向こう見ずな十の危険


01.ハイリスク・ノーリターン

俺がアノ方向音痴の馬鹿共と友達やってる理由?
そりゃ、まぁ、一応気が合わなくもないし、付き合いも長いから。

それにアイツら、俺が居ないと何しでかすかわかんないし、
一旦友達になった以上は、途中で見放してどこかで
トンでもない目にあったりされたら、寝覚めも悪いだろ?


……ああ、そうだよ。解ってるよ。
俺じゃなくても、アイツらに言うこと聞かせられる
奴は居るというか、むしろ俺の言うことなんか聞きゃ
しねぇのに、先輩はともかく何故か藤内や孫兵の
言うことには従うんだよな、あの馬鹿共。


だから、結局俺が貧乏くじ引くばっかで、
何にも良いことないのは、百も承知してるよ。


は? マゾ? ざけんな!
いつか報われる日が来る可能性だって無い訳じゃない。
って、信じてるだけだっての


by富松くん


02.標準装備は”無鉄砲”

伊「ねぇ、仙蔵、長次。1はの子達はともかく、文次やこへや、場合によっては
  留さんも、結構無謀に揉め事や侵入者とかに突っ込んでいくことが多いのは、
  どうやったらもうちょっと自重させられるかな」
仙「無理だな。どのように諭した所で、聞く耳など持つまい」
長「……アイツらの場合、本能だろう」
伊「そっかぁ。やっぱり無理かぁ」
仙「しかし、今更何を言い出す。アノ熱血馬鹿共は、年々多少落ち付きはしたが、
  入学した当初からああだろう」
伊「そうなんだけどさぁ、後輩達まで巻き込んだり影響が出てる所為で、怪我とか
  風邪とかの頻度が上がって、薬も備品も足りないし、薬草園もしょっちゅう
  めちゃくちゃにされてるから……」
仙「何だ、またか。先日私が(食満に手伝わせ)防護柵を作ってやっただろうに」
伊「ああ、うん。そうなんだけどね」
長「……一昨日の炎上の原因は、その柵の仕掛けに引火したようだと、下級生が噂していたな」




03.明日の事は明日考えるから

「タカ丸さんって、順応力高いですよね」
「そうかなぁ」
「ええ。ある日突然お祖父様が穴丑だと明かされ、更にいきなりこの忍術学園に編入させられたのに、
 他の生徒かそれ以上に馴染んでおいでじゃないですか」
「あと、1はの子とか三木とか滝とか先輩達ともふつーに接していますし」
「・・・・・・お前が言うな喜八郎」
「う〜ん。でも、普通に町で髪結いしてても、何が起こるかはわかんないし、先のことが全部
 わかってたらおもしろくないから、オレは明日のことは明日考えることにしてるんだ〜」
「そうですか。そういった考え方も、時には悪くないでしょう」
「でもですね。日程の知らされていた試験の予復習はしましょうよ。ただでさえ素地も経験も足りないんですから」
「うん。ごめんねぇ。オレの追試の勉強につきあわせちゃって」
「いえ、別に。お気になさらず」
「って、お前は見てるだけで何もしていないだろう綾部!」



04.不審なものにはとりあえず頭から突っ込んでみるべし

乱「ねぇ、あそこの茂み、あからさまに怪しいよね」
しん「うん。そうだねぇ」
兵「どうする? 放っておく?」
きり「いや。俺らの様子うかがってる感じするし、やっぱ構ってやんないと話になんないんじゃないか?」
庄「そうだね。・・・・・・先生方に言うんじゃダメかなぁ」
喜「でもぉ、誰に言うの? 今職員会議中だし、わざわざ報告したら、それはそれで怒られる気がするよぉ」
団「でもさ、ほったらかしたらほったらかしたで後で面倒なことになる気もしないか?」
金「確かにまぁ、そんな気もしなくはないけど……」
虎「それに、ここで見なかったことにしたら俺達の名が廃るだろ!」
伊助「廃らないよ! 何その発想」
三治「え。これぞ1はクオリティじゃないの?」



05.痛い目にあってもトリ頭

左吉「神崎先輩も団蔵も、同じことで潮江先輩に怒られるの何回目ですか」
団「さぁ?」
左門「何回目だ?」
三木「僕らに訊くな。……お前らに学習能力や、反省する頭はないのか」
左門「ないです!」
団「同じく! 記憶力も無いってよく言われます」
文「自慢げに答えるな、この馬鹿共!」



