ある日、図書委員に臨時の召集がかかった。
	そのことを伝えに5年長屋まで来たきり丸が見たものは、縁側で本を読んでいる不破雷蔵と、その膝を
	枕にして昼寝をしている鉢屋三郎の姿だった。

	「あの、雷蔵先輩…」
	「ああ、きり丸。どうしたの? 委員会?」
	「あ、はい。会議やるから集まれって」
	「そっか。ちょっとだけ待ってね」

	若干戸惑う後輩を尻目に、雷蔵はのんびりとした調子で三郎を揺り起こした。

	「三郎、起きて。僕ちょっと図書委員の用事が出来ちゃって行かなきゃならないんで、まだ寝るなら
	 部屋に戻るか、ここがいいなら枕持ってこようか?」
	「う〜。ヤダ。雷蔵がいい」

	寝ぼけているのか、雷蔵の腰に腕を回し、腹の辺りに顔を埋めながら三郎は駄々をこねた。

	「もう。行かなきゃいけないんだから、放してよ」

	きり丸が目の前の光景に唖然とし、雷蔵が困り果てていると、通りすがりの久々知兵助がその光景に
	気付き近寄ってきた。

	「どうした?」
	「委員会の会議に行かなきゃならないんだけど、三郎が…」

	兵助が特に驚きもせず雷蔵に話しかけた。どうも、同じ5年生にとっては見慣れた光景であるらしい。

	「…このままグズってしばらく膝枕し続けてもらう代わりに、当分の間口利いてもらえなくなるのと、
	 大人しく部屋に戻って寝直すのと、どっちがいい? ああ、それとも雷蔵が戻ってくるまで俺が膝枕
	 代わるか?」
	「……戻って寝る」

	挙げられた選択肢に、「渋々」といった様子で自分から離れた三郎の頭を撫でながら、

	「なるべく早めに戻るからね」

	と言い聞かせた雷蔵に、きり丸が言葉を失ったのは言うまでもないだろう。



	おまけ
	「子守のバイトで何人かいっぺんに預かった時に、膝の取り合いとかだっこの順番でケンカになった
	 ことってない?」
	「あー、あるような気はします」
	「それとね、同じ様なことだよ」



	余談
	その後図書委員の後輩達は、雷蔵べったりの三郎(と、そのあしらいが巧い久々知・竹谷両名)を、
	見慣れた模様です

	更に余談
	竹谷は当然の如く自分の膝に移して、雷蔵を送り出します。
	(そして三郎に物凄く嫌な顔をされるけど笑い飛ばす)




この場合の鉢雷は親子です。しかも、母べったりの幼児イメージ
残り二人は伯父さんポジション(落ち着いた大人な兵助と、子供目線でおちょくる竹ちゃん。な感じで)
独占欲バリバリのちみっこは、おじさんたちも敵視したりするのです。
でも、おじさんたちは気にしない。笑って流す。ついでに母さんも微笑ましいとかおもってる。
ウチの5年生はそんな関係です