「おとーさん、何でおうちではお豆まかないの?」 「ああ、そういえば僕が覚えている限りでも、一回も家では豆まきしたことないかも」 「……。撒いた豆踏んですっ転ぶチビと、拾って食うだけならまだしも鼻や家具の隙間に詰め込もうとする 赤ん坊と、それを止めようとして豆踏んでコケた上に頭打って捻挫までした嫁さんが居てみろ。『二度と やるか』と思うぞ。しかも、後からその時点で妊娠してたのが発覚したしな」 「うわぁ、流石母さん」 「あ。それが理由だったんだ。てっきり、お面無しでも鬼役イケるけど、可愛い娘には泣かれたくなかったから だって思ってた」 「そっか。姉ちゃんが生まれた年からやってないんだ」 「おとうさん、鬼さんよりはこわくないよ」 「で、どっちがホントの理由なんだ父ちゃん」 「……ここ数年は、拾って食いそうな馬鹿と、すっ転びそうな奴ばかりだからやってねぇんだよ」 「ああ、うん。確かに……」
挙げ忘れていた日記もどきログの節分ネタでした