地球では12月半ばに当たるある日の、M78星雲光の国。
		宇宙警備隊のイベント番長の異名を持つ、ウルトラ兄弟の元末っ子タロウは、今年も兄弟+αでクリスマス
		パーティーをやるかどうか、同じくイベント番長な五男エースと共に他の面々に確認を取っている最中に、
		ふと
		「今年も、父さんはサンタになる気なのかな」
		という点が気になった。


		タロウの実父で、他の―血のつながりはないが「兄弟」と呼ばれている―兄達や警備隊員だけでなく、
		光の国の殆どの民に「ウルトラの父」と呼ばれている宇宙警備隊の大隊長は、かつて地球に降り立った
		際、何故かサンタの扮装をしており、その後もちょいちょいサンタ姿でイベントに現れている(実話)。
		だがしかし、三男セブンの養いっ子―外見はともかく精神年齢は3〜4歳―のレイモンや、高校生位で
		良い子の末っ子メビウス、セブンの息子で中坊レベルのゼロはともかく、良い年こいた自分達にまで
		プレゼントの希望を訊いて、夜中にわざわざ枕元まで来るのは、結構ウザいんだよねぇ。というのが、
		メビウスを除く兄弟達の共通見解となっているが、上の兄達は一応口に出さない位の遠慮はある。
		が、
	
		「正直さぁ、父さんのサンタを素直に喜ぶのって、メビウスとか精々レイやボーイくらいで、ゼロなんか
		 セブン兄さんやマン兄さんとかレオ達や80辺りにはデレるようになったけど、ゾフィー兄さんや父さんに
		 対しては、まだまだ反抗的じゃない。だから、いい加減今年はやめとけば。って父さんに言ったんだ。
		 けど、そしたら『わしのサンタを心待ちにしとる者も居る!』って……」

		実の息子かつ、坊ちゃんで元末っ子な甘えたで少し我儘な所の残るタロウは、率直な所を父に言ったという。

		「あー、そいうやメビウスんとこには、父の降臨祭あるんだよな、確か」
		「うん。ホント、それだけは『何余計なイベントにしちゃってるの』って、ちょっと言いたいんだよね」
	
		メビウスの世界には、公式でウルトラの父の降誕祭が存在し、イベントとして結構根付いているよう
		だったりする。


		そして、兄達の意向を訊いて回った所、

		「今年は、ゼロは昼間はグレン達と仲間内でパーティすることになったらしいから、夕飯だけそいつらも
		 呼んでうちで食べることにした」

		というセブン(というかゼロ)の予定が優先されることになり、家族パーティーはやらないことに決まった。


		そんな訳で―夜中にプレゼントを渡しに行くのは決行する予定だが―、昼間のサンタの出番が無くなり
		凹む父の肩をポンと叩き、
		「うちの園のクリスマス会でサンタをやりませんか!」
		と、親指ポーズをきめて誘ったのは、四男ジャックの息子も通う保育園の保育士で、「ウルトラの
		お父さん代表」なナイスだった。

		「……そうだな。チビッ子なら、喜んでくれるじゃろうな」
		「もちろんですとも!」

		再度親指ポーズでナイスが強く受け合った通り、確かに園児達は父サンタに目を輝かせてはしゃいだが、
		それよりもナイスとゼアスの漫才の方がウケていた気がするのは、武士の情けとして伏せて置く。



	
2011年クリスマス おりづる様リク「光の国で『おとーさん、またサンタですか?』」 光の国でリクをいただけたことにも、父サンタをご存じだったことにもはしゃいで書きました。 ちなみに、7〜8割位元ネタは公式です(笑)