1.重華兄妹的素敵本
「兄さま。そのご本は?」
「ああ。この間向こうに行った時に貰った、『通販のカタログ』というものらしいですよ、三重」
「そうなのですか。……向こうのお着物が沢山載っていて、とても素敵ですね!」
「そうでしょう。三重にも見せたら喜ぶだろうな。と思って」
「ありがとうございます、兄さま! わぁ、この柄すごく可愛い! この色も素敵。あ、こんな色や
柄の組み合わせも意外と合うんですね」
「そうですね。ああ、これなんか三重に似合いそう」
「え。そうですか? 私には、ちょっと可愛らし過ぎないでしょうか??」
『そんなことないぞ。三重が向こうに行く時に可愛い格好させてやりたいからって、ラカンに女物の沢山
載ってる本を用意して貰ったんだもんな、成重』
「そうなんですか、虹様」
「そうそう。ラカンと千艸も、三重は唯一の女の子だから他の男共の着回しさせるわけにいかないし、
女物はこっちで再現して作んの難しそうなの多いから、この本に載ってんのなら、いくつか好きなの
選んだら注文しとく。って言ってたぞ」
「そうですか。それは、とても嬉しいのですけれど、わたし、自分が着てみたい服よりも、成重兄さまや、
宮さまに着せてみたい服の方が目についてしまって……」
「それはそれで構いませんから、気になったものがあれば、控えておきなさい」
「はい」
(……って、あの本、ほとんど女物しか載って無かったよな、虹)
(まぁ、オレの成重は何でも似合うし、宮も女物でもイケそうだし、男っぽいやつもある。ってラカンは言ってたしな)
2.着せ替え好き兄妹(前のやつの続き)
『ラカン! コレ、こないだのに、三重が気になったの丸つけてきたけど、「この中で、ラカン様達も良いな。
と思ったものを、1つとかで構いませんから」って言ってたぜ』
「そっか。相変わらず控えめだなぁ、三重ちゃんは。しかも、何かシンプルで安めのばかりチェックついてるけど、
コレって遠慮したのとホントに趣味なのと、どっちかな、成重さん?」
「そうですね。この辺りのは、着方が解らないと言っていましたし、あまり派手なものよりはこういった
落ち着いたものの方が好きなのは確かなようですが、それでももう少し可愛いものを選んでも良いのに。
とは思います」
「ちなみに、成重が選ぶなら?」
「私は、三重の選んだコレは結構可愛らしいと思いますし、こちらに先程のページの上着とこの下衣を合わせたら
良いのではないかな、と」
「あ。ホントだ。このワンピース三重ちゃんに似合いそうだし、こっちのブラウスにそのセーターとスカートは
すごく良い」
「じゃあ、ひとまずその2組で良いんじゃないか?」
「だね。えーと、そうしたら、確か注文ハガキが後ろの方のページに……って、何だろう。この辺にも何か
書いてあるのがいくつかある。けど、『兄さま』とか『宮さま』??」
『あー、それな。三重とオレで選んだ、成重とか宮に似合いそうな服』
「そういや三重、『自分が着てみたい服より、成重達に着せてみたい服の方が気になる』って言ってたもんな」
3.素朴な疑問1
「なぁ。羅貫て、神隠しから戻って来てから、いきなり親戚増えたよな」
「そういやそうだな」
「俺、千艸にーさんと成重ね……じゃなくて成重さんと、灯二くん以外はほとんど名前覚えてないかも」
「俺何人か分かる。灯二くんの兄貴の主匪兄と、宮ねーさんに閧志兄さんに、秋市、夕吾、深鳴、白琵っつったかな。
俺らより年下っぽい4人組」
「いつもの3人以外は、多くても3〜4人ずつしか見たことないし、多分会ったこともない人も居るけど、いったい
何人居るのか気になって、こないだ試しに訊いてみたんだ」
「で、結局何人だって?」
「20数人、だと」
「何だよ『数人』って」
「いや、なんかどうも、沢のじいちゃんの作った施設がどこか遠い所にあって、そこの出身なのが20人位と、
その兄弟やら友達やらもたまに顔出したりするけど、面倒だから全部引っくるめて『親戚』とか『身内』
って言ってるらしい」
「あー。羅貫て、たまにそういう所が雑だよな」
「けどまぁ、確かに説明は面倒臭そうだな」
by友人達
4.素朴な疑問2
「兄さま。サノメの警備隊の皆様は、『沢』一族を名乗ることにしたんですよね?」
「ええ。中には『澤』の字を使うことにした人もいるそうですが」
「えっと、それと、お嫁にいったら、そのお相手の苗字に変わるんですよね」
「まぁ、普通はその筈ですね」
「そうしたら、その、私が閧志様に嫁いだら、羅貫様のお母様と、同じ名前になりますよね」
「ああ。言われてみれば、そうなりますね。でも、良いんじゃないですか。ラカンくんも、いっそ重雪様も、
喜んで下さいますよ、多分」
5.素朴な疑問3
「そういやさ、『重華』って結局誰が継ぐんだ? 前の族長は重雪さんで、直系は成重と三重だけだろ?」
「ああ。ええと、確か重音さまの娘が継ぐことで、正式に決まった筈です」
「そっか。あ、けど、これからはちゃんと結婚とかすることになると、『重華』一族ってどうなるんだ?」
「確かに、『重華』の名を残すかでもしばらくもめていましたが、歪んでいたとはいえ一応それなりに歴史の
ある一族ですからね。族長は婿を取り、その他はお嫁に行くのでも婿を取るのでも好きなようにすれば良い。
ということで決着が着いたと聞いています」
「ふぅん。……『重華の男』も、この先は生まれてくんのかな」
「さぁ。それはどうでしょう? 生まれても生まれなくても、どちらでも構わないと思います。それに、おそらく
今までも、生まれてはいても秘密裏に『なかったこと』にされていた可能性はあるでしょうしね」
(24巻を読んでて、「重華の女は最低でも2人以上娘を産むのが義務」てことは、重雪様にも姉妹が居る筈だよな+
「あなたの子が継げば良い」発言+結構デカイ態度+重雪様のお母さんの死の床にもよく見たら居た。=重音&史重の
両名って、実は重雪様の妹だったんじゃ……とか思った所から)
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