根が忍に向かぬ程優しすぎる乱太郎は、親の期待通りに忍となるか、保健委員として 身に着けたことを生かし医師となるか悩んだ結果、医療班を持つ城への就職を決めた。 しかしその城の医療班の実態は、味方兵の傷を看るよりも、 敵の捕虜への、「人体実験」と称した拷問が主だった。 更にまた運悪く、彼が就職した頃に侵略戦が始まり、医療班の 仕事が無い日というのが、ほとんどなかったのだ。 血生臭さと死臭が染み付き、悲鳴も断末魔の叫びも聞き慣れ、感覚が麻痺していく。 そんな日々を送る内に、精神に異常をきたしかけて上司に辞職を申し出たのは、 3年近く必死で耐えた後だったが、その願いは思いの外あっさりと受け入れられた。 曰く 「五年以内の新人が、気ぃ触れそうになったり、完璧に壊れて辞めんのは、よくあるからな」 とのことで、「口外するな」とだけ釘を刺された。 その後は伝手で薬師見習いとなり、数年後には独立したが、当時の記憶は、時折悪夢に見るという。

乱太郎は、多分就職前にも散々悩んだだろうから、すぐに転職はしなさそうだと思いつつ、 逆に長く勤めたらそれはそれで辞めなそうだし、そもそもそう簡単に足抜け出来ないよな。 などと考えた挙句、こうなりました。 相変わらず「嫌なリアリティ」を追究しようとしてしまいすみません 2009.2.11