いつの間にやら年中行事化した宇宙警備隊のハロウィンの、今年の仮装の規定は、「自分の所のでなくても
いいから怪獣or星人で」だった。そのことに関し、去年は関わりのある奴縛りだったのに今年は縛り無し?
との疑問の声も上がったが、
「自作縛りだとネクサスやUFZとか助っ人組は選択肢が少ないし」
という真っ当な理由から
「僕は、可愛いメビウスが見たいんです!」
「ティガは、ローランかアプラサか、僕と一緒にピット星人ね!」
「ピット星人は、私とネオスでやりたいので譲ってもらえません?」
等々の、企画者組―五男六男とガイアや21など―の主張などで、何となく訊いたメンツも納得した。
「……。去年もだけど、何で選択肢がことごとく女装なんだ。僕はどれも嫌だからな」
「僕も、女装は御免被りたいんだけど」
宇宙一美しい怪獣か天女かセクスィーな星人で! と持ち掛けるガイアと、2人セットなのは自分達が!!
と名乗りを上げた21の提案を、ティガもネオスも却下した。だがしかし、そんなもんでメゲる連中な筈もなく、
「だったら、パンドンやペスターなら良い? ネオス」
「えー。2人で一つの着ぐるみ着るくらいなら、まだピット星人の方が……」
「じゃあそれで決定で☆」
いや、あのさ、まだマシ。ってだけで、了承したわけじゃないよ!? とのネオスの反論は綺麗にスルーし、
「セブン先輩のとこのよりも、マックスの方かな」
などと算段を始めた21は、何を言っても無駄な感じで、ガイアの方も
「サロメ星人は?」
「ヘロディアだろ。却下」
「じゃあ、ペダン星人」
「搦め手のつもり? ハーランの格好させる気なのが見え見え」
「仕方ないなぁ、それじゃケイトさんで」
「どこも譲歩してないどころか、どんどん露出上がってるだろ」
「だって、折角なら綺麗で似合う格好して欲しいんだもん。それに、無骨で不恰好な怪獣とか星人は、
キャラじゃないでしょ」
確かに、ヒッポリトとかゴーデスなんかは、不快を通り越してあり得ないし、どうせこっちが折れるまで
引く気無いんだろ。とティガが溜息交じりに返すと、ガイアは「言質を取った」とばかりに目を輝かせ
「それじゃ、今挙げた中から選ぶけど、ピット星人は21達に取られちゃったから、アプラサかローランなら
もう片方を僕がやるし、ヘロディアだとロプスかぁ。露出も低いしつまんないから、ヘロディアはナシで
いっかな。ハーランならキングジョースカーレットで、ケイトさんならレイやっちゃうよ。って、それ
良いな。レイオニクス姉弟にしようよ、ティガ!」
と調子に乗りまくって暴走し始めたので、
「……ゼロとセブンさんが煩そうだから却下。レイの代わりにゼットン。てのも無しだからね」
と、最後の抵抗とばかりに釘を刺した結果。ハーランwithキングジョースカーレットということになり、
「あ、そうだ。ついでだから、アグルにダイルの格好させよっか」
との思い付きは、
「ネクサスとメビウスがしょっぱい顔しそうだから却下」
ということで、キングジョーブラックに留めておくことになり、ダイナは端から
「俺ヒマラやる!」
と宣言していたので、1人だけ仲間外れ状態になっており、後でそのことを抗議したが、
「えー。だってダイナは最初っから決めてたし、打ち合わせに参加してないじゃん」
とガイアはにべもなかったという。
一方その頃。ゼロ一味ことUFZも、資料室から借りてきた過去の怪獣や星人のデータを眺めつつ、各自
何の仮装をするか話し合っていた。
「ゼロちゃんは、もちろん今年もピグモンだろ(笑)」
「なっ、違ぇし」
「それでは、何の仮装にするのですか?」
「…まだ決めてねぇけど」
『ならば素直にピグモンにしておけば良いのではないか』
『有機生命体8号では、何の不都合があるんだ?』
「いや、別に、不都合は無ぇけど、去年もやってっし…」
お前○○のこと好きなんだろー。だの、修学旅行の班行動はアイツと回りたいんだろ(笑)だのと
冷やかして遊ぶ中坊ノリのゼロ達に、
「じゃあ、ピグモンは私がやるけど良いよね」
と声を掛けたのは、通りすがりのマンで、UFZの連中が騒いでいたのは警備隊の食堂なので、
特に不思議は無い展開だった。
「え」
「シーボーズは去年やったし、あの子元々は私の所の友好珍獣だよ?」
「確かにまぁそうだわな」
