ある日、宇宙警察光の国支部のジャスティスは、宇宙警察本部から
	「確認してもらいたい記録映像がある」
	と呼び出された。

	わざわざ自分を指名するのは、どういった内容だからなのかと首を傾げながらも、本部に赴いた
	ジャスティスは、問題の映像を見せられながらの
	「心当たりはあるか」
	との問いを、普段の竹を叩き割ったような断言口調とは真逆の歯切れの悪さで
	「私とは面識が無い連中ですので、判断しかねます」
	と否定しつつも、内心その映像を見なかったことにして、更には抹消したい気持ちで一杯で、頭痛を覚え
	目眩すら起こしそうな勢いだった。
	というのも、その映像というのは、諸事情により現在宇宙警察で環視中の宇宙海賊の戦闘シーンで、
	彼らは「レンジャーキー」というアイテムを使い、歴代の地球で活躍してきた戦隊ヒーロー達の姿を
	借りて戦うことが出来るのだが、その映像に映っていた変身後の姿の内、少なくとも1人は、戦隊ヒーロー
	というよりは、赤と銀の光の戦士に見えたのだ。

	つまり、ジャスティスと同じ光の国の戦士か確認を取るために呼ばれたのだと納得出来たが、赤と銀(と青)の
	戦士と、追加戦士の紫と銀の子とは一応面識があるが、残りの4人は名前や何者かは知っているが向こうは
	おそらく自分を知らない。
	故に、しらばっくれてもさほど問題はない。と、融通の利かない正義感の塊には珍しい判断をジャスティスは
	下したが、ジャスティスは警備隊員ではないので、全隊員を把握している訳ではないかもしれない。と、宇宙
	警察から光の国にも同じ記録映像が送られていたことが判明するのは、数日後の話。



	光の国に送られてきた映像を見た、当人達の反応はというと……

	ヒカリやアグルを彷彿とさせる、クールな剣士の自分に
	「ヤッベ、クールな俺とか、超カッコ良くね?」
	とご満悦なゼロが、同意を得ようと仲間達を振り返ると、1人は出会った頃のように体育座りで沈み込み、
	1人は腹を抱えて馬鹿笑いをしており、1人はいつも通りゴモラと戯れ、1人は特に何の反応もなく、1人は
	何かに耐えるかのように俯いてフルフルと拳を震わせていたが、すぐに馬鹿笑いをしている1人─グレン
	ファイヤー─に掴みかかり
	『何故、ナオがお前なんだ!?』
	と吼えた。

	「そこかよっ」

	てっきり自分と弟分のジャンナインが女子なことに憤っていたのだと思っていたゼロが、即座にそう突っ込んだが、
	聞こえていないのか、尚も
	『私だって赤いのに』
	と呻いたジャンボットに
	『しかし、私達は赤基調ではなく白いと思うので、仕方ないのではないか?』
	と的確だがとんちんかんな指摘を入れたジャンナインに続き、レイがポツリと

	「……ジャンとナイン、エメラナとハルナみたい」

	と呟いた。その、何の他意もない率直な感想に、より一層腹を抱えるグレンファイヤーに反論するよりも、
	ミラーナイトの隣で一緒に膝を抱えることを選んだジャンボットのショックは、コミカルでジャンナインに
	腹パン喰らった自分を目の当たりにして再度自分の殻に引き籠ったミラーナイト並だったらしい。

	「てか、レイは自分があんな感じなのはアリなのか?」
	「ゴモラ嬉しそうだったし、みんな俺達のこと『カッコイイ』って喜んでくれた。あと、俺もナイトもオキ
	 みたいだったから嫌じゃない」

	ミラーナイトと同じ位残念でキャラが違ったレイは、少し育ったとはいえ中身がまだ5歳児なので、「変な自分」
	はあまり気にならず、それよりもゴーカイジャー達に絶賛されたことや、戦隊オタクと怪獣オタクがダブって
	見えたことの方が嬉しかったらしい。

	「……確かに、アレより酷い感じになったことあるしな、お前」

	某ステージショーの時の、親父ギャグ連発に豹変していた姿は衝撃的でしたから(笑)


	「てぇことで、すげぇ喜ばれてたのは間違いねぇんだから、お前らも凹むなよ!」
	「……そう、ですね。確かに気に入って下さったのは光栄です」
	『だがしかし、1人勝ちな上にナオのお前にだけは言われたくない』
	「って、俺だってカッコ良くて悪くない感じだっただろ!?」

	美味しいとこ取りのグレンファイヤーが、ジャンボットとミラーナイトにボコられる脇で、ゼロは「だから、
	俺だって」と主張し続けていたが、レイには
	「でもゼロっぽくなかった」
	と言われ、まっさらな乳児並のジャンナインは
	「ジャンボットは、『エメラナみたい』の何が問題なんだ? エメラナは、強くて格好良かったのに」
	とレイやジャンボット本人に尋ねていて相手にされなかったのだった。





柳佳姉さんと海賊戦隊vs宇宙刑事を観に行った後の雑談派生 姉さんが書いた戦隊サイドが元になっています。 尚、私ゃ最近の戦隊モノは見ていないのでコレでアリなのかはわかりません