光の国迷作劇場〜鶴の恩返し〜 ある日のこと。トレーニングルームで訓練中のゼロ達を、柱の陰から見知らぬ少女がじーっと見ていた。 くるくるでもしゃもしゃの赤毛に、黒目がちの大きな瞳と、何かぷるぷるした小動物的な感じも、どこかで 見たことがあるような気がしなくも無ぇけど、誰だアイツ? と、ゼロが首を傾げていると、小柄な少女の後ろから、またも初対面の筈なのに何かどこかで会ったことの ある気がしなくもない青年が顔を出し、ぺこりと頭を下げた。 「こんにちはー、ゼロさん達。シーボーズです」 「は?」 『シーボーズとは、怪獣墓場の管理人をしている、怪獣ではなかったか?』 「その筈ですが……」 「そうなんですけど、今回のお彼岸は、何故か殆どのみなさんが人型で復活しまして、僕もついでに こんな姿なんです」 困惑するUFZに、少々困り顔というか諦め顔のシーボーズがした説明によると、数日前に 「よし解った。そのお願いを叶えてあげよう。ついでに早めのハロウィンてことで、他の子達も面白いかもね☆」 との声が聞こえた気がしたと思ったら、秋のお彼岸の里帰りに向けて復活してきた怪獣や星人達の多くが、 地球人に近い姿を取っていたのだという。それを聞いた瞬間。声の主な首謀者が誰だか見当―間違いなく ノア―はついたが、何の為にんなことを……との、新たな疑問がゼロには浮かんだが、 「てぇことは、もしやその赤毛ちゃんは、あのピグモンだな」 「はい、そうです」 『……ああ。そういうことか』 「確かに、ヒロインの王道をいっていましたしね」 と、レイよりも中身が幼児なジャンナインを除く全員が納得したようだった。 「つまりは、どういうことだよ」 「そりゃ、折角なんでおめぇに会わせてやるために、かわいこちゃん姿で甦らせてやった。ってこったろ」 『というよりも、シーボーズの証言からすると、ピグモン自身がそう望んだのだろうな』 「そうですね。……貴方の為にこんな可愛らしい姿でいらしたのですから、もっと喜んで褒めてさしあげたら どうなんですか、ゼロ」 そんな風に好き勝手な推測をする面々の言葉を肯定するように、当のピグモンは懸命に頷いていたが、何故か 一向に柱の陰から近寄ってこようとはしなかった。 「それじゃ、僕は他の皆さんへの説明とかあるので、後でお迎えに来るまで、よろしくお願いしますね」 そう言ってゼロに頭を下げてシーボーズがピグモンを置いて去ると、他の連中も、 「折角なんで2人きりにしてやるよ」 「勇気を出してここまで来たピグモンの、乙女心を踏みにじるようなことはしないように」 『淑女として、丁重に扱ってやるのだぞ』 『女性とは大事に守るものなのだと、皆言っていた』 等々、好き放題言い残して散開していった。 そんな訳で、仕方なく―と言いつつ、案外まんざらでもなさげに―、とりあえず警備隊内や光の国を案内して やることにしたゼロが、「ついて来いよ」と言って歩き出すと、ピグモンはその後ろをピョコピョコとついて 来ていたが、歩幅が違うので徐々に間隔が開いてしまい、慌てて追いかけると置いて行かれないようにソッと ゼロの裾を掴んだ。それに気付き、「悪ぃ」と言いながら速度を落とし、更に手まで出して繋いでやった様を、 通りすがりに一部始終ニヤニヤと眺めていた隊員も居たが、それにも気付かない位青春してたよね、ゼロ。と、 後日その目撃していた隊員達―タロウやガイア、21など―にからかわれた時。ゼロは「うるせぇ!」と逆ギレ することしか出来なかったという(笑) 更に、そんな初々しいカップルのように歩いている最中に、父セブンとマンに鉢合わせ、ゼロが慌てて手を 放した瞬間。ピグモンは嬉しそうに駆け出してマンに抱きつき、自分に会いに来た時よりもハートマークを 飛ばしまくっているように見えたことに、無意識にイラっときているというか妬いている息子を目にした セブンは、シーボーズから話を聞いていたので状況と少女の正体は解っていたが、何とも言えない気分に なったという。
ゼロファイトの、ピグモンのあまりの王道ヒロインっぷりから。 人型ピグモンたんのビジュアルは、赤毛のサリーちゃんかな 2012.9.22戻 オマケ ゼロがピグモンとデートっぽいことをしていた頃。 「よっ! ゴモラにレイ。久しぶりだな」 「……エレキング?」 「そうだよ、レイ」 「私達も居るよー」 「メトロンに、バルタン……」 レイの元に来ていたのは、何かどこかで何度か見たことのある、 そこそこ長身イケメンなエレキングと、可愛い女の子な メトロン星人とバルタン星人だった。更に…… 「コモラ!?」 「違いますー。『ゴ・モ・ラ』ですってば」 ふと隣のゴモラを見ると、そちらも「ゴモラっぽいお兄さん」に 変わっていたのだった(笑)