セブンの元に預けられている地球人のレイオニクスのレイには、ケイトという姉が居り、既にこの世の者では
無い彼女は、幽霊として弟の側で見守り続け、時にゼロ達の枕元に姿を現わしたり、お彼岸やハロウィンには
実体化していることもある。そして、実体化すると挨拶代わりにセブンやゼロを襲撃することも珍しくない。
しかし今年は、何故か春のお彼岸が数日過ぎても実体化したまま、連日ゼロのみを執拗に攻撃しに来た。
「ちょっと待て! 何で俺ばっか攻撃すんだよ。俺が何したってんだ!?」
「お前は、ゼットンを攻撃しただろう。あんな可愛いらしくいたいけな幼生を痛めつけ、私のゼットン程では
ないが美しく恰好良いゼットンを倒すなんて!」
つい先日のゼロ達の所業を指してケイトはそう抗議したが、ゼロにしてみれば地球と子供達を守るためには
倒さなければならなかったのだから、責められるいわれは無い。そう返すと、
「諸悪の根源はバット星人であって、利用されただけのゼットンに罪は無い!」
どキッパリとそう言い切られ、「バトルナイザーに保護すれば良かったのだ」とまで言われた。
「出来るかっ」
「何故だ。お前達に出来ないのなら、レイモンを呼べば良かっただろう。コスモスとやらは、怪獣を倒すのでは
なく保護をしていたと聞いているぞ」
またもキッパリと、へ理屈のようである意味正論な気がしなくもない理由を述べられては、ゼロには反論の
余地は無かった。が、言われっぱなしは癪だし、だからといって攻撃されるのは勘弁して欲しい。
ということで、打開策を探すべくひとまずウルトラマンに相談してみようとしたが、話し始めた瞬間、彼は
テレポートで姿を消した。しかし、ダイナと違ってマンのテレポートって命縮めんじゃ無かったか? と
首を傾げていると、通りすがりのタロウとエースにどうかしたのかと訊ねられたので、経緯を説明すると
「そりゃ当然だな」
「ダメだよ、ゼロ。マン兄さんにゼットンの話しちゃ」
「あ」
2人に心底呆れられるまで、それが触れてはいけない話題であることを、ゼロは綺麗さっぱり忘れていた。
「あと、絶対勝てないんだから、女の子に反論しちゃダメだよ」
「そうそう。ちょっと言い返すだけで、その何倍にも何十倍にもなって返ってくるだけだもんな」
「ねー。直接は関係ない過去のこととかまで持ち出して、こっちが謝るまで執拗に責めてきますよね」
本題に当たる問題の対処法(?)まで教えてくれ、彼女持ちとモテ男の証言なので確かかもしれないが、そういう
もんなのか? とまだちょっと釈然としなかったゼロは、もう少し意見を集めてみることにした。
「うん。女性には反論しない方がいいだろうね。レナもダイゴとケンカすると、ダイゴが折れるまでひたすら
責め続けたし、シンジョウさんもマユミちゃんに口では敵わなかったし、カミーラもホント執念深くて……」
「だよねぇ。アッコもジョジーもチーム・クロウの皆さんも、我夢でなくても敵わなかっただろうし、藤宮も
玲子さんには勝てなかったよね」
「ああ。あの女は特に、己の感情を優先した理屈で責め立ててきたからな」
平成組も―アグルですら―全員一致でタロウ達の意見に賛同し、
「そういや、ゼットン攻撃して倒したのは、お前もだよな」
と訊いたダイナも、
「ああ。俺んとこにも文句言いに来たから、速攻謝ったら一億度の火球一発で見逃してくれた」
とのことで、ダイナ―というかアスカ―の所も
「リョウ……タイガんとこの隊長。ってわかるよな? アノ人アスカの先輩隊員で、すぐ殴るから他の先輩の
口癖が『おい殴るなよ』だとか言われてたし、もう1人のマイって奴もホント口が達者でさぁ」
といった感じに女性隊員が強かった為、処世術としてすぐに頭を下げる癖がついているらしい。
そして、
「そうですね。なるべく速やかに、非を認めて謝るに越したことはありませんね」
ニッコリと笑って答えた80の背後に、ユリアンの幻が見えたのが決定打だった。
そんな訳で、ひとまず
「俺が悪かった。謝るから、もう帰ってくれ」
とゼロは渋々頭を下げたが、
「何が悪かったと思うか言ってみろ!」
と返され、「話が違ぇ!」と思った。けれど、
「……次からは、問答無用で倒すんじゃなくて、コスモスをもうちょっと見習え。ってんだろ」
コスモスの所にもケイトが攻め込んで来たのかと思いきや、1人だけ免除されていたことが判明したので「何で
だよ」とぼやいていた所
「コスモスは、ゼットンたおすのはさいしゅうしゅだんだっておもってたみたいだから。っていってた」
とレイが証言してくれたのを参考にそう返すと、ケイトは「まぁ良いだろう」と引き下がった。
そんな経験が、今後に生かされるかどうかは、また別の話。
映画派生 ゼロvs女子 第一弾
ネタバレにならない方のネタでした
2012.4.8
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