雛祭りベストカップル2位に選ばれ、記念品を届けに行ったがつれなくされたティガが、それでもやるべき
ことは済ませて帰還した後の風景
「おかえり。お疲れ様」
「……ただいま」
「うっわテンション低くて顔色も悪いっすね」
「そうですねぇ。徹夜明けにゾフィー隊長に頼まれごとした時の、ヒカリみたいです」
メビウスに的確なのか良く解らない例えをされたティガは、確かに外面を取り繕う気力も使い果たしていた為、
極親しい仲間内以外は滅多に見たことのない、不機嫌で疲れ切った顔をしていた。
「……確かに、行為そのものだけを見れば、悪いのも最低なことをしたのも僕だよ。何しろ裏切って封印した上、
封印が解けた後再度討ったんだからね。だから、『赦して欲しい』とは言わないけど、せめて誤解は解きたい。
ユザレはあくまでも同志で、考え方に共感しただけであって、そういう意味では心変わりじゃないって、何度
言っても聞く耳を持たないし……」
ティガにとって、カミーラと顔を合わせるのはあらゆる意味で疲れるが、その態度も嫌味も全て自分の所為だと
いう自覚があるので甘受するようにしているが、その一点だけは認識を改めて欲しいらしい。
「でも、今回は結構マシな反応だったみたいだね」
「え。アノ態度でマシな方なんスか!?」
「まぁ、彼女自身と会話が成立したという意味ではね。本当に取り付く島がない時は、取り巻き連中が通して
くれないし、一言も口を利かないから」
ガイアが付け加えた一言に目を丸くしたのはマックスやメビウス位で、ダイナもアグルもカミーラに会うには
取り巻きのヒュドラやダーラムと一線交える覚悟が必要なことを知っていた。
「アレ? けど、てことは今日は戦ってないのに、何か汚れてるし怪我してないか?」
「ああ。帰りに絡んできた馬鹿がいたから、つい本気で返り討ちにしてきた」
「そっか。懲りないって言うか間が悪いよねぇ、イーヴィルって」
自称「ティガの永遠のライバル」なイーヴィルティガは、根は悪い奴ではなくもないが、とにかく空気を
読まずに虫の居所の悪いティガに勝負を挑み、フルボッコにされることが多いという。
「あとさ、蒸し返すようで悪いし、間違ってるかも知んないけどさ、カミーラの言う『大事な相手』って、
ユザレだけじゃなくて、ダイゴとかレナとかGUTSのメンバーとかマンさんとか、あと一応俺らも含む、
仲間のこと指してたりすんじゃないか。って気が、前からしてんだけど。……ダーク時代のティガって、
取っ付き悪くて慣れ合いとか嫌いなタイプだったって、イーヴィルが愚痴ってたの聞いた覚えあるから、
そこんとこも恨めしくて羨ましいんじゃないかなーって……」
「単純馬鹿の割にというよりは、単純馬鹿だからこその的を射た発想だな」
恐る恐る手を挙げたダイナの説は、一笑に付されそうになったが、思い掛けない所から賛同の声が上がった。
「アグルがそう言うなら、間違って無いのかもね」
「そう、なのかな。確かに彼女は、密かに光に憧れていたようだから、それも不自然では無いかもしれないけど、
やっぱりあの時のレナに対する敵意がすごかったし……」
こういった状況に於いて、アグルは「元敵」目線を知っている。という扱いになっているようだと、珍しく
察しが良く納得したメビウスが、後でヒカリにもこの話をして意見を求めてみた所、「一理はある」との
答えが返って来はしたが、結局カミーラの真意は問い質すのが難しい為謎のままだったりする。
ついでに、勝手にラジオジャックしている21を確認に行った息子兼部下達の報告を受け、大隊長である
ウルトラの父も、何気にその放送を聞いていた。すると、
「良かったですわね」
「な、何がだ!?」
「いいえ。何でもありません」
ニコリと微笑みながら、夫とラジオ両方に目線を送ってから呟いたウルトラの母ことマリー様は、父ことケンが
こっそり胸の内だけで旧友を祝っていたことをお見通しのようで、彼女も道を別った旧友ベリアルが、部下に
慕われ楽しそうに過ごしていることや今回の栄誉を嬉しく思っているようだった。
そんなほろ苦い2つの風景を、調子に乗ってレポートしていた21は多分知らないが、それこそが勝手な
ラジオジャックを―一応確認はしたが―見逃された理由……なのかもしれない。
公式ひなまつりベストカップルの結果を元に姉さんが書いた物に勝手に便乗してみたものの、
何が書きたかったのか良く解らない出来に……
ひとまず、うちのティガさんにとって「恋人」はカミーラだけで、ユザレは同志でレナは「ダイゴの恋人」です
2012.3.11
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