
三木「それってつまり、何か1つでも、僅かでも値上がりしたらもう無理ってことだよな。
やっぱりこの案は却下だ。……このまま各委員会に渡したら、多分暴動が起こる」
会計委員会自ら自粛した恐怖の切り詰め予算案
しかし修正後もかなりキチキチだったとか
2年後
滝「この私の、完璧な予算案を認めんと言うのか会計委員!」
三木「あんな穴だらけの予算案が、通ると思ってんのか体育委員会!」
藤「……綾部先輩。参戦しないんですか? 多分このままだと、対体育だけで時間なくなりますよ」
綾「うん。じゃあ、折を見て」
伝「折っていつですか? 明らかにやる気無いですよね先輩」
綾「だって、あの馬鹿達のケンカに交じるの、面倒臭いもん」
兵「まぁそうですけども」
綾「ってことで、委員長以外を確保!」
伝「ああ」
藤「その手がありましたね」
兵「了解です!」
伊「委員長」
タカ「ん〜。何? 伊助ちゃん」
伊「コレ投げていいですか?」
三次「うわ、何だソレ。匂いが凄い」
伊「そこの馬鹿が腐らせた、雑巾や洗濯物その他です」
タカ「あー、うん。武器として丁度良いね。投げちゃえ投げちゃえ」
伊「では。……てめぇの書き損じの紙代の方が、うちの雑費よりよっぽど多いかもしれないし、
予算編成にかまけていつも以上に部屋はグチャグチャだし、ってことで、喰らえ馬鹿旦那!」
タカ「今回も、見事なキレっぷりだね伊助ちゃん」
三次「そうですね。日頃の鬱憤晴らしに、毎度豹変してますよね」
割とみんな相変わらず
3年後
次「何でウチの予算、七割も削られてんだよ!」
さも「当たり前だ! お前の捜索予算何か認めないぞ」
次「はぁ? 俺の捜索ってなんだよ」
さも「自覚が無い上、予算案に目を通してないのか体育委員!」
次「予算案は金吾が作った!」
さも「何で後輩に作らす」
次「滝夜叉丸に直に教わってたから、俺が作るよりちゃんとしてるからだ!」
しろ「……会計委員会だって、『神崎先輩じゃ頼りないから』って三郎次を
火薬から引き抜いたんだから、同じようなものだと思うけどなぁ」
金「言っておきますが、『迷子捜索費』には、会計委員長の捜索を手伝った分も計上してありますからね」
作「研究開発と練習用を兼ねて、漆喰に近い物を自分らで作ってみたんだ。
けど、実際の壁の補修なんかに使うには、まだ精度や品質が低くてな」
しん「というわけで、試作品はとりあえず、漆喰砲用ってことになったんですー」
平「今年は虎若もいるんで、命中率は高いですよ」
虎「あと、まだしんべヱしか使えないけど、大筒版も開発してみたんで」
作「……うちの後輩達は、俺が迷子捜索で不在でも、しっかり業務を果たして
くれる、優秀な人材ぞろいだからな。……てぇことで、覚悟はいいか会計委員」
「今年の生物委員会は三択です」
「一つ目、喜三太のナメさん」
「二つ目、委員長のじゅんこその他」
「三つ目、三治郎の絡繰」
「さぁ、どれがいいですか?」
会計「どれも嫌に決まってんだろ!?」
孫「ならば、三治郎製のナメクジ弾とカメムシ弾だな」
藤「左近、伝七、きり丸、乱太郎、伏木蔵。各自持ち場に着け」
後輩「はい!」×5
さも「ちょっと待て! 今保健委員が交じってただろ作法!」
藤「数馬が委員長職を放棄して学級委員長になってしまい、左近も今年はウチの所属だからな。
上級生不在は不利かと思って手を組んだ。……それが何か、問題だとでも言うのか?」
さも「特に問題はないな」
藤「ならば、遠慮なく行かせてもらうぞ。……覆面用意!」
さも「それ聞こえたら、こっちも覆面するに決まってるだろ。詰めが甘いぞ藤内」
伝「……ほーんと、会計委員会って単純馬鹿ばっかりですよねぇ」
会計「はあ?」
伏「今回の霞扇は、新野先生直伝、目にすごく沁みる薬なんですよー」
会計「ぐあああああ。目が、目がー」
さも「図ったな作法委員」
何となーく先輩に似ちゃったやつばっか……
4年後
左吉「……。それは何だ、生物委員」
喜「えっとー、三治郎と平太が協力して作った、ナメさん砲」
平「去年のナメクジ弾と、漆喰砲の応用で作ってみました」
三治「1個しかないけど、連射可能だからね」
しん「えーとー、コレが団蔵の壊したものと無くしたものの目録で、こっちが
左吉が自主練や授業中にうっかり壊したり、傷つけた場所の一覧」
団「うわ、細かっ。コレ全部書き出したのか?」
しん「ううん。書き留めておいたの」
左吉「よくもまぁ、こんな詳しく……」
虎「ま、これでも福富屋の次期主人だもんなぁ。こういう細かい
所からキッチリしてないと、商人は務まんないだろ」
伝「作法委員会でーす。(どケチで計算高い)きり丸が立てた予算の、
何処に文句ないしは問題があるのか、十文字以内で答えよ」
団「十文字とか無理!」
左吉「使途が玉虫色(九文字)」
団「おおー、さきっちゃんすげぇ」
左吉「お前とは頭の作りが違うんだ、ば加藤団蔵。……つまり、何通りもの
使い道が考えられるような、曖昧な表現の項目が多過ぎだ」
しろ「あのさぁ、ほとんど無きに等しい雀の涙みたいな予算案を、さらに削らなくてもよくない?」
左吉「でも削れたんで」
しろ「……そうかぁ」
金「そこで諦めないで下さい、時友先輩!」
伊「腐った雑巾と、かびた敷布と、キノコが生えかけたふんどし。どれを食らいたい団蔵?」
団「どれも、ご勘弁願います母ちゃん」
伊「なら、予算を上げろ」
左吉「……毎年思ってたんだが、予算とこの馬鹿が片付けないことは無関係だろう、伊助」
伊「いいや、関係あるよ。徹底的に躾けて、普段は一応定期的に片付けるようになったのに、
予算会議が近づくとそっちにかまけて、こういうえげつないものを量産しているから」
会計「…………」
久作「本当にこの予算案でいけというのなら、お前の希望図書は、先生方にお伺いして、
絶対必要だと認められるもの以外は購入しないが、構わないんだな。左吉?」
左吉「う゛」
団「さきっちゃん、そんなことで揺らぐなよー」
左吉「黙れ馬鹿旦那! お前と違って、僕は本を読むんだ!」
団「俺だって読むもん」
左近「保健委員会です。この予算で購入できる薬種および在庫を使用した傷薬では、申請した
薬種から作るものよりも治るまで時間を要し、逆に不経済なので、予算の訂正を要求します」
乱「特に打撲用と切り傷用は、効能が格段に違うんで、君達の為にも申請した奴を認めて欲しいんだけど」
伏「委員会別、医務室の利用頻度1位は生物だけど、その次が会計で、傷薬の消費量は会計が一番多いから」
元拍手お礼
出戻り教職員と子世代のおまけは『落花』に
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