5年前。近所に捨てられていた子犬に、何となくエサをやってみたら懐かれて、
つい拾ってしまったのがハチ。

でもその時住んでた所はペット不可で、どうしようかしばらく悩んでいた時に見つけた
今のアパートは、「ペット不可」どころか「ペットがいる者優先」とかいう変な所。
(後で聞いた話によれば、自身も何匹か犬とかを飼っている大家の、気まぐれと道楽で
建てられたんだそうだ)

引っ越してきてすぐに、共用スペースの掲示板に「子猫いりませんか?」のポスターを見つけた。
貼ったのは、俺の部屋の斜め下に当たる、1階の角部屋に住んでいる善法寺さん。
どうも、飼い犬の内の一匹―ハスキー犬の長次という―がまだ目も開いていないような子猫を、
何処からともなく拾って来て育てているが、先住の犬猫がその拾ってきたやつを合わせて5匹も
居る上、気が荒いのが多いので自分の所で飼うのは難しいと考えたらしい。

試しにハチを連れて見に行ったら、ハチがその子猫をもの凄く気に入った―後々解ってきたが、
ハチはどうも猫が好きらしい―ので、そのまま貰ってきた。それが雷蔵。
雷蔵は、生後すぐに拾って育ててくれていたのも、その後一緒に育ったのも犬な所為か、自分の
ことを犬だと思っているんじゃないかと思ったが、そのまま放って置いたので、今も若干犬っぽい。
けど、同じアパートや近所の猫達や、三郎と接している内に、自分が猫かもしれないことに気付いた
ようで、ここ数年は時々自分がどちらなのか、迷っているように見えることもある。


三郎は、雷蔵に模様がそっくりで、多分野良だと思うが、妙に人に慣れているくせに人嫌い。
とかいう変な猫で、何度か仕事帰りに間違えて回収している内に、雷蔵に懐いてしょっちゅう
つるんでいたりウチでエサを食べて行くようになったんで、とりあえず雷蔵と色違いの首輪を
つけて、たまに洗ってやったり、注射の時期には3匹まとめて動物病院に連れて行っているが、
ウチの猫ではない。ということにしてある。三郎がそうして欲しそうだから。

三郎は、ほぼ毎日ウチでエサを食っていくが、ねぐらは別にあるらしくいつも食ったら帰り、
雷蔵と一緒でないと、シャンプーもブラッシングも注射も、逃げるどころか触っただけで毛を
逆立てて威嚇してくるくせに、雷蔵さえいればほとんど何でもアリ。ハチにじゃれつかれるのは
嫌いらしいが、時々ハチの上で昼寝をしていることがある。
そんな、ある意味とても猫らしい気まぐれな奴で、俺のことを「飼い主」として認識する気は
ないようだが、それなりに心は許しているように見えなくもない。
だから俺も奴を飼い猫扱いはしないで、つかず離れずの関係を保っている。



コレが俺らのスタンスです。



柳佳姉さまから要望があったので、書いてみました5年生。 自分では、意外としっくりいった気がしてますけどどうでしょう? 2009.4.12