6月の第3日曜日。
	警備隊の大隊長のケンさんは、通称「父」と呼ばれ、殆ど養子とはいえ一応7人の息子は居るけれど、
	「どうせ今年も、連名で何か贈られるのが関の山だろうな」
	そんな風にタカをくくって諦め、期待しないようにしていました。
	けれど、夕方過ぎに訪ねて来たのは、宅配業者ではなく……

	「今年は、全員集まって呑むことにしてみましたので」
	「ジャックも、夜には顔出すそうです」
	「夕ご飯やおつまみは、マン兄さんとエース兄さんが作ってくれることになってて、これから材料を
	 買いに行くんですけど、何かリクエストはありますか?」
	「あ、じゃあ、ナスの揚げ浸し……」
	「ゾフィー兄さんには訊いてません」

	ということで、自身も父親なので自宅で妻子と過ごしているジャック以外の息子達全員と、セブンの
	息子のゼロやゾフィーの友人ヒカリまでオマケで居ました。しかし、良くみると……

	「献立は任せる。……ところで、レイはどうしたセブン?」

	セブンの養い子のレイ(3)の姿が見えなかったので訊ねると、

	「今朝、ペンドラゴンの奴らとかいうのがうちに来て、連れてった」
	「何でも、『レイと一緒に出掛ける』というのを父の日のプレゼントにしたそうで、1晩泊って
	 明日の朝帰してくれることになったんです」

	そんな説明が、ゼロとマンからなされ、そこで何となくケンさんは合点がいきました。

	「つまり、今年はレイが居らんので、家で祝われるのでは無く、私を祝いに来たのか」
	「あら、それでも良いじゃないですか。家族全員揃っての食事なんて、久しぶりですもの」

	ちょっぴり拗ねてみせたケンさんに、二コリと微笑んだのは奥様の「母」ことマリーさんで、

	「そういえば、一昨日描いていた似顔絵は、レイから受け取りました?」
	「ああ。母の提案だったそうですね。2枚とも、上手に描けていましたよ」
	「まぁ、それは良かったわ。……そうだわ。折角ですから、持って来て、タロウ達が小さい頃のものと
	 一緒に、みんなで見てみたらどうかしら」

	様々な事情から保育園やベビーシッターなどに預けられないレイは、非番の兄弟や医務室で看てもらって
	いることが多く、2日前に医務室に預けられた時に、マリーさんや他の職員が
	「お父さんの似顔絵を描いたら喜ぶんじゃないかしら」
	と勧めた所。レイはセブンを中心に、ゼロやマンや他の兄弟達も居る絵と、ヒュウガボスを中心とした
	ペンドラゴン一家の絵の、2枚の似顔絵を描いたそうで、今年も弟達の誰かに頼んで届けてもらうか。
	と考えていた所に、当人達が訪ねて来たので、2人共にレイ本人から直接渡せたのだそうです。



	という訳で、レイが描いた似顔絵や、タロウ、エース、メビウスが幼児期にかいた似顔絵や作文。
	ジャックとケンさんが、これまでにもらった息子達からの歴代プレゼントなどを肴に、大いに
	盛り上がったので、実に良い父の日になりましたとさ。




たまには、父も構ってあげよう。ということで(笑) 2011.6.19