「では、ピグモンはマンさんで」
『どうしたゼロ? 複雑そうな顔をしているが』
「い、いや。何でもねぇ」
タロウやエースなどの叔父達や平成組の見立てでは、「周りに押し切られて仕方なく」という態で
ピグモンやるつもりだったんだろうね。ホント中二病全開なツンデレなんだから(笑)といった感じの
ゼロは、ピグモンでないとなると、何にするのか本当に何も考えていない様子だった。
「そういうお前らは、何の仮装すんだよ」
からかわれまくって逆ギレしたゼロが仲間達に訊ねると、データを眺めながらミラーナイトがポツリと
答えたのは、
「そうですね。プリズ魔にしようかと思います」
『属性や名前の響き的には合っているように思えるが、動きにくそうだな』
やるとしたら、着ぐるみ通り越して置き物だろ! とツッコミを入れたくなるような怪獣を選び、反射的に
ツッコミを入れたジャンボット以外からも総ツッコミを受け再考した結果、蜃気楼怪獣のファルドンに
落ち着いたが、出典であるティガ以外からは、「その怪獣何?」と訊かれたので、もし次回やるならば、
もう少し知名度の高い怪獣なり星人にしようと決めたようだった。
「お、良いの思い付いた。俺こないだ会ったマグナとかいう奴やっからさ、ゼロちゃんバレルの旦那で、
あと1人、鳥……じゃなくてガルムのおっさん役誘ってラッシュハンターズやろうぜ」
見た目もノリも似ているグレンファイヤーにマグナはかなり似合いそうだし、「孤高でクールな感じとか、
アリだよな」と、ゼロもその提案に結構乗り気だったが、
「キャラはだいぶ違ぇけど、ボロっボロのマフラーと、ボロ布マントつながりで(笑)」
とのグレンの説明で大いに納得されてしまったのが、不本意なようだった。
しかも、「最年長でまとめ役で鳥ってことで」と、まだ仮装を決めていなかったゾフィーをガルム役に
誘い、何の嫌がらせか嫌味かと猛抗議を食らったが、「守銭奴だけどカッコいいのは間違いないですよ」
と弟達に諭され、渋々参加した結果。「嫌そうなのが逆にらしい」との高評価を得てしまった(笑)
ちなみに、UFZの残りのジャン兄弟は、
『僕は兄さんの格好をしようと思う』
『では、私はナインの格好でもするか』
と、無自覚にゼロとレイの義兄弟並のイチャラブっぷりを発揮し、グレン他に大いにからかわれたが、
自覚していないだけにからかわれる理由が解らず、いつものケンカになっていた。
それ以外の面々の仮装は、
「エース、その格好は?」
「ん。エースロボ。ジャック兄は、ブラックキングか」
「まぁ、折角ですからね。それにしても、手抜きすぎませんかソレ」
「けどタロ坊もカオスTだぜ」
という、「猫耳着けただけは仮装か?」レベルの五男六男や、ジャックと同じくギンガからの連想で
「ラゴンはどうかな。アイドル志望で、SDの声も可愛いよ」
「嫌よ。ビジュアルがどう見ても可愛くないじゃないの!」
「じゃあ、レディベンゼン星人で、私がベンゼン星人をやるのはどうかな」
「そう、ね。意外とアリかもしれないわ」
とかリア充爆発しろ。と言いたくなるようなやり取りを繰り広げていたが、ユリアンと80なので誰も何も
言えなかったり、
「ジャスティスはパラスタンで〜、レジェンドはグラルファンで、僕はキュリア星人ね〜」
「……基準は何だ、コスモス」
「えっとぉ、僕の所の星人とか怪獣の中でも〜、綺麗で善良なのを選んでみたんだぁ」
「き、綺麗だとか、善良の定義は!」
「守護獣と、聖獣と、医者してた浄化宇宙人だから?」
「そうだよぉ、レジェンド。ね? 綺麗で善良でしょ〜」
というコスモス一家も、勝手にやってろバカップル+1。ということでスルーされたり、
「……ジャミラかぁ、レイ」
「で、ゴモラはエレキングなのか」
「うん。ゴモラと2人で選んだ」
思い入れがあるのは解ってるし、エレキングはまぁ別に良いんだけど、一応地球人のレイオニクスの
レイがジャミラって、かなり古傷えぐられるんだよねぇ。と密かに凹んでいるマンの横では、今年も
ガチに金属製なウィンダムの格好のセブンが、アギラから「ウィンダムばかり贔屓し過ぎだ」と
責められており、アギラをなだめようとしたミクラスも「お前だって可愛い隊員の女の子にチヤホヤ
されてただろ!」と逆切れされていたり、獅子兄弟は21と同じ理屈でアストラが双頭の怪獣である
