ある日ゼロは、警備隊の廊下で「お土産」と称して、ダイナからお菓子らしきものをもらった。
そこで、ちょうどいいので休憩中に仲間達と食べよう。ということになり、ミラーナイトがお茶を
淹れていた最中のこと。
『行儀が悪いぞ、お前達! ナイトが戻って来るまで待てないのか』
「べっつに、少しくらい味見してもいいじゃねぇかよ。な、ゼロ?」
そんな、ジャンボットとグレンファイヤー達の、いつも通りのやりとりが聞こえた直後。
『! な、何が起きたのだ!?』
「はぁ? どうかしたよ焼き鳥」
「……グレン。お前ちょっと鏡見て来いよ」
『いや。目線を下に落とすだけで充分だろう。そして、ゼロ。お前もだ』
という謎のやりとりに、ミラーナイトが慌てて彼らの様子を見に行くと……
「……ゼロに、グレン?」
「おう」
「そうだぞ」
そこには、茫然とするジャンボットと、少々目付きの悪い勝気そうな少女と、蓮っ葉な感じのグラマーな
お姐さんが居た。しかし、その2人の女性の身にまとっている物は、つい先程までそこに居た筈のゼロと
グレンファイヤーと同じで、状況や先程聞こえたやり取りから鑑みるに、何らかの要因でいきなり女性化
したということなのだろう。と、ミラーナイトは判断した。
そして、原因は言うまでも無くダイナからもらったお菓子以外には思い浮かばなかった為、ひとまず
女体化した2人はそのまま待機させ、ジャンボットとミラーナイトが代わりに平成組の執務室を訪れ、
経緯を説明した。すると、ガイアがダイナにお菓子の残りを出させ、
「それじゃ、ひとまず僕とアグルで解析するから、その間に医務室で診てもらって」
と言われたので、一旦戻って2人を医務室に連れて行き診察を受けていると、まずは
「また? またなの?? 本当に、私に対する何の嫌がらせよ」
と、銀十字軍隊長のウルトラの母の補佐をしているユリアンに歯ぎしりされたので、何のことかと他の
銀十字隊員に訊ねると、どうもグレンファイヤーの体型―特に胸の大きさ―が気に食わなかったらしい。
しかし、
「性別が変化している以外には、特に異常は無いようですが、服はどうしましょう? ゼロはわたくしの
物で良いとしても、グレンファイヤーに合うサイズの物はあるかしら」
とのウルトラの母の呟きに、
「私達にお任せ下さい! べス、アミア。あなた達のなら、入るのありますわよね?」
「はい! あとは、アレらが使えると思いますわ」
「まずは持って来て、合わせてみましょう!」
と勢いよく自室に服を取りに行き、持ってきた物は……
「……何だこの服は」
「詳しく言っても解らないでしょうけど、まぁ、いわゆる『コスプレ衣装』というやつよ」
「寄せてあげたり、詰め物ナシでもちょうど良いのは癪ですけど、良く似合っていますわ」
「ゼロは、ちょっと動かないで。今詰めて縫うから。……この細さは、若さ故ってことにしといてあげるわ」
「大丈夫ですよ、姫姉様。グレンさんはともかく、ゼロはただ貧相なだけですって!」
「でも、貧乳美少女は、それはそれでステータスですよねぇ」
「何言ってんだかさっぱり解んねぇけど、ようはおもちゃにされてんだな。俺ら」
グレンファイヤーは、胸元も背中も足下のスリットも開きまくりの、肉感的な体型に良く合う衣装。
ゼロはフリフリふわふわなロリっちい衣装に、靴から何から逐一指定され、髪型や化粧まで、ユリアンを
筆頭とする腐女子トリオに、ばっちりいじられまくった。
そして、コスプレが完成した頃に顔を出したティガ曰く
「時間経てば戻る筈だけど、丸1日経っても戻らなかったら再検査するそうだよ。任務に関しては、
セブンさん達に話したら、元に戻るまではデスクワークをしているように。とのことだったから。
それと、ダイナにもらったものは、ヒカリさんやガイアか、セブンさんでも良いから、とにかく
誰かに分析を頼むように」
とのことで、「ダイナからもらったものはまず分析」は、光の国の暗黙の了解と化しているという。
そして、「自然に戻るから放置」との話を聞くなり腐女子トリオの目が妖しく光り、終業後に強襲されて
ユリアンの部屋に連れて行かれ、散々コスプレさせられて写真も撮られまくる羽目になったのだった(笑)
少し戻して。一旦ユリアン達から解放され、他に着替えも無いし、着替えたのがバレたら恐ろしい目に
遭いそうな気がするし、そもそも脱ぎ方判んないし……ということで、仕方なくコスプレ状態のまま
作業をしていると、ようやく元凶のダイナが謝罪に訪れた。
「……マジでスンマセン。ホント、俺が悪かったです」
「いや、何の疑いも無く食った俺らも、ちょっとは悪かったかもしれないし……」
「ところで、その顔はどうされたんですか?」
土下座しそうな勢いのダイナは、何故か満身創痍になっていた。
「ティガに、『お前に学習能力は付いていないのか!?』って、教育的指導受けて……」
これまでもダイナは、食物のみならず動植物や機械等々、様々な物を宇宙から持ち帰り、騒動を起こしては
ティガ―時々アグルやガイアにも―にフルボッコにされた後お説教を食らい続けているが、一向に反省が
見られないのだという。
結局。摂取量が少なかった為、翌朝目が覚めた時には元に戻っていたが、就寝前にウルトラの母に借りた
パステルカラーのパジャマ姿のゼロに
「……娘も良いもんだな」
とセブンが呟いていたのが、何か引っ掛かっているとかいないとか……
女体化第2弾。ゼロ一味編
だがしかし、女体描写が少なくなってちょっと残念……
2011.6.12
戻