セブンがゼロに父親であることを明かし、一緒に暮らし始めてから2度目のクリスマス。
		去年と同じように、セブンの兄弟達に近所の若手達も交えた大人数でパーティーをするか、それとも
		今年は家族だけにするのか。とセブンがゼロに尋ねると、
		「今年は、ダチに誘われたから」
		との返事が返ってきました。

		しかし、友達とのパーティーは夕方までだそうなので、夕食は家族だけでも兄弟達と一緒でも構わない。
		と付け加えられたセブンは、息子の成長(というかデレ)っぷりに顔が緩み、弟達および一応兄なマンに
		すら、長兄のゾフィー並にウザいと言われてしまいました。
		というのはまぁ置いておいて、セブンも兄弟達もゼロの言う「ダチ」とは、多分去年のクリスマス頃
		知り合ったグレンファイヤー、ミラーナイト、ジャンボットの3人のことだろうと思っていましたが、
		ゼロ本人から話を聞いたダイナ曰く
		「エメラナに誘われて、ランは何か用あって来れないから、ナオ入れて6人でやるらしいっすよ」
		とのことで、プレゼント交換用のプレゼントの予算は500円だとも聞いたそうです。

		「お嬢様のエメラナちゃんにしては、随分安い予算設定だね」
		「ああ。高いとナオが無理。ってことみたいっすね」

		何しろ、ナオくんは技術屋さんちの小学生ですから、500円でも結構懐が痛かったりします。
		という意見にグレンファイヤーが賛同し、ジャンボットとミラーナイトも援護に回ってくれ、エメラナ
		本人も限られた予算でプレゼントを探すことを
		「おもしろそうですね」
		と喜んだため、500円に決まったんだとか。



		そんな感じでクリスマスイブ当日。
		ジャックは息子の通う保育園の、親も参加できるクリスマス会に。セブンもレイと一緒に参加しないかと
		園長のナイスから誘われ、その代わり電飾の設置に朝から駆り出され、マンは料理作りの助っ人、父は
		サンタ役として同じくナイスに誘われており、メビウスも学校の友人達と遊びに出かけ、何かゾフィーも
		出掛けたっぽいので、残されたタロウとエースは、暇つぶしにゼロのプレゼント交換の結果を賭けてみる
		ことにしました。

		「自分に当たったのも自分のを当てたのもグレンかジャンで凹む……に、1000円」
		「じゃあ僕は、どっちかがエメラナちゃんでドギマギする。に同じく1000円で(笑)」

		帰って来たゼロをいじって遊ぶのが目的なので、2人共オモシロさを優先し、ちょっぴり高めの掛け金も、
		当たらないことを前提としているから+どっちか当たった場合はその金額分ツマミとか買ってくれば
		良いんじゃね?  的なノリだったからです。

		そして結果は…… 



		「おかえりー。パーティー楽しかった?」
		「おう。何か料理もツリーとか飾りもすっげぇ豪華で、ナオはともかくグレンまで騒いでジャンに
		 笑われてた」

		帰宅しゼロに、とそんな辺りから水を向け、肝心のプレゼント交換について水を向けると、「ボンっ」と
		音がしそうな勢いで真っ赤になったので、タロウは自分の予想が当たったのかと思いましたが、

		「え。何。もしかして、エメラナちゃんのプレゼント引き当てたとか??」
		「ちげぇよ。エメラナのはグレンの馬鹿に当たって、エメラナが当てたのはナオのだ」
		「んじゃお前が当てたのは?」
		「ジャンのだ」

		真っ赤な顔でゼロはそれだけ答えると部屋に戻ってしまい、その後も訊いても教えてくれませんでした。



		しかし翌日。
		ゼロを出掛けに誘いに来たいつもの3人が、ゼロを待っている間。その中の1人に、マンが
		「もしかしてそのマフラー、昨日のゼロのプレゼント?」
		と尋ねました。

		「はい。軽くて暖かく、良いものをいただきました」

		ニコリと微笑んでマンの質問を肯定したのはミラーナイトで、その場に居合わせたタロウとエースは、
		昨日のゼロの反応が解った気がして笑いがこみあげてきました。けれど、ミラーナイト本人も周囲も
		特に気付いていないようですし、ゼロに指摘して逆ギレされても面倒なので、別の所を訊いてみました。

		「へぇ、そうなんだ。けど、何でマン兄さんがそのこと知ってるんですか?」
		「ああ。それは、こないだの休みに、一緒に買いに行ったからだよ」
		「何でセブン兄じゃなくてマン兄と?」
		「セブンとレイの分も買う予定だったからね」

		そう言われてみれば、セブンがヒートテック2枚に裏地付きのシャツにセーターとダウンベストと
		ネックウォーマーを着込んだ上に巻いていたマフラーと、セブンと一緒にお出掛けしたレイの首に
		巻かれていたマフラーと、今ミラーナイトがしているマフラーは、色違いだけど同柄のフリースの
		マフラーだと気付き、更にセブンやレイのものが彼らに合いそうな色なのは、似合う色を選んだの
		だとしても、ミラーナイトのものも似合いすぎた為、ついに堪え切れずに噴き出してしまいました。

		『どうした、タロウもエースも』
		「いきなり笑いだすって、何か面白いことあったのかよ」

		そんな2人に、周囲はもちろん驚いて怪訝そうな反応を見せましたが、

		「だって、セブン兄さんが赤とスモークブルーでレイが紫とグレーなのはイメージカラーで何となく
		 わかるけど、誰に当たるか分かんなかったプレゼントが、ナイトにぴったりのミドリとカーキって」
		「しっかも白地のアーガイルとか、グレンには似合わなそうだし」

		と根拠を説明すると、当のミラーナイト以外は大いに納得し、つられて笑いそうだしそうになった所で
		ようやく支度を終えたゼロが現れましたが、彼の首に巻かれてたマフラーも、同じく白地に青とグレーの
		アーガイル模様だったのが、大いに笑えました。


		そんな訳で、ひとしきり笑いながらゼロ達4人を見送った後。マンもお揃いでマフラーをもらったのかと
		訊ねると、

		「私は、以前から使っているものがまだ使えるから良い。って断ったんだ」

		とのことで、その場では「ふぅん」程度で納得しましたが、後になって

		「ねぇ、もしかしてマン兄さんのマフラーって、何年も前に母さんがみんなに編んでくれたのじゃない!?」
		「……あー、うん。すげぇ有り得そうな気がする」

		ということには、気付きかけたけど気付かなかったことにしたようです。




ある意味クリスマス企画派生 勝手に柳佳姉さんに捧げときます(笑)