01.昔は可愛かったのに…(ゾフィー)
過去を懐かしんでばかりいると、「おっさんくさい」とか
「年を食った証拠だ」とか言われるけどさ、本当に昔は
可愛かったよねぇ。エースもタロウも、ついでにヒカリも。
それから、マンやセブンやジャックも、あとティガ以降の
若手も、みんな初めの頃は私の事を、ちゃんと隊長として
尊敬して立ててくれていたのに、最近では可愛い気が
ないよね。いつから、そんな風になおざりにしたり、
呆れた目で見るようになったのかな?
あーあ。本当に、みんな昔は可愛かったのになぁ……
02.おい、あの男は誰なんだ!(セブン)
ついさっき、マンが訓練生だか科技局の新人だか
よく判らないが、とにかく見知らぬ奴と話して
いるのを見掛けた。
しかも、俺らも滅多に見たことの無いような、満面の
笑みを浮かべてたので、何を話していたのか訊いたら、
「何でも無いよ」
と誤魔化された。
一体アイツは誰で、何の話をしていたんだ。
いつ、どこで知り合って、何の話題であんな
笑顔になっていたんだ。
そう問い詰めたら、
「別に、お前には関係ないだろ」
と半ギレで立ち去られた。
本当に、アレはいったい何者なんだ。
兄弟総出で調べれば……いや、でも、その前に
マン本人に勘付かれかねないか
(単なる新人隊員で、通りすがりに話しかけられて、お前らの話を
していただなんて、照れくさくて言えるわけ無いだろう)
03.お兄ちゃんは過保護過ぎます。(マン)
そりゃ、確かに無断で地球に留まって、連絡を
入れなかったのも、帰還命令を無視したのも事実で、
ゼットンに負けて1度死んだりもしている。
その辺りのことに関しては、キチンと反省しているし、
メビウスに手を貸したあの一件は特例で、当分地球での
任務は望めないことも解っている。
正直、その程度の処分で済んだだけ良い方で、汚名や
そしり、陰口なんかも、甘んじて受けとめている。
確かに、ハヤタを含む科特隊のみんなにまた逢いたい
気持ちはあるし、地球に焦がれているのも嘘ではない。
それでも、やっぱり今の状況は自業自得だってことは
解っているから、他の兄弟が地球に行く度にお土産や
土産話を持ち帰ってくれる事は、嬉しいけどちょっと
心配しすぎかな。と思わなくもない。
特に兄さんは、ゼットンにやられた私を目の当たりに
していて、トラウマも良く解っているし、ハヤタへの
贖罪の想いも直接語ったからか、表立ってはそうでも
無いが、実は他の兄弟の誰よりも過保護なんじゃないかと
思うような言動も少なくない。
とりあえず、何も知らずに私を馬鹿にする、粋がった
訓練生達の実戦トレーニングに、ゼットンを初めとする、
私がかつて戦った怪獣のホログラムを使うのは、よして
もらえないかな。アレ、何気に古傷えぐられるようで、
逆にきついんだよね。
04.やっぱり可愛い…自分に似てなくて。(ジャック)
メビウスは、経験も浅く考えも少し甘くて、おまけに
根がかなりの天然なので、後輩としても部下としても、
実に危なっかしい。
とはいえ、常に前向きで、何事にも本気で感心して、失敗を
繰り返さないように学習しようとする姿勢や、案外打たれ強い
所は、先が楽しみだと言えなくもない。
そして、他の弟達や後輩達と比べたら、格段に可愛げがある
というか、間違い無く「可愛い弟」だと思う。
兄さん達にも、エースにもタロウにも、そしてもちろん私にも
似ていない、あの天真爛漫さは、やはりメビウスの持ち味で、
可愛い所だから、出来るなら今後もああいった所は失わないで
いてもらいたいと思う。しかし、いずれ下を指導する立場に
なった時には、あのままだと問題がある気もしなくはないのが、
悩みどころでもあるのだが。
05.弟離れしろよ、お前(ヒカリ)
俺の腐れ縁の友人ゾフィーは、世間的には光の国の
危機に活躍し、スターマークを与えられた英雄で、
ウルトラ兄弟最強の、クールな宇宙警備隊隊長。
ということになっている。
確かに、その実力も功績も事実ではある。
けれどその一方で、ちょいちょい職権乱用や職場放棄を
しやがっているのを知っているし、弟達に対してクソ甘い。
今でこそ筆頭教官のタロウが、まだ甘ったれなチビの頃から、
散々っぱら弟自慢を聞いてきたし、マンが消息を絶っていた
時期のうろたえっぷりや、地球に留まっていたことが判明
するなりゼットンにやられた時なんか、
「お前の研究は、こういう時の為のものだよな!? これでもし、
マンが助からなかったら、一生恨むからな!!」
とかいう、助けを乞うているんだかケンカを売っているんだか
判らない食ってかかり方をしてきやがったし、メビウスの時も
何気に地球に居たのを、俺は知っているんだからな。
全く。単に多少外面が良いだけで、アイツのどこがクールなんだ。
いつまで経っても弟離れ一つ出来ない、馬鹿兄だろうが。
06.毎日一つ屋根の下(レオ)
