僕の中には、矛盾した2つの感情があるんだ。 1つは、「女の子扱いしないでほしい」で、もう1つは「女の子として見てほしい」 ね? 矛盾してるでしょ? でもちゃんと理由はあるんだよ。 僕はお兄ちゃんの代わりだから、「か弱い女の子」としてみんなから 守ってもらってばかりいるわけにはいかないけど、でも、それでも やっぱり本当は女の子だから、たまにはそれを思い出してほしいんだ。 無茶を言ってるのは解ってる。だけどコレが本音なんだから、仕方ないだろ。 それでね。結局は何を言いたいかっていうと、君だけなんだ。 「対等な男友達」な「僕」と、「友達の(大事な)妹」な 「わたし」の、両方を、別々の人間として扱ってくれたのが。 前から「僕達」を知ってる三人は、「お兄ちゃんの振りをしてるわたし」を 見ていて、女の子扱いとまではいかなくてもすごく過保護で、多分本人達は 意識してないだろうけど、保護者か庇護者目線なんだよね。 …元々の関係とか性格上無理もないけど。 君達は知らないと思うけど、僕の影でのあだ名は「姫」だったんだよ。 みんなして、寄ってたかって、腫れ物か壊れ物に触れるように、そりゃもう 大事に守ってくれてたからね。その所為で、それが気に食わない人達から、 睨まれたり絡まれたりも結構したけど、君達には隠したまま、自力でどうにか 出来るくらいの強さは、僕だって充分持ってるってこと、全く解ってないでしょ。 でもってこへは、全部を「そういうもんなんだ」って納得しちゃって 何でもアリじゃない。それはそれで、結構貴重で有り難い態度だけど、 つまりは完璧に異性として認識されてない。って意味でもあるよね。 その点で、君は「僕」が女扱いされるのを嫌がるからって、 「お兄ちゃん目線での妹の話」って形で「わたし」に ついて訊いてくれたよね。アレが意外に嬉しかったんだ。 まぁ、お兄ちゃんはすごいシスコンだったから、始めはそのノリで 自分の話するのは恥ずかしくて、微妙な感じになってたけどさ。 だから、えーと、もう1回まとめ直そう。 要は、君は僕らを同一視しなかったから、 「まぁ良いかな」って思った。そういうことだ。 それにね、僕の「女の子」スキルは小4までで止まってるから、 君くらいだとちょうど良い。なんてのもあるかも。 一言で本音ぶっちゃけちゃってもいい? 正直、かなり自己中で酷い理由なんだけど。 ……あのね。「君といるのは楽」なんだ。だから君の手を取った。 今の所はそんな感じ。 僕の本性なんて、所詮はこんなもんだよ。 止めとくなら今のうちだと思うけど、どうする?
無月独白シリーズ第三段。一応文←伊。 付き合い始めた頃に「何か勢いで告白受けてもらえたけど、いいのか俺で?」的なことを 訊かれての、率直過ぎる伊作さんの本音です。 病んでる感じはあまりしませんが、コレはコレでなんだかなぁ… 2009.2.7