初代警備隊長に任じられたアノ日。
	彼―ベリアル―だって、実力はほぼ同じなのに、何故自分なのか。
	そう訊いた私に、キングは

	「あやつは、独善的でスタンドプレーが目立ち、上に立つ器では無い」

	と答えた。それは、前々から態度が少々悪く横柄な口の利き方をしていることに加え、アノ戦いの際に、
	手柄を独り占めするかのように、周囲の忠告も聞かず戦い続けていたことで証明された。そう説明された。


	……違うんです。確かに、口が悪くて態度がデカイのは事実ですし、怪我―聞けば、一歩間違えば後遺症が
	残り兼ねないものだったらしい―を隠して、無理して戦っていたのも間違っていません。けれど、私を含む
	前線で戦っていた全員に、

	「怪我人なんざ、足手纏いにしかなんねぇんだよ。俺に任せて、下がってろ」

	そう言って、たとえ最後の1人になろうとも戦い抜く気でいたのは、全て皆を思ってのことだったんです。


	アイツのアノ態度と口の悪さは、ただの照れ隠しと、虚勢みたいなもんなんです。
	そのことを、私はよく知っています。
	だから……


	結局、私の弁解には耳を貸してもらえず、それからしばらくして、アノ事件が起きた。
	あの時、キングを初めとする多くが、心のどこかで
	「やっぱりな」
	と思ったという。


	そうじゃない。違うんだ。アイツは、進んで憎まれ役を買って出ていただけで……
	そんな私の弁解に、耳を傾けてくれる者は、今やたった1人だけ。

	


「ねぇねぇ、ヒカリちゃん。ちょっと、昔話しない?」 「は?」 ……そんな目一杯嫌な顔しないで欲しいなぁ。確かに、良い年こいて何言ってんだ。って、自分でも ちょっと思うよ。でも、色んな意味でヒカリちゃんとしか出来ない話だからさ。 「子供の頃の、憧れの人の話。……今日、小学生の見学が来てて、『ぼくは、おおきくなったけいびたいに  入りたいです。たいちょうさんは、小さいころ何になりたかったですか?』って訊かれてさぁ」 「……そういうことか。で、何て答えておいたんだ?」 「無難に、『君達と同じように、強くてカッコいいウルトラ戦士の皆さんに憧れていたよ』って」 「まぁ、ウソでは無いな」 そう。嘘では無いんだ。けど、私やヒカリがあの子達位の頃のヒーローは、2人居た。今やその名は 絶対に口に出来ないけれど、アノ当時は本当に、心から憧れていた。その気持ちは、本物だったんだ。