「母の日のお花はカーネーションですけど、父の日のお花も決まってるんですか?」
6月中旬のある日。そんなふとした疑問を、先輩である平成組の面々に、書類を届けに来たついでに
ぶつけてみると、
「えーと、何かあったと思うけど、何だっけ」
「バラだよ。まぁ、母の日のカーネーション程有名じゃないし、似合わないお父さんも多いから、
知らなくても問題ないだろうけど」
「けど大隊長なら、似合わなくも無さそうだよな」
「むしろ、贈る方の問題だろうな」
といった返答が得られたが、
「ガイアが雑学で知ってたんなら解るけど、何でティガが詳しいんだよ」
「僕の半身であるダイゴは、2児の父で、GUTSを退職後は火星で植物の研究をしている」
だから、ある意味専門分野だが何か? そんな風に当然のように返されたのは、たまたま居合わせ口を
挟んだゼロだった。
「バラですね。ありがとうございます!」
元気一杯頭を下げてお礼を言い、自分の持ち場に帰っていくメビウスを見送りながら、
「メビウスなら、バラの花束贈っちゃってもアリだよね」
「そうだね。……君はどうするの、ゼロ。セブンさんに、バラ贈る?」
「なっ。何で俺まで」
「メビウスのことだから、今聞いた話を、ウルトラ兄弟にもするだろうからな。おそらく、期待されるぞ」
「まぁ、レイと一緒に。ってことにすりゃ、あんま恥ずかしくないんじゃね?」
全員でゼロをいじってみると、思いの外あっさりと「……そうする」との返事が返ってきたので、ガイアは
うっかり吹き出しそうになり、ティガとアグルの双方からこっそり小突かれた。
一方その頃。昭和組の執務室では、平成組の推測通り、メビウスが兄達に父の日の花はバラなのだと
聞いたことを話していた。すると、六男でウルトラの父の唯一の実子であるタロウが、ふと思い付いた。
「7人全員で、1本ずつ違う色のバラを買って、花束にして贈ってみませんか?」
「それ面白ぇ、乗った! そしたら、俺は黄色かな。んで、赤はブン兄な!」
「案自体はともかく、何でだよエース」
「えー。赤って言ったら、やっぱりセブン兄さんでしょ。言い出しっぺだし実の息子だから、赤と同じ位
こっぱずかしい白は、僕が担当してあげますんで」
「そうすると、他の色は……」
「ピンクは、メビウスにお願いしても良いかな?」
「はい! 僕はピンクですね」
タロウの案そのものに異論を唱える者は無く、
「私やジャックに赤は似合わないだろう?」
というマンの説得で、セブンも渋々赤担当を引き受け、残る長男次男四男の3人は、
「マン兄さんとジャック兄さんは、2人で相談して、被らないようにして下さい」
「解った」
「あれ、私は?」
「ゾフィー兄さんは、紫の薔薇で」
「え。えぇー!?」
「ああ。そうだな。紫もあるから、それはゾフィーだな」
「紫の薔薇の人出来んのは、ゾフィー兄だけだな(笑)」
ということで、有無を言わせず紫と、他2色に決まった。
そんなこんなで父の日当日。マンが選んだのは
「ゴメン。ベタかもしれないけど、あんまり変わった色もどうかと思って」
と言い訳しつつも、可愛らしい淡いオレンジ色で、ジャックは
「えっと、赤茶?」
「ええ。『ブラックティー』という品種だそうで、本来はもう少し茶色が強いそうなのですが、気温などが
高いと赤みが増すらしいです」
ということで、まさかの一番洒落た所を突いてきた。
そうして出来上がった花束は、全員淡色か渋め色味のものを選んだため、意外とシックな仕上がりで、父も
少々面食らいながらも喜んでくれた。
そして、「任務完了」と思いながら帰宅したセブンに、
「コレっ。俺とレイから!」
とゼロにプレゼントと共に突き出されたのは、「今時、プロポーズでもここまでやらねぇよ」と
突っ込みたくなるような、大輪の真紅のバラの花束だった(笑)
オマケ
7:……。お前、こんなバラ、自分で買ったのか
0:え。あ、いや。エメラナんとこで摘ませてもらった
7:そうか。(それはそれで、どうなんだろうな)
オマケ2
G:ティガー、コレあげる
TI:は? バラ? 何で
G:んー。この手のイベントって、僕ら関係無いけど、たまには便乗したくて
TI:……ああそう
D:お。すっげ、青いバラじゃん
AG:インクを吸わせた白バラだけどな
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