故郷L77星と同時に、仲間も家族も全て失い、己のみが
生き延びてしまったと思っていた。
しかし、捕らえられ監禁されていたとはいえ、双児の弟の
アストラは生きていて、俺の窮地に駆けつけてくれた。
地球に居る間は、何故か戦いを終える度に姿を消していたが、
光の国に迎えられて以降は、ずっと共にいて、師匠の息子である
ゼロの特訓も、2人で任された。
地球で得た新たな仲間達も、愛おしいと感じた相手も、再び
失ってしまったのは、俺が未熟で力が及ばなかった所為だが、
もう二度と、誰も何も失いたくは無い。
地球が第2の故郷で、光の国は第3の故郷。
それは俺にとってだけでなく、アストラ、お前にとってもだ。
生き別れになっている間、お前がどんな目に遭っていたのか。
思い出したくないなら、語らなくて構わない。
お前は俺のたった1人の弟で、たとえ離れていても、
俺がお前の帰る場所で、お前も俺の帰る場所なんだ。
07.兄弟喧嘩は盛大に(エース)
俺らももう結構いい大人なんで、くっだらないことで
ケンカするのは馬鹿馬鹿しいし、多少意見が衝突する
ことはあっても、対立する程じゃない。
けど、やっぱり傍から見たらしょーもない理由で
ケンカになることは、時々ある。
特に、体型とか戦い方とか失敗談とか、そういう所でケンカを
売られた場合は、お互い容赦無しで本気で掛かる。
時には、仲裁しようとした他の兄弟―マン兄とかジャック兄の
ことが多い―に暴言吐いて、そいつまで参戦。とかいうことに
なったり、思いっきりやり合ったすぐ後に、肩組んで笑い
合ってたりすることも珍しくないんで、周りに呆れられたりも
するけど、「ケンカするほど仲が良い」とか言うらしいし、
どんだけ盛大にケンカしても壊れない絆が俺達にはあるから、
心行くまでぶつかりあえるんだ。
08.勉強教えて(メビ)
訓練生だった時に、僕に戦い方を教えてくれたのは
タロウ兄さん……じゃなくて、タロウ教官だったけど、
地球にいる時に、他の兄さん達からも、とても色んな
ことを教わりました。
それは、戦い方だけじゃなくって、リュウさんの口癖に
なっていた「五つの誓い」や、サコミズ隊長から聞いた、
A兄さんの言葉。それから、レオ兄さんの故郷や仲間への
想いや、80兄さんと生徒さんの絆。ジャック兄さんの
葛藤。あと、マン兄さんやセブン兄さんからも、すごく
いっぱい学ぶことがあって、リュウさんに、よく
「てめぇは、常識ってもんを、もういっぺん勉強しなおして来い!」
って言われてたので、そういうのを知っていくことも、
勉強なんだって知りました。
だから、GUYSのみんなや、地球の人達や宇宙人からも
色んなことを勉強させてもらったし、これからも、もっと
沢山の事を知ったり身につけて、立派なウルトラ戦士に
なることを目指しています。
なので、えっと、「ご指導ご鞭撻お願いします!」で良いんだっけ?
09.おそろい(アストラ)
僕とレオ兄さんは、セブン隊長やタロウさんと同じ、
レッド族に近い外見をしている。
だけど、僕たちは元々光の国の民では無いから、
僕と似ているのはレオ兄さんだけで、レオ兄さんと
似ているのも僕だけ。
銀のラインの入っていない赤い体も、滑らかな線を
描く角も、僕達だけの特徴。
細部は少しずつ違うけれど、僕たちはおそろいなんだ。
ね? レオ兄さん
10.でもやっぱり好き(タロウ)
一般的には「ウルトラ兄弟」と呼ばれていて、小さい頃から
面倒を見てくれていたり、一緒に育ったような兄さん達も
居るけど、僕たちは本当の兄弟ではない。
そして、子供時代はまだしも、この年になってくると、
たとえ実の兄弟であったとしても、そんなにベタベタ
しているということは、普通無い―レオ達は例外―から、
それなりの距離を保った関係でちょうどいいと思う。
けど、それでもやっぱり、兄さん達は尊敬出来て憧れの
上司や先輩であると同時に、大好きな兄さんだし、教え子で
部下で後輩のメビウスも、可愛い弟だと思っている。
だから僕は、兄さん達と「兄弟」と呼ばれることを誇りに
感じているし、時々うっとおしかったりもしなくはないけど、
弟扱いされるのは僕―とメビウス―の特権だと思っている。
……まぁ、ダイナやマックスとかも、お馬鹿な弟ポジションで
居ても別に構わないし、案外好きだけどね。
配布元:リライト
いくつか「あ。コレいけるな」と思い、7兄弟+獅子座兄弟+1でちょうど10人で挑戦してみました。
数人初書きな気がしたり、獅子座兄弟は自分で書いておいてこっぱずかしくなったり、一部無理矢理お題を
割り振ったのもあるし、ちょっぴりマンを溺愛させ過ぎたかな?と思わなくもなかったりもしますが、
まぁそれなりに満足のいく出来になったかなぁ、と。
2010.10.28
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