1.
「マン兄さん。コレ、僕とタロウ兄さんからです!」
「ありがとう、メビウス。……桜型のチョコかぁ、かわいいね」
「あー、ちょっと被ったか。けどまぁ、良いや。マン兄、コレ俺から。桜マカロン」
「もらえるだけで充分嬉しいよ、エース。コレもピンクでかわいいね」
「私からはお茶なんですが、桜ほうじ茶なので、コレも被りましたね」
「季節柄桜関連の商品は多そうだけど、そんなのあるんだね、ジャック」
「ごめんねぇ、私からは芸が無くて」
「ああ、コーヒーですか。奇をてらうよりは良いと思いますよ。それに、この添えられている角砂糖の
パッケージ可愛いですし。ありがとうございます、兄さん」
「で、親父からは何返すんだ?」
「……桜茶と桜飴を買ったんだが、完全に被ってるよな」
「そうだな。けど、マンはそんなの気にしねぇと思うぜ」
「だとしても、俺が何か嫌なんで、買い直してくる。……コレはお前に譲るから、自分で食うんでも誰かに
やるんでも好きにして良いぞ」
「って、え!? いや、俺は別に……」
2.
「マックス」
「んー。何すかゼノさん」
「手を出して下さい」
「ほい」
ぽす
「……のどあめ? 俺、別に風邪引いても花粉症でもないすけど」
「先月のコーヒーの分です。対価としては、この程度で充分でしょう?」
3.
「ねぇねぇ、ヒカリちゃん」
「何だよ。ちゃん付けすんなアホ隊長」
「いつにも増して態度悪いね。機嫌悪いの? それとも照れ隠し?」
「何だっていいだろ。用件は何だ。俺は忙しい」
「いや、さっきね、うちの可愛い可愛い末っ子が、貰い物のお菓子を『すっごく可愛いんです!』って
見せに来てくれたんだけどね」
「………」
「確かにとっても可愛い砂糖菓子だったんだけど、干菓子な辺りがおじさんぽいなぁ、って思って。
和菓子屋さんの方が、特設コーナーよりは敷居低かったの?」
「……別に。接待用の茶菓子の発注ついでだ」
「ふぅん。局長が、わざわざ自分で会議用のお茶菓子選びに行ったんだ。いつも助手の子にお任せで、
しかも今さっき『忙しい』って言ってたのにね(笑)」
4.
ある日の昼下がり。セブンからガイアに書類を届けるよう頼まれたゼロが平成組の執務室を訪れると、
アグル以外の3人の机の上には、アメやらクッキーらしき箱や缶がいくつか置かれており、併設の簡易
給湯室にも大量のクッキーがあった。
「何だコレ」
「あー、コレな。ホワイトデーのお返し。ガイアは友チョコで結構ばら撒いてっし、ティガもガイアの
手伝いというか監視で一緒に作ったのをウルトラ兄弟の皆さんとかに配ってて、どの人も割と律儀に
お返しくれるみたいだからさ。俺らからのは、そっちにあるクッキーで、後で配りに行くんだ」
「ふーん。お前の机にもいくつかあんのは?」
「ティガ達のついでとか、『カフェモカのお返し』ってさ。ティガ達宛のいくつか預かってんのもあるけど」
「てことは、俺も何か返さなきゃいけねぇってことか?」
「いやぁ。別に良いぜ。ホントただのついでとかノリだし」
よく見れば、ガイアやティガの机上のお返しは、可愛らしいデザインのお菓子ばかりだが、ダイナのものは
2人と同じものか、のどあめやら駄菓子系で、確かにオマケ感が強かった。
「あ、そうだ。そういや親父からもらったアメあっから、コレやるよ」
「おう。あんがとな。……結構立派なアメじゃん。良いのか?」
「親父がマンにやろうとしたら、他の奴らと被ったからって俺に横流しされた奴だから、別に構わねぇよ」
「んじゃ遠慮なくもらうな。にしても、桜モノ多いな今年」
「お前も、他にも桜な何かもらったのか?」
「ん。ああ、まぁな」
少し照れ臭そうに答えたダイナの、机の端に置かれていたカップに入っていたお茶から微かに花の香りが
したことや、添えられていた茶菓子が割れたり少し焦げたクッキーだと気付く程の観察眼と勘は、ゼロには
無かった。
そんな3/14の風景。
先月のネタと対になっているんだかなっていないんだかなWDネタでした。
桜商品が多いのは、駅ナカの特設コーナーで見た品々が可愛かったから。
4つめに関しては邪推ウェルカムです(笑)
2013.3.10
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