ディノゾールリバースを選んで2人で仮装していたり、去年ザムシャーが似合いすぎだったヒカリは
今年は戀鬼で「ホント武士似合うよね」と言われていたり、
「ダダかギギで、3人で顔三つを分担するとか、どうかな」
「あー、ソレ良いな。俺は乗った」
「俺も良いよ。んじゃ、顔だけじゃなくて色も違って解り易いから、ギギにしようぜ」
と、ネクサスが自分同士で話し合って決めたは良いが、
「そうすると、順当に選べばジュネッスが赤で、ジュネッスブルーが青かな」
「ん。ああ、そうだな」
「って、ちょっと待て。そうすると、アンファンス黄色か? 似合わなくね?」
と物議をかもしたりもしたが、結局他に妙案も浮かばずそれで行くことになった。
そして、
「うわー。本人よりちょっぴり優男だけど、懐かしいなぁ。ホントそっくりだよねぇ、君ら」
通りすがった全員が、一瞬目を疑った仮装をしていたのは、真っ白い鎧に身を包んだゼノンと、ゼノンの
猫耳帽を被せられたメビウスで、シャマー星人の格好の最強最速のお馬鹿さんに至っては
「メロっさんが若返った!?」
とのお約束な反応を見せたので、こっそり耳打ちして
「えっと……『相変わらずの単純馬鹿ですねぇ、貴方は』」
とメビウスに言わせてみたら、
「うぉっ。ゼノさんも若返ってる」
と、やっぱりベタ過ぎる反応を返してきたので、面白いというよりやっぱり残念だとゼノンは思ったとか
思わないとか。
「鎧を借りに伺ったら、ファイタスさんがアウラさんの鎧をメビウスに、ご自分の鎧をヒカリさんに貸して
下さいましたので、一応打診してみたのですが、ヒカリさんには断られ、メビウスにアウラさんの格好を
させるのもダメだと言われたので、メビウスには私の帽子と隊服を貸してみたんです」
「うん。たしかにヒカリちゃんは反対しそうだけど、そもそも何でそんな紛らわしい仮装しようとしたのかな」
「ナイスさんの仮装を見て、面白いかと思ったのですが、ダメでしたか?」
そんなナイスの仮装はというと、「あれ? イーヴィルが居る」と思って声を掛けたら、ニヘラっと
ありえない脂下がり方をした上「そんなに似てる??」と訊いてきた声を聞いて初めて気付く程の
クオリティというか、黙って真顔でいると実はティガ似のイケメンなんだよなぁ、コイツ。といった
感じで、ついでに
「着ぐるみは暑くて臭くてばっちいので嫌です!」
なゼアスは、ガイアの勧めで空気清浄機ことテンカイ……って、プリズ魔以上に置物にしかなりませんよね!?
ううん。自走装置つけたから大丈夫だよ☆ 状態だった。
そんなこんなで、だいぶカオスな仮装まみれの警備隊内を、びみょーに姿勢の悪い正体不明のアーマード
ダークネスが闊歩していたが、キングの格好をした大隊長のウルトラの父が嬉々として案内していたので、
大方の隊員達は
「来賓か何かかな?」
と思っていたが、数人
「確かに、顔は隠れてるし、案内と同時に傍で見張っているような状況とはいえ、職権乱用って言いませんか
大隊長!? その中身、某猫背の黒い元ウルトラマンですよね??」
と気付いてしまったが、あまりにも楽しそうに元盟友を案内する父の姿に、何も言えなかったという。
おまけ
レイから送られてきたハロウィンの写真を見て、
「うわぁ〜、ウルトラマンが仮装してる〜vvv」
と狂喜乱舞した、ペンドラゴンのオキが
「ボス、副長、クマさん。僕らも折角ですから、何か
仮装して、レイに写真を送り返しましょうよ!」
と提案すると、3人共快諾してくれた。
そんな訳で、有り物で主に人型の星人に
仮装することになったのだが――
「クマノ、お前、その制服は」
「ああ。私物の中にありまして」
「何で持ってるんですか!?それ、
ナイトレーダーのですよね。って、
副長も何でGUTSの制服なんですか!?」
「兄さんが貸してくれたのよ。
だから、やっぱり少し大きいわね」
とかいう、だいぶアウトな仮装が混じっており、
案の定レイから写真を見せられた光の国の面々も、
何人かが嫌な顔やしょっぱい顔をしたという。
ハロウィン2013
超全集等を拡げながら仮装を選んだので、マイナーな怪獣が多くなってスミマセン
2013.10.26
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