3年前。誕生日に欲しいものを訊かれたんで「犬」と答えたら、両親がそれぞれ別々に知り合いから
子犬を貰って来た。
父さんが貰って来たのが雑種の「三之助」、母さんの方が豆柴(多分)の「左門」。共通点は、生まれた
時期が同じ位なことと、どうしようもない方向音痴な馬鹿犬共だってこと。
最初の頃は、僕が散歩でトイレが父さん。エサとその他諸々が母さん。という担当だった筈が、
いつの間にか全て僕がやる羽目になっていた。
原因は何となく解っている。父さんがやり忘れたトイレ掃除を代わりにやったり、母さんがねだられると
すぐにおやつや人間の食べ物をやってしまうのを注意したりしている間に、ヤツら(犬共)に「ご主人さま」
として認められたっぽいのを理由に、押し付けられたんだ。
三之助も左門も、それぞれ同じ親から生まれた兄弟がいて、その中には他にも馬鹿犬は居るらしいが、
流石に方向音痴は居ないらしい。それなのに、何でウチのだけ両方……とか時々―本当はほぼ毎日―
思うし、最近は同じアパートの人達の方が、ヤツらを手懐けている気がしなくもない。
まぁ、善法寺さんちの犬達2匹共うちの馬鹿共の兄弟らしいし、平さんは三之助の親犬の飼い主と
親戚らしいから、解らないでもないが、それでもやっぱり釈然としない。
そんな愚痴を、学校もアパートも同じ藤内にしたら、
「懐かれてはいるけど、格下だと思われてんじゃないのか?」
と言われた。……そんなことはない、と思いたい。僕はれっきとしたヤツらの主人で、ヤツらが馬鹿な
だけで、嘗められてなんかいないんだ。
そうでも思わなきゃ、あの馬鹿犬共の世話なんてやってられるか!
多分作ちゃんは、犬共に自分達と同列くらいに思われてるのではないかと
2009.9.22
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