※中の子繋がりで、「ベリ銀のナオくんの成長後が海賊戦隊の船長だったら」というif話です 捏造・キャラ崩壊等激しいのでご注意ください 一応これで完結ですが、その内小ネタなど増える……かも?
マーベラスが、自分の娘だというリリィをガレオンに連れ帰ってから、数日経ったある日の朝。新聞に目を通していた ルカが、ある記事を読むなり「どういうこと!?」と叫ぶと、マーベラスに 「リリィは、間違いなくアンタの娘なのよね」 と詰め寄った。 そのルカの様子に、何事かと他の4人が尋ねると、ルカは新聞の記事を突き出した。 「えっと、この記事? ……『エスメラルダの王女 誘拐か』? え? 何これ」 「ええと、『何者かによって連れ去られたのは、惑星エスメラルダの第二王女エメラナ・ルルド・エスメラルダ姫の  第一子、アルミナ・リリィ・エスメラルダ姫(4歳)』ですか。間違いなく、リリィさんのことですわね」 「うわ。しかも、まだ断定はされてないですけど、『誘拐犯は、以前ザンギャック帝国により指名手配されていた、  宇宙海賊の可能性が高い』とかあるじゃないですかぁ」 「どういうことだ。 説明しろマーベラス!」 新聞の記事に目を通し、口々に問い詰める仲間達に、マーベラスは面倒臭そうに 「リリィは間違いなく俺の娘で、俺が勝手に連れ出したんじゃねぇよ」 とだけ返し、ナビィにエスメラルダに針路をとるよう命じたが、それ以上はどれだけ問い詰めても、何も説明しようと しなかった。 それから更に数日後。新聞のみならず、ニュースなどでも誘拐事件が取りだたされている中。リリィの母親である エメラナが、全宇宙ネットの報道番組で会見を開くとの情報が入った。 ☆ 王城の一室と思しき場所で、記者から 「アルミナ姫の安否が、さぞご心配で不安でしょう」 と尋ねられたエメラナは、ニコリと微笑み 「不安? 何故です? あの子は父親の元に預けただけですのに」 と答えた。 「え?」 「今までは、母親である私の元で育ちましたが、もう4歳ですし、下の子も生まれてお姉様になりましたからね。お父様の  船で、広い世界を見て回るのも悪くないと考え、預けたんです」 「海賊に、攫われたと……」 「攫われてなどいません。預けたのです。あの子や、この子達の父親は、地球を護った海賊の船長であり、かつて我が  エスメラルダ星を含む、この宇宙を護って下さった1人ですから」 面食らう記者に、エメラナは傍らのベビーベッドに眠る、双児の子供達を抱き上げると、窓際に歩み寄りつつ、尚も 語り続けた。 「お父様も、お母様も、お姉様も、ジャンボットもミラーナイトも、わたし達のことを認めて下さいました。けれど、  エスメラルダの王族として、相応しくないと仰るのでしたら、」 「攫いに来てやったぜ!」 「ええ。今度こそ、連れて行ってくださいね、ナオ。いいえ、キャプテン マーベラス」 窓際に立つエメラナの背後から、真っ赤なガレオンが姿を現し、エメラナの言葉を引き継ぐように、マーベラスが高らかに 宣言した。そして、あまりの衝撃の出来事に唖然とし、一瞬対応が遅れた取材スタッフや、駆け付けた衛兵を、ジョー、 ハカセ、鎧の3人で抑え、侍女に扮して潜入していたアイムとルカが、双児を1人ずつ預かったのを確認すると、マーベラスは エメラナを抱いて、ガレオンに飛んだ。 ☆ その、ド派手な駆け落ち劇の、数時間前。次々と報道される情報から、リリィの下にも子供が居ること知り、日に日に 厳しくなる仲間達からの追求に音をあげたのか、端からそのつもりでいたのか、マーベラスは、これまでの経緯と、 今回の誘拐事件の真相と計画を明かした。 曰く、リリィの存在が発覚した後も、ジャン達の目を盗んで会いには行っていたが、双方の状況的に連れ去って来るのは 無理だった。しかし、レンジャーキー探しも片が付き、ザンギャックも倒して、リリィもそこまで小さくないので良い 頃合いかと考え、地球を離れるのを機に誘った所、エメラナからは 「一緒には行けません。事情が変わりました」 との答えが返って来たので、どういうことかと問い詰めると、 「わたしは、母親として、この子達を護らなければならないのです」 と、第二子の妊娠を告げられたのだという。 