珍しく、親父とマンが口論をしてた所に通りがかったら
「ちょうどいい。お前もどちらに賛成か意見を聞かせろ、ゼロ」
と呼び止められた。
そして、聞かされた論点とお互いの主張ってのが……
「レイが、敬老の日のために似顔絵を描いていたんだ」
「それの何が悪ぃんだよ。母の日も父の日も描いてただろ」
「うん。そのこと自体は何も悪くないというか、むしろ微笑ましくて良いことだよ。でも、キングや大隊長は
ともかく、母上に『敬老』は失礼だと思わないか?」
「と、マンは言うが、そんな細かいことがレイに解るわけないし、一応『祖父母』に当たるだろ」
心底下らねぇ。けど、どっちかに味方して、なおかつもう片方を納得させる理由をつけなきゃ、放して
くんねぇんだろうな。
「……ジジイ以外は、『敬老の日』っつわないで渡しゃ良いんじゃねぇのか? もしくは、ジャック先輩ん
とこの息子はどうしてんのか訊いてみるとか」
思い付きで答えた割には、結構良い案じゃね? と思いながら親父達の反応を待ってみたら、
「確かにジャックは、息子が保育所で作ったプレゼントや似顔絵を、『敬老の日という名目ではありますが……』
とか前置きして、記念品として渡してたな」
「そうだね。じゃあ、ゼロの言う通り、キングにだけ『敬老の日』として渡そうか」
俺の案が採用されたってぇか、とっくに使われてた手かよ。
「ところで、父母はともかく、キングには君からも何か贈った方が良いかもね」
「はぁ!? 何でだよ」
レイの似顔絵の処遇に決着が着いたところで、マンがポツリと言った提案に、親父も
「ああ。そうだな。レイの兄で、おまけにレオ達の弟子=弟分でもあるから、お前だけバックレると、多分
後が面倒だろうな」
……。確かに、親父の言うことには一理あるし、んな下らねぇことで後々弄られたくはねぇ。
けど、めんどくせぇし、あのジジイ喜ばすために頭使いたくねぇから、どうしたもんか……
日記もどきログ。
じじばばの線引きは難しいんですよねぇ
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