俺は、物心ついた時には既に、いわゆる「孤児院」てやつに居て、ずっとそこで育った。
	そこには、俺と同じように赤ん坊の頃からいる奴も、俺と同じ位の年の奴も居た。
	けど、赤ん坊の頃からずっと居て、誰も迎えにも来なきゃ引き取られもしないまま、この年まで
	育ったのは俺しか居ない。

	他の奴は、赤ん坊の頃から居たよう奴は大抵まだチビの頃に引き取られたし、ある程度育ってから
	来た奴らは、一時的に預けられているだけ。ってのが殆どだった。
	それ以外だと、端っから警備隊の訓練校に入れる年になるまで、しばらく身を寄せている。みてぇな
	奴らで、育ってから入る奴らは基本的に何かしらの事情で親が死んだとかそんな理由で、そういう
	奴らは大抵、孤児院の職員に訊けば、親がどんな奴だったのかいくらでも聞かせてもらえた。

	なのに俺は、どれだけ訊いても親について教えてもらえ無かったが、「死んだのか」と 訊いたら
	「事情があって手放して、会いに来れないだけで生きている」
	と言われた。

	ってことは、要は棄てられたんだろ。と解釈するようになるのは、自然な流れで、気ぃ使って隠してる
	つもりだろうが、それが仇になってんだ。
	ずっと、そう思っていた。


	だから俺は、親なんか居なくても誰よりも強くなってみせて、いつか俺を棄てた親と会うことがあったと
	しても、絶対に許さない。
	そんな思いから、プラズマスパークに手を出して、警備隊の連中に取り押さえられ、師匠達にしごかれ、
	結果的に親父が判明して、今は親子として―滅多に一緒には過ごせないが―暮らしている。

	何で親父が俺を手放したのかも、ずっと関係を隠したままだったのかも、未だに知らないし、実際は
	本当に一度は棄てられた可能性も、無い訳ではない。
	それでも、絶対に許す気が無い位憎んで恨んでいた筈なのに、いざ対面して息子と呼ばれたら、そんな
	感情は吹っ飛んで、そのことを嬉しく感じたし、アノ「ウルトラセブン」の息子であることを誇りに
	すら思うようになった。

	そんな俺を、単純だと思う奴もいるだろうが、もしかすると俺は、「自分は棄てられたんじゃない」と
	信じたくて、何も訊けないまますがっているだけなのかもしれない。その辺の真意は、自分でもよく
	解らないというか、今はまだ気付きたく無い。


	「調子に乗っている」
	だの何だの言われようと、俺には若さと勢いと、根拠の無い自信しか、多分無いんだ。
	だから俺は虚勢を張る。……その虚勢が、本物の力と実績になれば良いだけのことだろ。



少し前に書いた、ゼロの独白ネタを発掘。 書いた動機は覚えていないけど、ステージショーやら何やらでセブンに 懐きまくりなゼロを見ていて、 「単純すぎじゃないか、ゼロ?」 と思って、自分的にしっくりくる理由を考えてみた結果だったのではないかと (そして多分、姉さんに意見を聞こうと思ってお倉にしていて、忘れた気が……)