「って、ちょっと待って。地球に居る間は、会ってないのよね。いつの間に出来たのよその子達!?」 「鎧が、『地球を離れる前に、世界中の友達に挨拶していきたい』っつって、しばらく停泊してたろ。あん時だ」 「確かに、あの頃にもふらっと何日か居なくなってたけど……」 何ドヤ顔で説明してんのよ! とのルカのツッコミに他の全員も同感で、だがしかし、ある意味マーベラスらしいかもな。 と満場一致で納得してしまったのも、また事実だった。 「てぇことで、ザンギャック本星をぶっ潰した頃に双児が生まれて、そっからしばらくバタバタしてたのと、ジャンが  赤ん坊を船に乗せんのは危ねえとか煩いんで、しばらくはリリィん時みたいに様子見してたんだが、最近ガキ共の  父親を騙る輩が出て来てな」 何しろ、第二王女とはいえ、エスメラルダはエメラル鉱石の産出星としても有名な大惑星のため、エメラナの子供達の 父親については、リリィが産まれた当初から度々取りざたされており、エメラナ自身が頑なに口を割らないことから、 様々な憶測が飛び交っていた。しかし、そのほとんどを、エスメラルダ王家や、護衛のジャンボットやミラーナイトなどが 否定していた為、噂や憶測のままでいたが、最近では「自称子供達の父親」が、ゴシップ誌などのインタビューに答える ことがあり、ジャンボット達の苦渋の選択の結果。全てを明らかにするために、今回の狂言誘拐と相成ったとのことだった。 そして、エスメラルダ星に辿り着く直前。 「リリィを連れてる以上は、無茶はして来ねぇとは思うが、念の為応戦準備はしとけよお前ら!」 「は? どういうこと!?」 「言ったろ。俺は、エスメラルダの護衛艦と、鏡の騎士と、ついでに炎の海賊の用心棒や光の戦士に、ぶっ殺されても  おかしくない。ってな!」 「まさかお前、自分の娘を人質扱いする気か」 船長の宣言に、またも他のメンツは耳を疑ったが、マーベラスは一欠片も悪びれることなく、 「エメラナの願いだから仕方なしに認めてはくれたが、すんなり渡す気は無いらしいからな。人質だとは思ってねぇし、  そこまで激昂してねぇとは思うが、一応な」 と言い切った。 結果的には、迎撃されることなくエスメラルダ付近まで近付くことが出来、計画の最終確認も兼ね、一旦マーベラス1人で 忍び込むこととなったが、ガレオンに戻ってきたマーベラスは、何やら満身創痍になっていた。 ☆ 慣れた手順でエスメラルダの王城に侵入し、エメラナの居室に辿り着くと、そこでマーベラスを待ち受けていたのは、 「兄貴!? ……な訳ねぇな」 自分と同じ癖っ毛で、昔のように見上げる程ではないが、自分より背の高い、懐かしい人物ーランーは、故郷を離れた時には、今の自分よりも歳上だった筈が、目の前に居る彼は、今の自分よりも若い。そして、彼がこの位の年だったのは、 「まさか、ゼロか」 「ああ。折角なんで、ランの姿を借りた」 何の為に。とマーベラスが問う前に、ランならしないであろう、ニヤリとした笑みで、出会った頃のランの姿をしたゼロは、 グルグルと腕を回しながら、 「ジャンナックルだろうがミラーナイフだろうが、普段の俺らが攻撃食らわしたら、間違いなくお前死ぬだろ?  だから、俺がジャンとナイトとナインと、ついでにグレンの分も、まとめてぶん殴るのを任されたんだ」 と説明した。 確かに、4〜50m級の巨人相手に、生身の自分では、仮にゴーカイジャーに変身した所で、勝ち目は無い。そして、人間態を 取れる上に、かつての兄の姿で精神的ダメージも与えられるゼロが、エメラナの保護者というか親衛隊ポジション代表で 一発食らわすのに、最も適しているのは解る。だがしかし、黙って殴られてやる程、謙虚な性格はしてないんでな! ということで、応戦した結果。結構善戦したが、「レオ師匠の特訓舐めんな」なゼロの方が、若干肉弾戦慣れしていた ようで、最後は見事、既視感を覚えるパイルドライバーを決められた。 そんなこんなで第一関門を突破し、ミラーナイトに鏡でガレオンを隠してもらうよう協力も得られたが、小一時間説教を 食らった。その説教が、まるで妹を嫁がせる兄のようなので尋ねると、 「話したことが無かったですか? 