2014年のウルフェス開始1週目の、ウルトラショットの控え室にて。
ティガへの差し入れに来たら、どことなく不機嫌そうな様子のタロウが目に入ったダイナが、ティガに目線で
(何かあったのか?)
と尋ねたが、ティガは心当たりは無いとばかりに首を振った。


「そっかー。何かヤなことあったのか、タロウ兄ちゃん?」
(何でもないよ)
「リア充爆発しろ」

率直に尋ねたダイナへの、タロウの答えは


「……。えーと、多分、本音と建前が逆になってんぜ、タロウ兄ちゃん」
「え。うそ。しかもダイナに指摘された!?」

愕然とするタロウに、そこまで「あり得ない」って顔しなくても……。とダイナが思っていると

「屈辱ですよねぇ。ダイナ如きに揚げ足を取られるなんて」

と、ティガがタロウに同調した。


「おーい。『ダイナ如き』とか、流石にそれは酷すぎね?  俺を何だと思ってんだよティガ」
「迷子で単細胞で、数も数えられないような、バカ犬?」
「うーわ。超イイ笑顔だし」


先日の八尾のステージの出来事も持ち出し「何当たり前のこと訊いてるの?」と言いた気に微笑みながら小首を傾げる
ティガと、ツッコミを入れるダイナに、タロウは

「……マジ爆ぜろお前ら。もしくは、せめて僕の居ないところでやれ」

と低い声で呟くと

「ハワイでは撮影係兼荷物持ち兼ツアコン扱いで、僕なんか眼中に無い位いちゃラブな父さんと母さんに
 充てられっぱなしだったし、ギンガは何かビクトリー攻略し掛けてるし、何なの?  僕の教え子は、
 ことごとく無防備な天然タラシで、ツンデレ落とすのが特技なの!?」

と絶叫した。



「ていうか、よく考えると、僕以外の殆どがリア充だよね!? ゾフィー兄さんには一応サコミズ居るし、
 マン兄さんは気付いたらセブン兄さんの嫁化してるし、ジャック兄さんは妻子持ちでエース兄さんも
 夕子が居るし、80とユリアンにレオアストラに、ナイスもアレで妻子持ちだし、ガイア達やコスモス達は
 自重しないし、マックスの『今日はゼノさんにこんなこと怒られた』話が何か最近幼馴染モノとか学園物の
 委員長とバカみたいに聞こえてくるようになったし、ゼロとレイはラブイチャだし、君らも見せつけてくるし!」


等々、ブツブツ言いつつ叫ぶタロウに、「ああ。色々疲れてて溜まってるんだな」
と納得したが、
「でも、俺らはいつも通りで、別になんもしてないけど……」
ダイナが恐る恐る言ってみると、
「無自覚でナチュラルに空気違うのが、1番性質が悪いんだよ!」
とキレられた。
そんな、タロウが叫ぶ直前までのティガとダイナのやりとりはというと、


◇

今年は、アイスじゃなくてクレープみたいだけど、どれか買ってくるか?

いらない。特に気になるのも無かったし

そっか。んじゃ、とりあえず飲みもんだけ置いてくな。こっちが冷えたスポーツドリンクで、こっちが常温のお茶

お茶買ったの?   作り置きあったのに

いや。詰め替えて来ただけ

なら良いけど

あ、あと、昼休憩何時だ?

えーとね……

んじゃ、その時間にまた来るから、何食いに行くか考えとけな

僕は特に希望は無いけど、ダイナは何が食べたいの?

んーと、肉?

そう。でも、あまりガッツリ行く気にはならないなぁ

そんじゃ、沖縄料理屋は?   ソーキそばは肉乗ってるし、アッサリめもあるだろ

沖縄料理は、ガイア達が行きたがってたから、夕飯にしようか

らじゃ。そしたら昼は、店見ながら決めるか


◇


「って、君らにはさ、日常かもしれないけど、僕からしたら『いちゃついてる』に分類されるレベルだからね!?
 というか、こないだ80とユリアンが似たようなやりとりしてたし!」


あからさまにいちゃラブなのより、そういう自然な夫婦感の方がムカつくことがあるんだよ!   これならまだ、
レイのお母さんしてるって理由がある分、マン兄さんの方がマシだし!


等々叫び続けるタロウに、ダイナはこの場合自分がどういった対応をするのが正解なのか解らず困惑していたが、
ティガは割と冷静に
(確かにまぁ、最近はこのバカに甘やかされるのに慣れて、放置気味だったし、ガイアもあまりイジってこなくなったしな)
と、自分達のやりとりが他者にはどう見えているかを、一応認識した上で流していた。
しかし、これ以上タロウをキレさせても何も良いことはないので、
「所で、そろそろ交代の時間ですね」
と話題を逸らしてみた。すると


「……ギンガさぁ、休憩時間はビクトリーを案内して回る予定なんだって。それこそ、クレープ食べたり、縁日で
 遊んでみたり、ふれあいステージできゃっきゃしたり、本人達にそのつもりは無くても、紛うかたなきデートだよね。
 ホンット、マジでリア充爆発しろ」


逸らしたつもりがドンピシャで地雷だったようで、再度呪いの言葉を叫ばれた。しかし、言うだけ言って気が済んだのか、
はたまたこの話題を続けるのが嫌になってきたのか、タロウは気持ちを切り替えるように、両手で己の頬を軽く叩くと、
交代の為に控え室を出て行った。



その後。何度か待機時間で顔を合わせた時や、交代の為に控え室に戻って来た時には、タロウが再度キレたりぼやくことは
無かったが、自分のショットの時間中に出歩いていることが多いのは、ギンガ(と、控え室を訪ねて来るビクトリー)と顔を
合わせたくないからかな。と、ティガは分析した。そんな話も併せ、夕飯時にガイア達にも今日のタロウのプッツンの話を
すると、

「ビクトリーって、アグルやヒカリさんと違って、ツンデレっていうか無愛想でぶっきらぼうなだけだよね。あと、
 あの子達さぁ、転び方によってはコスモスとジャスティス系になりそうじゃない?」

と、ガイアは楽しそうに分析したが、そこはあんまり掘り下げたくないなぁ。と、ティガはこの話題を振ったことを
後悔した。


ついでに、ふれあいステージの握手会であまりにも愛想の無かったアグルを注意したが、一向に聞き入れる気はない
様子だったので、ガイアからも言って。と振ったら
「アグルの愛想は僕と藤宮専用だし、この素っ気なさがアグルの持ち味だしぃ?」
と、こちらも全く気にしていない様子で、再度話題のセレクトを間違えたことにイラっとき始めたティガを、どうにか
宥めようとするダイナの様は、たまたま同じ店に居合わせた姫様(with80先生)曰く


「バカップルでマイペースな妹夫妻にキレてる奥さんを宥める旦那さん。って感じだったわv」


とのことらしかった。




7/27(日)のウルフェスで見たものを元に書きましたが、ネタバレ皆無という(笑) 「リア充爆ぜろ」と叫ぶタロウ教官(12000歳 独身)を書きたかっただけです