ジャスティスがやむを得ない状況や相手―職場の上司や医療機関等―を除き、性別を公表しない理由は
	いくつかあるが、その中で最も大きいのは「性別だけで判断されたくない」で、正確には

	「女性であるというだけで、軽視されたくない」

	ということで、一般の男性に劣らないだけの身体能力を身に着け、女性である故のハンディ―月経等―を
	一切悟らせること無く、男性警官と同じ条件と業務をこなしてはいるが、一応女性だったりする。

	そして、女らしい格好や言動が自分には似合わないと思っているというか、自分がそういった言動を
	することが生理的に受け付けない上、常に隣に居るコスモスが、自分より小柄で格段に可愛らしい為、
	より一層気が引ける。という要素もあるらしい。

	それでも、お互い違う意味で性別不詳で、お互いにお互いの事を誰よりもよく解っており想い合っている
	ので、デコボコでちぐはぐだけど、だからこそ何となくバランスが取れたカップル。という周囲の認識に
	落ち着いており、ジャスティス的にはそれで充分だが、コスモスの「いつかは子供も欲しいよねぇ」との
	願いを叶えてやりたい気持ちも、無くは無い……

	などと考えていたある時。ついにその「いつか」がやって来たことが判明した。
	その時点で、勿論選択肢は「産む」しか存在していなかったが、問題は「いつから産休を取るか」だった。

	コスモス的には、ただでさえ心配なので早めに休んで欲しいが、ジャスティス的には、なるべく周囲に
	性別を明かしたくないので、可能な限りギリギリまで取得しない。ということで一悶着起き、ひとまず

	「じゃあ、お腹目立ってきたら産休取って、それまでも、なるべく無理の少ない仕事を回してもらって」

	とのコスモスの主張を飲んだが、一般的にはだいぶ腹部が目立つ月齢になっても、ほとんど傍目には
	判らない程の変化しか現れなかったため、再度

	「いい加減、産休取ろうよ〜、ジャスティス。何かあったらどうするのぉ」
	「デスクワークに変えてもらったのだから、大丈夫だ」
	「……じゃあ、何かあったら、すぐさま産休とって、入院してもらうからねぇ」

	との攻防が繰り広げられたが、結局ジャスティスは、産前1か月、産後2か月の計3か月しか休暇を
	取らず、逆にコスモスが1年程育休を取得したのだった。



ということで、当家的にはジャスさんが奥様でレジェのお母さんです(笑)