(突如思いついたというか舞い降りてきた、とあるCMのパロがベース)

	伊作が家出してから、数日経ったある日のこと。
	帰宅した文次郎が、留守番電話の伝言を再生すると、伊作に連れられていった
	末息子―伏木蔵―の声で、
	「おかあさんがすきです。でも、おとうさんのことも、ちょっとはすきです」
	とだけ、前置きも補足も何も無しに吹き込まれていた。
	着信時刻は、まだ他の息子たちも学校に行っているお昼過ぎ。履歴に残る番号は、
	伊作の職場兼家出先兼叔父の家だった。

	再生し終え、しばらく考え込んでから、文次郎は思い切って電話を掛けて
	意図や意味を訊いてみることにした。
	出ないか、もしくは上の子供達に切られそうな予感もしたが、思いの他あっさりと
	通じ、伊作からはあっけらかんとした答えが返って来た。
	「昨日の夜頃に、伏ちゃんが自分から突然言い出してね。折角なんで聞かせて
	あげたかったけど、だからって帰る気は無いからさぁ。…ということで疑問は
	解けた? それじゃまぁ、頑張って」
	言いたいことだけ言うとさっさと切られた電話を片手に、文次郎はまたも考え込んでいた。
	彼は未だに、妻の家出理由も真意も理解できていなかったため、すべてが不可解にしか
	思えなかったのだった。


呟きで書いて、そのまま拾い忘れてほったらかしていたものです。
2009/1/28



”あやちゃんの疑問” 中在家さんちの末っ子・怪士丸くんは、久作お兄ちゃんときり丸お姉ちゃんと 雷蔵お母さんが大好きな、5歳の男の子です。 もちろん、お父さんの長次さんのことも大好きですが、仲良しの伏ちゃんや乱ちゃんや平ちゃんは、 お父さんのことを「お祖父ちゃん」と呼ぶので、たまに何かよくわかんなくなったりします。 しかも、伏ちゃん達のお母さんで保育所の先生の伊作さんや、平ちゃん達のお父さんの留三郎さんが お父さんを「父さん」とか「親父」と呼んだり、お姉ちゃんが伊作先生を「お姉さん」と呼んでみたり していることもあるので、余計にわけがわかりません。 でも、年少さん(怪ちゃんは年長さんです)のまごじろちゃんのお家も、「お母さん」がいっぱい 居るけど一人もいないらしいので、「大きくなったらわかるのかなぁ」と思っています。” 中在家さんちと木下さんち。さぁ、複雑なのはどっちかな? どっちにしろ、保育園児にはわかんないでしょうよ。そんなネタでした 2009.3.15