ある日のこと。新しい変装の参考にするために、アレコレ資料や文献を漁っていたセブン21は、
とある並行世界の資料を見付け、
「これは面白い」
と、何か思い付いたようにニヤリと笑うと、その資料を手に医務室まで足を運び、端っこの方で
ナインと一緒にお絵描きをしていたレイに、
「お兄ちゃんだよ☆」
と宣言してみたが、レイ本人やナインはおろか、周囲の銀十字隊員達にも
「何言ってんだコイツ」
的な顔をされた。しかしそんなことは想定の範疇というか、まぁ当然の反応だね。と全く気にせず、
「とある世界では、私はウルトラセブンの息子なんだ。だから、ゼロの兄で、君の義兄にも
当たるんだよ、レイ」
と説明しながら、持参した証拠の資料─某マンガ─をレイに見せた。
そのやり取りを見て、とりあえず数人の銀十字隊員達は「ああ、アレね」と納得はしたが、
ふと別の繋がりも思い出してしまった。
「ねぇ、アミア。アノ設定だと、たしか21の母親って貴女よね」
「……そうですね」
他に適役の女子が居なかったからだろうけど、そこまで持ってこられると色々面倒だから、
出来るなら巻き込まないでよ21。
との銀十字隊員達の祈りも虚しく、パラパラとマンガに目を通していた精神年齢ちびっこ達が
『母親は、アミアか』
「ゼロの母も?」
と気付いてしまった。
「さて。どうだろうねぇ(ニヤニヤ)」
「違います!」
「コレは、別世界の話で、全員だいぶ別人だから、忘れなさいアナタ達」
「21も、子供達を惑わすような言動はやめなさい! 良いわね!!」
21が余計なことを抜かす前に、即座にアミア当人がレイの仮説を否定し、ベスがマンガを取り上げ、
ユリアンが21を叱り飛ばした。
「わかりましたよ。これ以上言うと、後が怖そうなので、この辺りで引き下がりましょうか」
そう言って21が立ち去った時点で、銀十字隊員達的には
「ホントろくなことしないわよね、21って」
としばらく呆れてはいたが、この話は終わったと思っていた。
しかし、その日の夜。「今日は何してたんだ?」とゼロに訪ねられたレイは、遊んだ内容や
ナインや銀十字隊員達との会話内容やオヤツについて並べ立てた延長で
「21が、ゼロと俺のお兄ちゃんだと来た」
と口にした瞬間。ゼロはものすごい勢いでセブンを見たが、
「知らん。違う。また何か冗談だろう」
と、セブンはそれを全力で否定した。
「21は、証拠も見せてくれた」
「証拠?」
セブン系というか、まんま「セブン21」だから、ゾフィーとマンとジャック並に似てはいるが、
それ以外に何の証拠を示されたんだ!? と詰め寄る義父と義兄に、レイは見せられたマンガの
タイトルを挙げた。
「あ、ああ。アレか! アレは、別の世界観での設定で……」
やっと出典がハッキリしたセブンが、胸を撫で下ろしながら、ゼロとレイの誤解を解くべく
説明しようとした矢先。何処からともなく─多分、開いていた窓から─打たれた光線が、
セブンの頬をかすった。
すぐさま「敵か!?」と身構えたセブンとゼロが、光線の発射元と思しき窓の外を見やると、
プラニウム光線の構えをとり、目の据わっているジョーニアスの姿が目に入った。
「は!? 何でだよ」
「……ゼロ。君は関係無いから下がっていろ。僕が用があるのは、うちの妹に
手を出した、そこの赤い人だけだ」
えーと、ジョーニアスの妹って……ああ、アミアか。って、それよりも、何か今、
とんでもないこと言わなかったかジョーニアス!?
と、一瞬間を置いてからゼロが目を剥くと、
「誤解だ! というか、別世界の設定で、この世界の俺は関係無い!!」
「は。え。マジでどういうことだよ親父??」
さっぱり展開についていけないゼロが困惑していると、レイがポツリと「21の母がアミア」と呟いた。
「だから! 全く違う世界観の俺に、アミアが妻で、21が息子な奴が居はするが、この世界の
俺とは関係無いんだ!」
ジョーニアスの攻撃を避けつつ、セブンがそう叫んだことで、ゼロはようやく多少事情は解ったが、
ジョーニアスは
「たとえ異世界のであっても、アミアはアミアでしょうが!」
と、引く気は皆無のようだった。
てことは、俺も参戦して、抑えなきゃなんねぇのか? とゼロが思い始めたところで、ようやく
アミアが「恥ずかしいからやめて!」と止めに来て、
「異世界の設定にまでイチイチ目くじらを立てていたらきりがないでしょう」
「いや、でも……」
「良いから、セブン達にこれ以上迷惑掛けるようなら、兄さんとはしばらく口利かないわよ」
「……解った。すまない、セブン、ゼロも」
みたいなやり取りの後。アミアに引き摺られるように帰って行った。
「……で、結局、21は俺の兄貴じゃない。ってことで良いんだよな、親父?」
「ああ。俺と21が親子設定の世界観は存在するが、この世界とほとんど繋がりは無いと言っても問題ない」
ジョーニアス達が去った後。改めてゼロが尋ねると、セブンは力一杯頷いた。そして、念のため翌日
マンを始めとするウルトラ兄弟達にも確認を取った所、
「アレは別世界だから」
「なるべくなら、あの世界観とは、同一視されたくないしね」
「……アノ世界観に、私は居ませんし」
「あー、無視して平気平気」
「だいぶ前のだしねぇ」
「いますぐ記憶から抹消しろ」
と、通りすがりのティガを含むほぼ全員一致で忘れて良いとの答えだったので、心置きなく21を
フルボッコにしに行くと、既にセブンによってギッタギタにやられた上で、ネオスからこんこんと
お説教を食らっている真っ最中だったゼロが、何となく拳を持て余しながら仲間達の元へ行くと、
ナインから21の話を聞いたらしきグレンにいじられかけたので、「違ぇし」と説明しながら一戦交え、
改めて他の連中にもセブン達から聞いた話を説明した。
しかし、イマイチまだデータの上書きや消去が苦手な精神年齢ちびっこ達は、
『セブン21は、セブンの息子だがゼロの兄ではない??』
「21は、お兄ちゃんじゃないのか?」
などと混乱し、マンから改めて懇切丁寧に詳しい解説をされたが、
「21はゼロのお兄ちゃんだが、俺のお兄ちゃんではないのか?」
『セブン21とゼロは、ウルトラ兄弟のような関係か?』
程度に持って行くのが限界だった為、再度セブン父子にフルボッコにされた後、ネオスの
説教と「1週間口を利かない」という刑に処されたのだった。
ブンさん絡みの別の話題派生の姉さんリク
「ウル忍では、21が息子なんだよねぇ」→「その世界観だと、21はゼロの兄か?」
→「21がそのネタでゼロをからかいに来たらウザいな」→「搦め手でレイちゃんの方へ」
的な流れで「書いて」とねだられたんですが、こんな感じでよろしいですかね姉さん?
2012.7.7
戻