1.それぞれの
伏「久しぶり〜。みんな揃うの、1月ぶり位?」
平「そうだね」
孫次「みんな、仕事とかどう? うちは、地震の影響で閉園してたり、パンダ効果でお客様
流れちゃったり……」
怪「ああ。動物園だもんね、孫次郎。……うちは、基本的に翻訳の絵本とかばかり出しているし、
僕の仕事にはまだ地震の影響は直接的には出てないけど、原画展や読み聞かせの会が中止に
なったりはしてるみたい」
伏「僕、現地にボランティアで行こうとしたら、何故か職場のみんなに止められちゃった」
孫次「そりゃ、ねぇ。伏ちゃんだし」
怪「うん。『生きてる人より、死体診る方が好き』って言って監察医選んだんでしょ?」
平「避難中の、生きている人を診てる時にそんなこと言っちゃったら大問題だし、嬉々として
遺体を解剖してても不謹慎だから、それは止めるだろうね」
伏「ぶー。僕だって、その辺の空気は読めるのに」
怪「ところで、平太の所は?」
平「食満先輩が、個人的にボランティアで行って、そのまま向こうで仮設住宅の作業員に加わってるよ」
@元1ろ
(伏木蔵:監察医 平太:大工 孫次郎:飼育係 怪士丸:編集者)
2.真の目的は?
綾「……」
三木「その顔は何だよ。何で、訪ねて来る度に、そんな心底嫌そうな顔をされなきゃならないんだ。
僕が何かしたっていうのか?」
綾「……別に」
金「強いて言うなら、透けて見える目的が」
三木「……金吾。お前まで何を言っているんだよ。僕は、叔母さんに頼まれたから、仕方なく
届け物に来ただけだぞ」
滝「三人共、玄関先で何を揉めている! 綾。コイツへの茶菓子は、私の分を回すから、オヤツは
減らないので安心していい」
綾「……そんなこと気にしてない」
三木「僕も別に、長居する気はないから、お茶はいい」
金「と言いつつ、その、母さんからの預かり物とは思えない、洋菓子店の箱は何ですか?」
三木「……。前に『手土産の1つも持って来れないの?』みたいな嫌味を綾から言われたから、
買ってきてやっただけだ」
金「それでプリンって、いかにも綾のご機嫌取りで、そこから姉さんに付け入ろうとしている感が……」
三木「たまたまだ! というか、何で箱だけでプリンだって判るんだよ」
金「この間、友達が噂をしていたお店の箱なのでカマをかけただけだったんですが、本当に
プリンだったんですか。今人気で、かなり並ばないと手に入らないって聞いたけど……」
三木「……」
@三木in平野家
3.職場体験の裏側
平「食満せんぱーい。今度の、職場体験に来る子のリストもらったんですけど……」
留「人数と学年を確認した時点では、6年生3人と4年生2人で、特に問題無かったけど、何か
ありそうなのか?」
平「えーと。ひとまず、見てくれたら解ると思います」
留「どれ? ……ああ、確かにコレは厄介かもな」
平「一応、予定通り基本的には僕が相手しますけど、フォローはお願いします」
・
・
・
「はじめまして、みなさん。僕は下坂部平太といいます」
「平太!?」
「はい、そうですよ。えっと、富松……」
「作は、『さくら』だぞ、平太」
「ああ、本当だ。振り仮名あった。……ゴメンね?」
「いえ、別に。慣れてるんで」
「じゃあ、ついでだから、先に点呼取っちゃうね。……富松くん、神崎左門くん、次屋三之助くん、
福富新平くん、山村きさちゃんの計6人で、みんないるね」
「お。しんべヱに、喜三太も居るのか」
「食満先輩も吉野先生も居ますよ」
「え?」
「あー。だから藤内、あんな笑いこらえてたのか」
「それでは、今日から一週間、君達には、僕の後輩としてお仕事をしてもらいます。よろしくお願いします!」
(おまけ)
「へーちゃん」
「んー。何かなきさちゃん」
「おかーさんがねぇ、『たまには顔出しなさい』だってぇ」
「そっか。解った。けど、お仕事中は『下坂部さん』て呼ぼうね。新平も」
「はぁーい」
「わかりましたぁ」
「……知り合い、なのか? そこの3人」
「実は、僕お姉ちゃん2人居て、それぞれこの2人のお母さんなんですよ」
@吉野工務店with小学生
4.君に捧ぐ(1)
「七松選手って、勝っても負けても、インタビューの時に、『ちーちゃん』って人に語りかけてますよね。
そのちーちゃんさんって、彼女さんか何かですか?」
「じゃなくて、友達んちの子。『千幸』っていって、仲間内で一番早く親父になった奴んとこの娘で、
もう小学生なんだけど、俺らみんなの大事な子なんだ」
「へぇ、そうなんですか」
@バレーボール日本代表七松小平太のヒーローインタビュー
5.君に捧ぐ(2) 翻訳家 中在家長次の場合
「中在家先生が、児童書や絵本を専門にされているのって、何か理由があるんですか?」
「……元々、興味があったが、友人の娘に読み聞かせをしたやった時、自分が訳したものの方が
好きだと言われたのが、きっかけだった」
「そうなんですか。でも、先生って大学は留学されていて、帰国した時点から、ご専門はこちらですよね?」
「17で親になっているので、大学の頃には、物心付いていた」
@翻訳家中在家長次氏と、編集さんの雑談
元拍手御礼文+α
時系列は、6ろのインタビュー以外はほぼ同じ頃かと
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