休日なので、普段より少し遅い時間に目を覚ますと、ダイナは草野球の練習にでも行ったのか、出掛けていて静か
	だった。なのでひとまず1人分の朝食を作って食べ、天気がよさそうだから大物―シーツやマットなど―を洗濯
	しようかと考えながらベランダに出ると、

	「やっぱ、キャッチボールだろ」
	「いや。ここはバレ―っすよ」

	なんていう、とてもしょうもない言い争いの声が聞こえた。それが、明らかに聞き覚えのある声だったので、
	聞かなかったことにして、とりあえず洗濯機を回しながら洗い物と室内の掃除をすることにして部屋の中に
	戻った直後。


	「ティガー。ティガも晴れた日にやるなら、キャッチボールだよな?」
	「それよりも、バレーボールの方が楽しいっすよね?」
	「……『ただいま』とか、『お邪魔します』も言えないの、君達は」

	ついさっきまでアパートの裏の道で言い争っていた2人―ダイナとマックス―が、駆け込んでくるなり訊いてきた
	ので、冷たい目を向けてやった。

	「あ、うん。ただいまティガ」
	「えっと。おじゃましゃっす」
	「よろしい」
	「「で、キャッチボールとバレーボール、どっちが良いと思う?」」
	「どっちでも、好きにすればいいだろ。……僕はやらないから」

	僕がそう返すと、2人からは不満の声が上がったけど、僕にこいつらの遊びに付き合う義理なんかない。

	「人数が欲しいなら、ガイア達でも誘えば?」

	多分、無理だろうけど。

	「んー。さっき、『朝っぱらからウルサイ!』って怒られた」

	既に誘いに行って断られたか、それとも言い争いの時点で、上から文句を言った可能性もあるかな。

	「だったらひとまず公園にでも行ってみたら、誰か居るんじゃないの」

	子供ばかりだろうけど、近所の子達とも顔見知りでしょ、君達。

	「そうだな。じゃあ、他にも色々持って行ってみるか」
	「そっすね」

	やれやれ、コレでやっと厄介払いが出来た。そう思ったのに、お昼を食べに戻って来た時には、21とネオスと
	ゼアスまで珍しく連れ帰ってきて、その全員分の昼食を作る羽目になった。……僕は、ダイナの母親や保護者
	じゃないんだけどなぁ。



前に書くと言ったものの最後の1つ。 ティガさんは、 「オカンていうか、彼女か奥さんでしょ(笑)」 という21辺りの茶化しは、スルーor黙殺したと思われます。 2010.7.29