ある日のことです。とある惑星で採取された植物の解析結果を届けに来たヒカリと、趣味で―胡散臭い―新薬の
	調合をしていたセブンに、どこぞの辺境の星の土産を持ってきたダイナが激突し、彼らの手にしていた物が全て
	床に落ちて混ざり合い、辺り一面に怪しい煙が立ち込めました。
	それからしばらくして、煙が落ち着き視界が晴れてみると……


	「……何か、視界が低いな」
	「ここはどこだ」
	「すっげぇけむりだったなー」
	「だなぁ。で、おまえだれ?」

	その場に居合わせたのは、前記の3人以外にエースとティガが居り、最初に事態を概ね正確に把握したのは

	「え。ちょっ、何が、起きたの? みなさん、縮んでますよ!?」
	「そういうお前も縮んでるぞ、ティガ。……だよな?」
	「ああ、はい。そうです」

	周りを見回し愕然としたのは、中高生位に若返っているティガで、割合冷静に言葉を返したのは、ゼロとほぼ同じ
	位のセブンでした。そして残る面々は

	「ヒカリ、だよな?」
	「誰だお前は。何故俺の名を知っている」
	「エースさんと、ダイナ。だよね?」
	「そーだけど、ねーちゃんは?」

	ヒカリは―見た目は美少女風なのにかなりガラが悪い―中学生位になっており、エースとダイナは揃って小学校
	低学年程度に縮んでいました。しかも、セブンとティガは単に見た目が若返っただけなのに、この3人は記憶も
	その外見当時のものに戻っているようでした。

	「……ひとまず見た感じからすると、実年齢の半分以下に縮んだ場合は記憶が飛んでいる。といった所か」
	「そう、ですね。そして若返り加減は、多分吸った煙の量に依ると思います」

	元が割と冷静な部類に入る記憶アリの2人の所見はそんな感じで、煙の量に関しては、爆心地にいた3人が最も
	多い筈だけれども、セブンは元々マスクをして調合をしていたのであまり吸わず、ティガは煙が起きると同時に
	息を止め口と鼻を覆ったため同じく殆ど吸わなかったようで、エースは

	「とっさに息を止めようとして、その前に大きく吸い込んでしまった。とか、そんな感じかな、コイツの場合」
	「多分、ダイナもそうだと思います」

	自分達で分析しておきながら、そんなお馬鹿な弟及び友人に、ちょっと頭痛を覚えたようです。しかも当のチビ共は、
	興味津々に周りを見回し、実験器具などで遊び出しそうになったので、慌ててひとまず移動し、周囲への事情説明
	などをしに行くことにしました。



							×××	


	「親父、俺以外にも隠し子がいたのかよ!?」
	「違う! 誤解だゼロ。ちょっとしたアクシデントで縮んだだけで、本人だから!」
	「どんなアクシデントがあると、縮むってんだよ」

	兄弟に事情を説明している所に顔を出したゼロは、父親そっくりの子供を目にするなり思い切り眉を顰め、
	セブンが弁解してもしばらくは信じてくれず、

	「やっぱ、この頃はまだ可愛かったよねぇ、ヒカリちゃん」
	「は? 何だオッサン。なれなしく『ヒカリちゃん』とか言うなよ、気持ち悪い」
	「……前言撤回。これ位の頃には、顔は、可愛かったけど、性格はもうすでにヒネてたっけね」
	
	しみじみと過去を振り返っていたゾフィーは、ヒカリに心底嫌そうな顔をされました。


	そして、セブンがガイアとアグルに手伝ってもらい、原因物質の解析した結果。時間が経っても自然には戻らない
	事が判明し、解毒剤を作成している間。特に急ぎの仕事は無かったので、残りの兄弟+αで事務仕事を片付けつつ
	幼児化したエースとダイナを看ていたのですが、

	「それじゃ何か。その謎の煙で若返ったが、俺は本当はアンタと同じ年で、アンタは俺の知っているゾフィーなんだな」
	「そうだよ」
	「そうか。ヘタレな雰囲気は変わっていないが、随分残念な感じに年を食ったもんだな」
	「ヒカリさんに質問です! 今のヒカリさん位の頃の兄さんって、どんな感じだったんですか?」
	「ちょっ! 余計なこと訊かないでくれるかな、タロウ」
	「タロウ……ああ。生まれたばかりの赤ん坊だったのが、ここまで育ったのか」

	などと、長兄を友人と元末弟がいじってみたり、ティガの名前を聞いた幼児ダイナが

	「おれのしってるティガも、おっきくなったら、このきれーなねえちゃんみたいなびじんになるとおもうんだ」
	「いや。僕はお姉さんじゃないし、そのティガ本人なんだけど……」
	
	そんなある意味想定通りのツッコミが美少女ティガから入っても、全く聞かずにエースとのほほんと

	「そっか。そのティガってかわいいのか?」
	「うん。すっげえかわいくて、おっきくなったらおよめさんにするんだ」
	
	のような会話を交わしていました。
	
	「……ティガ」
	「ええと、その、これ位の年の頃は、僕もまだよく解っていなくて、ダイナの『お嫁さんになって』を了承していた
	 のは、一応事実でして……」

	幼児当人達は、ティガ本人の気まずさや周囲の微妙な空気に気付かず、すぐに無邪気に遊びだしましたが、やっぱり
	周囲はその辺りをつっこんできました。

	その後。最近では息子達にも孫にも構ってもらえなくて淋しかった父が、ここぞとばかりに幼児になった連中と
	遊ぼうとやって来ましたが、別の遊びに夢中になっていて、やっぱり構ってもらえず、ヒカリから
	「老けたな」
	の一言を頂戴しただけでした。


	そして、結局解毒剤が完成する頃には、幼児期からパワフルなチビッ子に振り回され、皆疲れ果てていましたが、
	ゾフィーだけは幼ヒカリに過去の悪行(笑)についてバラされまいと、必死で口止めしていて疲れたようでした。



何が書きたかったのか忘れた、幼児化話でした。 家族モノなのか原作寄りなのかは、自分でも解りません ちなみに縮んだ年齢は、ティガ>セブン≧ヒカリ>>エース&ダイナかな 2010.8.14