※中の子繋がりで、「ベリ銀のナオくんの成長後が海賊戦隊の船長だったら」というif話です
捏造・キャラ崩壊等激しいのでご注意ください
諸々色々片が付き、地球を離れて相変わらずの宝探しに明け暮れていたある日。船長であるマーベラスが
「ちょっと出掛けてくんな」
とだけ言い残し、行き先も目的も告げずにフラリとガレオンから姿を消した。
しかし、その行動に戸惑ったのは、知り合ってから日の浅い鎧だけで、他の4人+ナビィからは
「地球に居る間は無かっただけで、あたし達が仲間になった頃から、年に1、2回はああやって居なくなってたけど、
何日かすれば戻ってくるから気にしなくて平気よ」
「そうそう。長くても、10日もしないで帰って来るよね」
「緊急時に居なかったことはないから気にするな」
「何度伺っても教えて下さいませんが、どなたかに逢いに行っているようですの」
「オイラにも教えてくれないけど、アカレッドと居た時からずっとダヨー」
と、何しに行っているのかは気になるが、いつものことだから詮索するな。との反応が返ってきた。
そして、それらの証言通り、5日程でマーベラスは帰って来た。しかし、何故かその腕には、3〜4歳程度の幼女が
抱かれており、それは誰だと問う前に
「しばらくこの船に乗せることになったリリィだ」
と、有無を言わせぬ口調で宣言し、「挨拶しろ」と促しながら幼女を降ろした。
☆★☆
「みなさま、はじめまして。アルミナ・リリィ・エスメラルダですの」
「え」
「ちょっ、リリィ。フルネーム名乗んなって言ったろ」
「でも、かあさまもジャンもナイトも、ごあいさつはキチンとなさいと、いつもいっていますわ」
こまっしゃくれた幼女の名乗りに、
「エスメラルダって、エメラル鉱石を算出してる星よね」
「星の名前が付いてるってことは、アイムみたいな、王族ってことだよね??」
「けれど、以前1度賊軍の襲撃を受けたことがあるとは聞いたことがありますが、現在のエスメラルダで王族が
亡命せざるを得ない状況が起きたとは、考えにくいかと思います」
等々、一同騒然となる中。
「……ところで、その子供がお前と似ているように思えるのは、俺の気の所為かマーベラス」
そう静かに問うたジョーの言葉に、よくよく幼女を見てみれば、確かにフワフワというよりはクシャクシャの癖っ毛や、
意思の強そうな目元が、どことなくマーベラスに似ているようにも見えなく無かった。
「え、え、え、えぇー!? まさか、マーベラスさんの隠し子ですかぁ??」
「鎧うるさい。けど、可能性は否定しきれないわよね」
「いつの間にいつの間にー? ナビィも聞いてなーい」
「見た感じ、大きくても4歳になってるかなってないか。って感じだよね」
「とすると、俺達がこの船に乗る前後には生まれていたことになるな」
「……」
「リリィさん、でよろしいのですよね。リリィさんは、今お幾つで、マーベラスさんとはどういったご関係ですの?」
仲間達の推測と質問責めにだんまりを決め込むマーベラスの代わりに、幼女の方に代表して尋ねたのは、アイムだった。
「リリィはもう4つで、お姉さまだから、父さまのお船に1人でのってもへいちゃらですの」
胸を張って答えるリリィに、
(ああ、このドヤ顔は、間違い無くマーベラスの娘だな)
と、満場一致で確信し、更には
「今思い出したんだけどさ、アイムが仲間になる少し前位に、ルカが読んでいた雑誌に、エスメラルダの王女が
父親不明の子供を産んだ。って記事があったよね」
「あー、何かあったかもしれないけど、何でそれをハカセが覚えてんの?」
「あの雑誌の、『簡単☆節約レシピ』のコーナーが、結構参考になったから、そのついでに見出しだけ見た記憶があったんだよ」
「言われてみれば、わたくしもザンギャックの侵略を受ける前に、そのような噂を耳にしたような覚えがありますわね」
「その記事との関連は知らんが、いきなり出掛けたことはあったな」
「オイラ、その直前にマーベラスがルカのほったらかしてた雑誌拾って、固まってるの見たよー」
等々、口々挙げられる証言は、どう考えてもそのゴシップ記事が真実で、なおかつ未だに謎のままの父親がマーベラス
であることを物語っていた。
「てことは、やっぱりマーベラスさんの隠し子じゃないですかぁー」
「それにしても、いつどこで知り合ったのよ。あーんな大惑星のお姫様となんて」
「そーいえばー、赤き海賊団の頃に、バスコからエスメラルダのお姫様が結婚したって聞いた時も、すっごい
焦ってたよねー」
「つまり、少なくとも赤き海賊団に入るよりは前か」
「え。でも、赤き海賊団にいた頃のマーベラスって、今の鎧よりも年下位だよね。それこそ本当に、いつどこで
知り合ったの?」
「もしやマーベラスさんは、元はエスメラルダと交流のあった星の、王族か何かでいらっしゃったのでしょうか」
「で、故郷がファミーユ星みたいに滅ぼされたか、もしくは出奔したとか? それは流石にないでしょ」
「でも、そうすると、ホント接点はどこなんでしょう」
どんどん勝手な推測を繰り広げる仲間達に、マーベラスは不機嫌そうにだんまりを決め込んでいたが、リリィが
「父さまは、ゼロやナイトやグレンやジャンと一緒に、ベリアルと戦って、宇宙を守ってくれましたの」
と、誇らしげに口を挟んできた。
それを聞いて、何か思い当たる節のあったらしいハカセが、ガレオンのコンピューターで検索し探し当てたのは、
ザンギャックのように、宇宙全体を支配しようとしたベリアル銀河帝国の情報だった。
「僕らはまだ子供の頃だし、結局ベリアルは何者かによって斃されたから、覚えてないというか知らなくても無理は無いけど」
そう説明するハカセ自身も、修理屋時代に、かつてベリアル軍が使っていた機械兵ーレギオノイドーの残骸を、たまたま
見たことがあり、それで何と無く覚えていただけとのことだった。
「わたくしも、エスメラルダには最強の護衛艦と、鏡の騎士が居て、それでも一度は侵略されかかったのを、救って
下さった方が居たと、聞いた覚えがあります」
そう証言するアイムの表情が暗かったのは、ザンギャックに襲撃された際、
「最強の護衛艦と鏡の騎士に護られていたエスメラルダすら」
と父王が嘆いたのを覚えていたからだったが、仲間達もリリィも、それに気付くことは無く、
「そうですの。護衛艦のジャンは、変形が出来て、ジャンボットに変形したジャンが、父さまの動きをトレースして
戦いましたの」
と、リリィは尚も自慢気に続けた。
「って、ちょっと待って。その当時、マーベラス幾つよ。何年前の話なのよそれ」
「あと、護衛艦を操って戦った。って、やっぱりマーベラスさん何者だったんですか??」
聞けば聞く程謎が深まる! と騒ぐ仲間達に、尚もマーベラスは黙秘を貫こうとしたが、
「洗いざらい話さない限り、コイツらは追求を止めないどころか、ルカなら中途半端な憶測でも、ゴシップ誌に情報を
売りかねないんじゃないか」
そんなジョーの呟きに、名指しされたルカ本人は
「あたしは、そんな下衆なことしないわよ!」
と猛抗議したが、マーベラスは諦めたように
「……成り行きで、知り合って共に戦っただけの、単なる辺境の星の10かそこらの技術屋のガキだ」
と語り始めた。
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