「僕が、初めて地球で戦った時のこと? えっと、リュウさんに『下手くそ』とか『何も守れてねぇじゃねぇかよ』 って怒られちゃったんだ」 シュミレーターの結果がボロクソだったゼロが、ガイアの指示に従い話を聞きに来たメビウスは、懐かしそうに 答えたが、 「誰だよ。『リュウ』って」 「僕が居た隊の、隊員さんだよ。今は隊長さんで、ヒカリが身体を借りていたセリザワさんの部下で、ジャック兄さんの 『5つの誓い』を暗唱してて、すごく色んな事を教えてくれたんだ」 「え。お前も、最初から地球人に正体ばれてたのかよ」 「ううん。『ウルトラマン』な僕に向かって。確かに、怪獣は倒したけど、町はめちゃくちゃにしちゃったから、 怒られて当然だったと思うんだ」 後から、「最初っから正体ばれてたのなんて、お前だけだ」とのツッコミが方々から入ったが、ウルトラマン怒鳴る 地球人て大概だな。と感想を述べたゼロに、父セブンを始めとする、メビウスの手助けをしたことのある面々は 「良い意味で、ウルトラマンを信用していない奴だったな」 「うん。一貫して『地球は地球人の手で守る!』ってスタンスだったよね」 「けれど、きちんとメビウスのことを仲間と認識していましたね」 「暑苦しいけど、良い奴だったよなぁ」 「僕は直接会ったとは言い難いけど、僕らが教え切れなかったことを教えてくれたんだよね」 等々リュウに対して高評価で、セリザワと同化していたヒカリや、隊長で総監でミライの後見人だったサコミズの傍で 見守っていたゾフィーも、 「アイツはそういう奴だ」 「サコミズも『リュウらしいね』って笑ってたなぁ」 と頷いていた。 その後、いくつかのエピソードを聞いている内に、「タイガの記憶」の意味が、ほんの少しだけ解ったような気がした。 続いて向かったマックスの元で、受けた刺激を全てを吸収し破壊行動を行った宇宙物体イフと、その戦いの結末を聞き、 色々考えさせられる所があったり、コスモスに至ってはラスボスを倒しておらず、「今ではムサシ達と共存してるよ〜」 とまで聞かされ愕然とした。 更に、ネクサスは「人知れず」が基本だった。とか、ティガからは恋人や親友や家族を失った隊員達の話や、力を 求め暴走したイーヴィルの話。ダイナからも援護の為に重傷を負った隊員の話や、人造ウルトラマンの話などを聞き、 つまり大事なのは、勝てば良いというものではないことと、「自分1人で戦っている訳ではない」と意識する事なの だろうと―実感はまだイマイチ出来ないものの―、解ったような気がした。 「けど、親父達はその辺のこと解ってる筈なのに、何で点数低いんだ?」 「それはね、君はランダムにしたけど、他の皆さんには苦手そうなステージをチョイスしたから。このプログラム 基本的には減点方式だから、壊したり守れないと点は下がる一方なんだよね」 曰く、市街でも周囲にあまり建物が無かった昭和組や海外組は、住宅密集地や破壊してはいけない施設のある場所での 戦闘に慣れていないため町の破壊率が高く、平成組は小器用で卒なくこなせる者ほど点数が高かったのだという。 「コスモスなんて浮いたまま後退できるし、ティガは身が軽くて、ダイナもアレで案外器用で、ゼノンさんは サポート系だからあんまり派手なことしないし、剣士はやっぱり身のこなしや足運びが綺麗なんだよねぇ」 要するに、実際の地球勤務に当たっては、メビウスやコスモスなどから聞いた話が重要だが、このシュミレーターに 関して言えば、「街を壊さない」が最優先なんだな。とのゼロの解釈に、ガイアは笑って「まぁね」と返したが、 「理屈では解ってても、実践出来るかどうかは別物だけどね」 僕も、解ってるけどついつい砂煙起こしちゃうから、点数低いんだよねぇ。そんなガイアの補足に、そういや コイツの登場シーンは、市街地ですらすげぇ砂煙立ってたっけな。と、納得したとかしないとか。