06.君の良い所でもあるけれど

伏「うわぁ。とってもすりるとさすぺんす〜」

伊「……いや、まぁ、怖がられたり物怖じされるよりは、マシかもしれないけど」
左近「確かに、窮地や不運を楽しめてしまうのは、ある種の才能ではありますよね」
数「でも、時々緊張感や危機感無さ過ぎですし、危ないことにわざわざ首突っ込むのは勘弁して欲しいです」
乱「最近の伏ちゃんって、場合によってはわたし達より怖いもの知らずですよねぇ」

新野「ということで、鶴町君。興味をそそられていることは解りますが、危険ですからひとまず退避するので、
   こちらにいらっしゃい」



07.大丈夫、殺しても死なない人間だから

仙「今年も、新作実験の時期がやってきたな」
伝「はい?」
藤「・・・・・・いい加減、予算会議をそう表現するのはよしましょうよ、立花先輩」
綾「別に良いんじゃない。自費で改良してる分なんだし」
兵「えっと、つまり、新しい火器を会計委員で試す。ってことですか?」
仙「案ずるな。歴代会計委員は、殺しても死なんような輩揃いだし、多少しくじろうと保健委員も控えているからな」
伝「・・・・・・それ、保健委員会的にはアリなんですか?」
藤「手当で恩を売って予算を認めさせるついでに、効能の実演も出来る。って、案外協力的なんだよ」
綾「そういえば、善法寺先輩が、潮江先輩には医務室の常備薬使って後輩には自腹で改良したのを使って効能差を
  見せつけてるって噂は本当ですか?」
仙「ああ。『この薬種を買える予算があれば、これだけ効くの作れるのになぁ』とネチネチ言い続けて次年度の
  予算を釣り上げたことはあったな」



08.捨て身だけど死にたくない

お前達は武士ではなく忍びだ。
だから、「命に代えても」ではなく、秘密を漏らさず持ち帰る為に、どれだけ卑屈になろうが
汚い手を使おうが生き残り生き延びなければならない。

それに、死を全く恐れないよりも、死にもの狂いの方が案外力を発揮できたりするものだ。

だから、捨て身の戦法に出るのはかまわないが、刺し違えるよりも逃げてでも生き延びて
目的を達成することを選ぶように。


@先生から卒業生への餞・・・・・・かな



09.蹴っ飛ばせ!

鉢「……最近、6年生に出番を食われている気がしないか?」
兵「いや、別に。元々お前と雷蔵以外は、影薄い方だし、委員会もそんなに目立たないからな」
勘「だねぇ。おれなんか、そもそもまだ新参者だし」
雷「僕は、委員会でまとまると、案外出番あるから……」
竹「俺もなぁ、孫兵に取られなきゃ専門分野の解説あり得るし」
鉢「そうか。しかし、やはり実力的にもキャラ的にも1年は組との関係的にも、我々5年生と6年生は
  拮抗していて、目の上の瘤だとは思うよな」
竹「まぁ、それは確かに」
兵「無いとは言わないな」
雷「え。いや、僕はそんなには……」
鉢「まあ、雷蔵だけは直属の先輩が居て、委員会仲も悪くないから、置いておいて。……ここらで一度、
  下剋上を仕掛けたいと思うが、どうする?」
勘「おれ別に先輩達嫌いじゃないけど、面白そうだから乗った」
兵「俺も。実力差は確かめてみたい」
竹「完勝は無理でも、ひと泡吹かせられたら気分良いだろうな」
雷「え。えっと、僕は、どうしよう。面白そうな気はしなくもないけど……」



10.馬鹿が感染したらしい

四「最近、左近も三郎次も久作も、あんまり1年生のこと馬鹿にしないね」
三次「・・・・・・まぁ、馬鹿は相変わらずだけど、アイツ等の人脈や経験が役に立つこともなくはないし、
   少なくともうちの伊助はあの中ではかなりまともで使える奴だし」
久「それを言うなら、うちのきり丸だって、まともではないし馬鹿だけどたまにやけに含蓄のある言動するし、
  金に汚いけどそれは修羅場くぐってきた所為だし・・・・・・」
左近「馬鹿で物覚えが悪くて善法寺先輩並に不運で忍び向きではないけどお人好しだけど、前向きで
   頑張っててめげない所見てると、馬鹿にしてる自分が幼稚に思えてくるだけだ」
四「そっかぁ。先輩馬鹿って伝染るんだねぇ」
三次「は?」
久「何が言いたいんだ四郎兵衛」
四「だって、みんな後輩自慢してる先輩達そっくりだよ」



配布元 : リライト


元拍手御礼 一番最初に書けて一番気に入ってもいるのが3ろで、 メンツが若干偏ったのは御愛嬌ということで(笑)