ある日池袋で買い物中のユリアンは、とある洋服の前で足を止め、お連れのアミアとべスに、その服を指差し
声を掛けました。
「ねぇ、貴女達。この服なんですけど……」
「コレですか? 姫姉様には、ゴスより甘ロリの方が似合うと思いますけど」
「しかも、コレ結構シンプルなデザインですから、姉様には向いてない気がしますわ」
ユリアンが指し示したのは、シックなデザインだからこそ、着る人を選びそうなゴスロリのワンピースでした。
「それは解っていてよ。そうではなく、ジャスティスに似合いそうだと思いません?」
「確かに、ジャスティスさんなら着こなせそうですわね」
「でも、あの方って……」
ユリアンがゴス服を見て連想したのは、性別不詳のジャスティスの姿で、女性だとすれば宝塚の男役タイプの
ジャスティスなら、似合いそうな気は確かにしました。
「本当の性別がどちらかなんて、どうでもいいの。ただ、似合いそうだから折角なら着せてみたいし、むしろ
本当は男性だとしたら、より一層オイシイじゃない!」
「そうですね!」
「流石です、姫姉様」
うっとりと主張するユリアンも、残る2人も若干―かなり?―腐った思考の持ち主な為、こうなってくると止める
術は無く、
「でも姉様、でしたら私、もっと着せてみたいものがありますわ」
「それなら私も……」
などと熱く語り合い、その結果
「……ということでね、ジャスティス。この中のどれかで構いませんから、着て下さいませんこと?」
そう言いながら3人は、細身のゴスワンピと、胸元の開いていないイブニングドレスと、スリットの際どい
チャイナドレスと、それに合いそうな小物や靴などとメイク道具一式を手に、いきなりジャスティスに迫り、
ジャスティスが「冗談じゃない」と断るのを先回りするように
「コスモスだって、たまにはこういった格好のジャスティスを見てみたいと、思いますわよね?」
「どれも、胸も喉も隠れるデザインですから、性別は関係ありませんわ」
「ジャスティスさんみたいな方で無いと、こういった物は似合いませんのよ」
と、コスモスに水を向けました。するとコスモスも
「そうですね〜。どれでも、ジャスティスなら似合うだろうなぁ」
笑いながらそう答え、その目が「着て欲しいなぁ」「着てくれないかなぁ」と言っているようにジャスティスの
目には映ったため、渋々折れました。そして、結局全て着せられ、髪型もメイクも着替える度に凝りに凝られ、
挙句に写真も目一杯撮られまくりましたが、
「その写真は誰にも見せずに、自分達だけで楽しむ」
という約束だけは、辛うじて取り付けましたが、これ以降も
「今度はコレを着てみません?」
などと、ジャスティスに似合いそうな服を見つける度に迫って来るように、なったとかならないとか……
ジャスさんに女装を迫るユリアンの構想は少し前からあったんですが、思いの外腐女子トリオがノリノリに(苦笑)
というか、ユリアンも残りの2人も、腐女子属性&口調はコレでいいのか、イマイチ謎です。
2010.5.25
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