上機嫌で光の国に帰還したメビウスが、一番の大手柄だったダイナの元に、礼を言いに行くと
	「良かったな」
	と笑う彼の表情は、空気が読めないと評判のメビウスでさえ気付く程に、普段より硬かった。


	「ダイナさん、どうかしたんですか?」

	心配そうに問い掛けるメビウスにダイナは、これまた彼らしくない、躊躇するような表情で、目を逸らし
	口籠った。

	「……ダイナ。自分からは話したくないなら、僕達が話そうか? この子は、お前と同じ痛みを知っている」
	「いや、良いよ。自分で言う」

	静かな声で助け船を出したのはティガで、ガイアやアグルも、何かを知っているような顔で見守っていたが、
	ダイナはその申し出で逆に決心を固めたようで、それを固辞した。

	「……俺は、ブラックホールに飲み込まれた直後、ほんの一瞬意識が飛んで、その瞬間にアスカを手放し、
	 見失っちまっって、今もずっと探してる。だから、今回たまたまヒロトを見付けて、地球の家族の所に
	 帰してやれたことは、すげぇ良かったって思うし、ヒロトとアスカの状況は似てるから、望みが持てた
	 って思えなくもない。けど、やっぱり、俺が見付けて、地球の家族や仲間に帰してやらなきゃなんない
	 のは、アスカと、アスカの親父なんだ」

	いつも陽気に笑いながら、馬鹿をやりつつしょっちゅう迷子になっているダイナに、そんな秘めた事情が
	あったことを知らなかったメビウスは、申し訳ない気持ちでいっぱいになり、一気にシュンと縮こまったが、

	「気に病まなくても全然平気だよ、メビウス。単純馬鹿でお祭り騒ぎ好きで迷子なのも、全部こいつの
	 素だから。別に無理とかはしてなくて、ただ、今の話も、アスカ達を探しているのもホントなだけ」
	「そう。正直、マンさんがハヤタさんに抱いているジレンマと、似たようなものだから、むしろ気に
	 しないで、いつも通りでいてあげて」

	などと、ガイアとティガにフォローされ、ダイナ自身にも

	「ごめんな、余計な話して凹まして。ぶっちゃけ、アスカも親父さんも、多分結構呑気に宇宙を飛び
	 回ったりしてて、案外お前んとこのサコミズ隊長みたいに時間の流れ違って、見付けてみたらまだ
	 そんな時間経ってる感じじゃない。なんて可能性もあるし」

	と、大分いつも通りの笑顔で言われたので、

	「はい! えっと、なるべく早く、元気な姿で会えると良いですね」

	と笑い返すと、「そうだな」とくしゃりと頭を撫でられた。




公式に沿うように、ダイナが宇宙駆ける迷子な理由を 考えていったら、こんなことに……