中学卒業時に、家を出たいが為だけに就職の道を選ぼうとしたら、珍しく真っ当な父親面で
「最低でも高校。出来れば大学まで行くように」
と言われ、大学からは下宿でも独り暮らしでもアリで、学費も生活費も出してやる。とも言われた。
だからひとまず高校には進学して、卒業後は就職して家を出るつもりで、極力あのクソ親父に頼らない
為に、バイト三昧で貯金も結構な額まで溜めた。
けれど19歳現在の俺は、未だに家を出ずに元上司な妖怪親父と暮らしている。
その理由はたった1つ。
「ああ、そうか。俺がこのストーカーを監視してなきゃいけないのか」
と、17歳の時に気付いたからだ。
前世の俺―諸泉尊奈門―の上司だった「雑渡昆奈門」というオッサンは、タソガレドキ忍者隊の
忍び組頭で、胡散臭いし身の回りのことは俺に押し付けるしとろくでもないが、それでも実力も
人望も一応かなり高かった。そして、36歳の時に知り合った15歳の小僧に妙に入れ込んだことも、
時に迷惑なことや公私混同感が無かったとは言わないが、まぁ見逃せなくもない程度だった。
しかし、今世の俺―諸星尊―の父親で「雑古昆」と名乗っているオッサンは、どうもアノ時代から
そのまま生きているとかいう妖怪で、現在の職業は中学教師(社会)で、そこまでは良いとしても、
受け持ちの生徒に、かつて執着していたアノ少年の生まれ変わり―しかも女の子になっていた―を
見つけた。とはしゃぎ始めたのが、俺が高2の時だった。
その時点で、「10代前半の少女に執着する中年親父」かつ「教え子の女子中学生のストーカーな
中学教師」はウザい以上にかなりヤバいと感じ、更に俺が高校を卒業した年に、彼女はちょうど
アノ頃と同じ15歳になる上、その翌年には―絶対に親は認めないだろうが―法的に結婚が出来る
年になる。
ということは―かなり不本意ながら―実の父親である以上、みすみす犯罪者になられたり訴えられたり
しないよう、見張っていないとマズイんじゃないか。
そう考えたのが、俺がこの家に残っている理由で、確かに就職したは良いが自分の稼ぎだけでは1人で
暮らしていくのが無理そうなんで、仕送りを受けるよりは実家に残る方がマシだと思ったのも間違って
いないが、それ以上にアノ妖怪クソ親父を野放しにする訳にいかないんで、嫌々未だに同居してんだよ!
何となく、いきなりネタが降ってて来たので(笑)
2011.5.23
戻