side B

	力が、欲しかった。
	己の為では無く、皆の為に。

	独り占めしたかったのではない。
	むしろその逆で、全てを守りたかった。
	誰にも負けない絶対的な力を手にしたら、何者にも大切なものを
	侵されないで済む。
	そう考えたんだ。

	それが罪であることは知っていた。
	
	それでも俺は、二度とあんな風に傷ついた、故郷や仲間を見たくなかった。

	だから、「光」に手を出した。

	その気持ちを、お前達なら解ってくれるだろうと、心のどこかで信じていた。
	もしくは、あの小僧のようにお前達が決死で止めてくれていたら。

	かつては、そんな夢を見たこともあった。


	俺が犯した2つ目以降の罪は、「俺の意思ではない」と責任逃れをすることも、
	出来なくはない。
	しかし心を食われたとはいえ、実際に手を下し、何よりも守りたかった全てを
	破壊しようとしたのは、俺自身だ。
	それを他人の所為にする程、俺は落ちぶれてはいない。


	今や、赦しを請う気も、贖罪の念も無い。
	アノ日から、俺達の道は別たれた。
	俺は俺の全力を持って、お前達を叩き潰す。

	だからお前も、立場も何もかもかなぐり捨てて、さっさと全力でかかって来いよ。
	俺を誰だと思っているんだ、親友?
	小僧共なんざ、この俺様の敵じゃねぇんだよ。

	


side K

	お前が犯した罪の、最初の一端を担っているのは、私達かもしれない。
	いや、間違いなく私達だろう。

	口が悪くて乱暴で、しかし誰よりもこの星を、仲間達を想っていた。
	そのことを、私達は知っていたんだからな。

	だからお前の最初の罪は、私や彼女が一言諫めさえすれば良かったのかもしれない。
	しかし、現実にはそうしなかった。
	その結果があの事件であるならば、やはり私達にも否はあると言えるだろう。

	あの時お前が、心の内で血の涙を流していたことにも気が付いていた。
	というより、そうあって欲しいと願っている。

	2度目の事件は、お前が私達に反旗を翻したというよりは、お前を裏切った私達への
	復讐だったのかもしれない。

	お前1人に罪を押し付け、封じ込めていた私達への報復として、故郷であり仲間だった
	私達を襲った。そうなんだろう?

	そして、もう2度とこちら側に戻らないと、覚悟も決めているんだろうな。

	そうすると、私はお前を迎え撃ち、この手で葬ってやるべきなんだろう。

	けれど、あの頃と違い今の私には、守るべきものが多すぎる。
	お前にしてみれば、下らないものにこだわっているように映るかもしれない。
	それでも私は、それら全てを守らなければならないんだ。

	正直、息子達だけでは、完全には敵わないかもしれないことも解っている。



	……解っているんだ、親友。
	お前が、どれだけ強く、又どれだけ弱いかも