潮江さんちには、お雛様が2つあります。
1つは、奥様の伊作さんが実家から持ってきた小さめの三段飾り。もう1つは長女―というか
一人娘―の左近ちゃんが生まれた時に、父方の祖父の夏之丞さんが買ってくれた、高価そうな
五段飾りで、色々あって夏之丞さんとは絶縁状態ですが、お雛様は毎年両方飾っています。
そして、伊作さんの実家の中在家さんちには、かつてお雛様が3つありました。
まず、お母さんが実家の新野家から持ってきたもの。これは、代々母親から娘に譲られてきた
立派な七段飾りで、もちろんお母さんも長女の仙蔵さんに譲るつもりでいたそうです。
なので、次女の伊作さんには、小さいけれど可愛らしいものを、お父さんの長次さんが選んで
買ってきた所。2歳上の仙蔵さんが「ずるい!」と思い切り駄々をこねたので、仙蔵さんにも
新しい三段飾りを買ってあげました。
そんな訳で3つになったお雛様は、お母さんが亡くなって以降も毎年全て飾っており、現在は
お母さんのものは新野保育園に、仙蔵さんのものと伊作さんのものは、それぞれの家に飾られる
ようになりました。
ただ、シングルマザーの仙蔵さんの子供は3人共女の子ですが、お雛様は仙蔵さんのもの1つ
きりで、とりあえず全員のものということになっていますが、
「家を出る際には、持って行くなり置いていくなり好きにしろ」
と言われているのは長女の藤内ちゃんで、そのことを知った仙蔵さんの歴代彼氏さんの中には、
双児の妹ちゃん達にも買ってくれようとした人も居ますが、仙蔵さんも当の双児達も「いらない」
と断っているので、ずっと1つのままです。
断る理由は、仙蔵さんとしては「そこまでされる義理は無い」&「置き場と収納場所が必要で邪魔」
とのことらしく、まぁそっちは解らなくもありません。けれど、オモチャや服の取り合いをしたり、
張り合ってばかりの双児ちゃん達まで、自分達から辞退している理由は良く解りませんが、
「だって、出すのやお片付けめんどくさいから、うちにはお姉ちゃんのがあって、おばさんちや
お祖父ちゃんちにあるの見れればいいもん」
などと、従姉弟達や友達には話しているようですが、真意がどうかは不明です。
ちなみに、長次さんの後妻さんな雷蔵さんは、15歳の時に実家に勘当されたため自分のお雛様は
持っておらず、その娘のきり丸ちゃんには、長次さんが五段位のを買ってくれようとしましたが、
雷蔵さん―1歳目前だった本人まで―「勿体無い」と断ったため保留にしていた所。
長兄留三郎さんの奥様が、亡くなる前に
「兄と弟と息子しか居ないから」
と譲ってくれました。
そして、次男の小平太さんの所にも同じく息子しか居ないので、奥様の滝夜叉丸さんは妹の
喜八郎さんにでも譲ろうかと考えたそうです。しかし兄のタカ丸さんは13歳まで海外で育った
帰国子女で、喜八郎さんは面倒くさがりなので、マトモに飾れないだろうと判断し、息子達の
お嫁さんに譲れる日が来ることを祈りつつ、ひとまず自分の為に飾ることにしたようです。
何となく思い付きで。
拾い忘れた女の子居ませんよね?
2011.3.2
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