今朝の伊作は寝ぼけていた。
にも拘らず、きっちり制服を着込み、
頭巾まで着けていた。
しかも、普段よりキチンとした格好な気が
していたら、案の上食満の奴が着せたらしい。
詳細を聞いた文次郎がキレかけてウザかったが、
私も今日のには少し呆れた。
曰く
「課題と調合で、寝たのは明け方過ぎて
からのようで、それがこの所連日だからな。
…どこからどこまでって、全部。
寝間着ひっぺがして、サラシ巻いて、
下着と上着せて、袴履かせて、髪も俺が結った」
…自制心が強いのか、本人の言う通り
慣れきっているのか、はたまた女子に関心が無いのか。
何にせよ、そこまで平然としているとは、
いっそ天晴なくらいだな。
(6年春)


この所、急に寒くなった。
だからと言って、よく伊作が暖を求めて
布団に潜りこんでくる。と食満がこぼしていた。
あれだけの目に遭っていながら、
何を考えているのかと説教をしたら
「だって留さんだもん」
…どう、解釈すべきだ? これは
(3年初冬)


伊作に借りていた本を返そうと奴等の
部屋に向かうと、中から子守歌が聞こえた。
てっきり後輩でも来ているのかと思ったら、
食満が伊作に向かって歌っていた。
まだ眠りに落ちていなかった伊作を問い詰めると、
「留さん、子守歌うまいんだよ」
確かにうまかったが、理由になっていないだろう。

後日。食満から補足があった。
「俺の子守歌があると、悪夢を見ないんだと」
なるほど。それなら解る。
しかし、膝枕で頭を撫でながら。
というのは過剰ではないか?
(4年夏頃)


小平太が、委員会中に見つけたという
山ぶどうを、皆で食した。
…調薬中で手が離せないからと、
食満の手から食べるのはどうかと思う。
確かに、取り分を確保しておいた所で、
気付いたら食われているのがオチだろうが
(5年秋)


「やっぱ留さんの上着はでかいねぇ」
……何故お前が、食満の制服を着ているんだ。
「え? 僕のが酷い破れ方したから、
今直してもらってるんだ。一応自分で
繕おうとはしたけど、指刺しまくっちゃって」
…そういう時は、今度からは私に言え。
私の制服ならほぼ同じ着丈だし、手先は
器用な部類に入るから、繕い物くらい出来る。
(4〜5年頃)




留伊で、男女愛でも親子愛でも可 とのことでしたので、端から見ると異様な彼らの日常にしてみました。 こんなんでよろしいですかね? 2008.10.25 おまけ補足 「同い年の男女」もしくは「年の近い兄妹」だと思うから異様なのです。 「10歳くらい離れていて、親の代わりにお兄ちゃんが育てた兄妹」 とか思っておけば大丈夫(何がだ。その前提がおかしいよ) とりあえず、私はそういう感覚で書きました