ティガ達4人が住んでいるアパートの2階には、1階の店舗部で動物病院を営んでいるコスモスという獣医と、
警官のジャスティスという夫婦も住んでいます。
コスモスは、小柄で童顔でほわほわした喋り方。ジャスティスは、長身で眼光鋭く若干堅物。それがこの2人の
特徴ですが、2人共性別は不明です。そんなわけで、
「ねぇねぇ、ティガ。2階の夫婦ってさぁ、どっちが奥さんでどっちが旦那さんだと思う?」
提出期限の近いレポートに取り組もうとしていたティガの部屋に、勝手に上がり込んでそんなことを訊いて
きたのは、ガイアでした。
「……僕は別にそのことに興味は無くて、レポートを書きたいから、邪魔しないで欲しいんだけど」
「えー。ティガってばつれないなぁ。それ、いつまでにやらなきゃいけないレポートなの?」
「来週末」
「だったら、まだ時間あるよね。ティガなら3日もあれば終わるでしょ、それ位」
「終わるだろうけど、あまりギリギリで出したくないから」
ガイアがティガの都合を気にしないのも、ティガがガイアの話を半分聞き流しながら投げやり相手をするのも
いつものことなので、お互いあまり気にせず、レポートに取り掛かっているティガに、ガイアは話し掛け続ける
ことにしたようでした。
「背はコスモスさんの方が低いし、何か『守られてる』って感じだけど、あの人の一人称は『僕』なんだよね」
「そうだね」
「だけど、アグルとタイマン張れそうな女の人っていうのは、ちょっと怖い気がしない?」
「……。ああ、まあ、それは確かに」
思い付くままに話すガイアに、適当に相づちを打ちながらティガは、愛想の無い2人―アグルとジャスティス―の
姿を思い浮かべ、「コスモスの方が女性で妻」の方が、どちらかと言えば自然かと思いかけましたが、
「ていうか、本当に『夫婦』なのかな?」
「知らないよ。しかも、君らには言われたくないだろうし」
そもそも「男女」であるという前提条件が正しいのかを疑い始めたガイアに、ティガは内心溜め息を吐きながら
呟きました。何しろ、ガイアはそれなりに可愛らしい顔立ちをしていますが歴とした男で、アグルも紛うかた
なき男なので、つまりはまぁ、コスモスとジャスティスもそんな関係な可能性も無いとは言い難いけれど、だと
したらより一層放っておきたい。というのが、この時のティガの本音だったわけです。
「まぁ、何だっていいけどね」
(だったら、何でレポートの邪魔してまで、話に来たんだろう)
いつだって気まぐれなガイアに、ティガが今度はあからさまに溜め息を吐くと、
「アグルはこういう話には乗ってくれないし、最近実験忙しいとかで、あんまり帰ってこないんだもん」
などと言い残し、ガイアは隣の自室に帰っていきました。
ここで更に、ダイナと自分の関係についてまで邪推してからかわれ無かっただけマシなような、やっぱりただの
暇つぶしでレポートの邪魔をされたのは迷惑だったような。そんな風に考えながら、この日のティガはひとまず
レポートの続きに集中することにしましたが、その後も度々同じ話に付き合わされては、結局答えが出ない。と
いうのを繰り返しているとかいないとか。
コレは、コスモス&ジャスティス考察なのか、「本日のガイアとティガ」なのか、どっちだろう?
けどまぁ、この3組中、単なる同居してる友人同士なのは、ティガ達だけです。とだけ言っときますか
2010.5.20
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