※オリキャラ&捏造満載注意
「これで全員かぁ。……ところで、そっちのゼロって、生まれた時からセブン兄さんとずっと一緒に暮らしてるの??」
「え。ああ、そっすけど」
「てことは、お袋さんも居るわけだよな。何者で、どんな人なんだ?」
目をキラーンと輝かせて尋ねたタロウとエースに、向こうのゼロ(以後「ゼロβ」と表記)は、質問の意図が読めず
キョトンとしながらも、
「俺が物心付く前に事故で死んでんで、よく覚えてなくて、親父もあんま教えてくんないんで……」
と、素直に答えた。
「ということは、そちらでも母親の素性は明らかでない、と」
「多分、向こうの私達は知っているけど、セブンが語らない以上は、勝手に教えるのも……。と自粛した。って所かな」
舌打ちしながらブーブーと不満を口にする弟達を宥めながらそうまとめたのは、ジャックとゾフィーだった。
「あ、はい。そうみたいっす。てか、お袋が死んでしばらくは、俺の顔見んの辛いとか言って、俺のこと
マンさんとかん家に預けっぱなしにしてたんで、親父のことすら忘れかけてた時期も……」
「ふぅん。そっちでも、そういう行動をとったんだ」
ゼロβの証言に、冷たーい目で義弟を見たのは、マンだけでは無かったが、セブン本人に弁解の余地は一ミクロンも
無かった。
「でもでもぉ、ゼロ兄はセブンさんのこと嫌いじゃないよね。トラ兄と違って」
まだ幼いので大人達のビミョーな空気が読めないのか、それともわざとやっているのか、無邪気にそんな発言を
かましたのは、父親激似のウラノスだった。
「一時期かもしれないけど育児放棄をしたセブンよりも嫌われているって、どんな最低の父親なんですかゾフィー兄さん」
「いえいえ。うちの父さんレベルには、ちゃんと父親してはいるらしいですよ」
「ちなみに私は、主にお馬鹿な部下の世話や後始末で数日帰れないことはよくありますが、家に居る時は自己満足では
無い程度に家事や家族サービスをしているつもりですが?」
「こっちの父さんもそんな感じです」
セブンから長兄に冷たい目線を移した兄弟に、一応フォローと補足をいれたのはゼノン父娘で、
「ここのお母さんの口癖は、『騙された』『詐欺だ』『こんなヘタレだと思わなかった』『外面は良いんだから』で、
そんな恨み言を物心付く前から吹き込まれ続けた上、名前の由来はコーヒー豆ですから」
とのアヴニールの証言で、ゾフィー当人を除くほぼ全員が、ひどく納得した。
「えーと、そっちの私は、そんなに夫婦仲が悪いの?」
「夫婦仲が悪いと言うよりは、奥様が一方的に嫌っている。といった感じでしょうか。どうも、それなりに良い所の
お嬢様で、キングに薦められたお見合いで、『隊長夫人』の座を手放す気は無いようだと聞いています」
「詳しいね。誰から聞いたの?」
「ガイアさんや、ユリアン様などから……」
どうも、ルクスは─不本意ながら否応なしに─事情通でまとめ役らしく、大まかな家庭事情なら本人に代わって
説明出来るようだった。
「へぇ。何かすごく『さもありなん』て感じだね」
「ついでですので付け加えますが、私の両親もキングの薦めの見合い結婚ですが、母はきちんと父を立てていて、父も
母を尊重していますし、私の名前も由来を知っている上で母が付けたそうです。それと、私は、ゾフィーさんのことを
嫌いでも軽蔑してもいませんし、父さん同士も多分こちらと同じ程度に親しいですよ」
「僕だって! ヒカリさんは尊敬している」
「……。ホント、どこで育て方間違えたんだろう、向こうの私」
「嫁さん選びを間違えたんじゃないのか?」
曰く、夫婦仲や親子間に難があるのはゾフィーの所と、一時期セブン父子もかな。程度で、他は─変則的だったりは
するが─概ね上手くいっているという。
「ふぅん、そうなんだ。ちなみに僕らの奥さんって、いつどこで知り合った何者?」
「僕のママは『カミサマ』で、メルのママさんは『妖精のお姫様』って言ってたよ。でね、ルク姉とエルとシンは
パパさんしか居ないの」
「は?」
「どういうこと?」
はいはーい。と手を挙げて答えたウラノスの説明ではさっぱり解らず、ルクスに補足を求めると、
「簡潔にまとめるのは難しいのですが……」
と前置きして説明を始めた。
「ウラノスの母親は、任務で降り立ったとある星の神様クラスの精霊か何かだそうで、『強い遺伝子が欲しい』と
頼まれて協力し、『何人かまとめて産んだ中で一番父方の属性が強く出た子を父親に渡す』という慣習になって
いるからと、引き取ったらしいです。
メルの母親も任務で救った星のお姫様だそうで、ガイアさんが言うには『勇者様に姫を……。パターンで差し出されて、
断ったけど自分の意思でついてきちゃって、結局アグルが折れたんだよね』だそうです。
それから、ダイナさんが宇宙の片隅で保護した魂を、必死で握り締めていたらいつの間にか子供の形をとっていたのが
シンで、私とエルは、地球のとある祠のような所で眠っていたのから目を覚まし、父さんに引き取られました。
ですから、先程『似ている』と言われましたが、実の親子かどうかは定かではありません。それと、目覚めた時期に
差があり、私が先に少し成長してはいますが、本来は私達は双児に当たる筈です」
そんなわけで、一応両親が揃っているのはメルだけだが、水系の精霊らしい母親は、押し掛け女房的勢いで嫁いでは
来たものの、光の国で暮らすのは身体的に辛いようで、母星と光の国を行ったり来たりの生活を送っているので、実質
全員が父子家庭に近いのだという。
その他のメンツの、妻の素性や馴れ初めや関係なども気になりはしたが、それよりいい加減仕事に戻らないと。
と真面目な数人が言い出し、科技局に間借りして元の世界に戻るため方法を探るアヴニール他数人を除く子供達は、
ひとまず保育室の一角を貸してもらうことになったのだが……
「ルクスがお子ちゃまサイドなのは、子守り要員で解るけど、実験サイドにシンとかベガ?」
「ええ。この子達やゼロの協力があってこそですから」
「そっか。ダイナとエースさんの子だもんね」
「あれ? でも、ホープちゃんも??」
「……父さん自覚無いし、母さんも気付いてないけど、たまに『パパだよ☆』って来るの」
ポソッと呟いたホープに、「ああ、そうか。ノアの娘でもあるんだ」と気付いた面々は、密かにホープに同情しつつも、
それを口に出しはしなかった。
書き溜めてあったのはこの少し先まで。
色々設定で遊び過ぎた自覚はございます
2012.12.9
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