私の母様は、エスメラルダ人で、エメラド陛下の姉君ですよ」 とのことで、ようはエメラナの従兄であり兄代わりでもあるので、エメラナに何かあった場合は、ジャンボット並か それ以上に容赦はしない。との意味が込められていたことが分かった。 そして、最大の難関であるジャンボットは、一発食らわすのはゼロに任せ、説教もナイトに任せたからか、開口一番 『ナオ。いや、マーベラス。私は、もうお前を、素直で健気だったナオとは思わん』 と宣言すると、 『いいか、マーベラス。私個人は、貴様を決して認めも許しもしない。けれど、これが姫様達の望み故に、見逃して  やるのだ。そのことを肝に銘じ、命に代えても姫様達をお護りするのだぞ!』 「ハッ。たりめぇだろ。俺は海賊だ。欲しいもんは全部手に入れるし、手に入れたお宝は、ぜってぇ手放さねぇよ」 とのやり取りを経て、ようやくエメラナと双児との対面が適った。 「ご苦労様です、ナオ」 「別に。予想はしてたし、大変なのはこれからだろ」 「そうですね」 「にしても、相っ変わらず固いな、ジャンのやつは」 「ジャンは鋼鉄の武人ですもの」 「いや。そういうこと言ってんじゃねぇし」 この天然な所に、癒されると同時に、苦労させられるんだよな。と思いつつ、 「マジで、俺と来て良いんだな」 と、マーベラスが最後の確認を取ると、エメラナは、かつて動力室に身を投じた時よりもはっきりと、 「わたしが一度決めたことを譲らないのは、ナオもよくご存知でしょう」 と笑った。 ☆ 決められたシナリオではあるが、 「姫様達が乗船している以上、危害を加えることなど出来ない」 ということで、ジャンボット以下誰もガレオンに攻撃出来ず、アレコレ裏技も使って無事に逃げおおせた後。改めて、 仲間達にエメラナと双児達を 「俺の嫁のエメラナと、ガキのルビィとサフィだ」 と説明し、エメラナが 「エメラナ・ルルド・エスメラルダと申します。この子達は、ルベノ・エメリー・エスメラルダと、サフィーロ・エルー・  エスメラルダです。よろしくお願い致しますね」 と頭を下げると、マーベラスは、珍しく少し言い難そうな顔で、 「……俺の独断で、コイツらをこの船に乗せることにしたが、異論があんなら、お前らは船を降りても構わねぇからな」 と続けた。しかし、 「わたくしの目的はただ一つ。ファミーユ星の再建です。そのためでしたら、使える伝手は、海賊であっても利用致します」 「あたしの目標も変わってないけど、宇宙一や二番目で無くても、たっくさんお宝を集めれば良いのよね。だから、海賊  やってるのが、夢を果たす為の手段としては、一番手っ取り早いの」 「僕は、大それた目標も夢もないけど、多分この船でみんなのフォローをしてるのが、一番僕が僕らしくいられる気が  するんだよね」 「俺も、スーパー戦隊愛は不滅ですけど、みなさんにどこまでもお供するのが、今の夢なんで!」 「言っただろう。夢の果てまで付き合う、と」 と、誰1人として船を降りる気はなく、エメラナ達を新しい仲間として歓迎する。と答えたのみならず、 「それに、お姫様は2人目だし、戦えはしないけど、結構肝の据わったお姫様だ。って聞いてるしね」 「ええ。わたくしも、初めは足手まといでしたが、今では立派な海賊の一員ですもの。エメラナ様だって」 「というか、もうザンギャックには狙われてないから、滅多に戦うことはないだろうし、マーベラスを抑えられる人が  居てくれると有難いしね」 「確かに。エメラナさんの前だと、マーベラスさんて、どんな感じなんですか??」 「それは俺も気になるな。この傲岸不遜男が、アンタの前だと態度を変えるのか?」 等々、早くもマーベラスをいじるための材料と認識したようだった。 その後。エメラナの両親が孫の顔を見たがったり、ジャンボットが 『やはり、王族として一定の教育を受けさせるべきだ!』 と主張したことなどもあり、リリィと双児の弟妹達は、ガレオンとエスメラルダを行ったり来たりの生活を送ることに なったり、他の仲間達にも子供が産まれたり、エスメラルダ星や炎の海賊やアヌーを含む元レジスタンスなどの援助も あって、ファミーユ星の再建が実現に近付いたり、その他色々な出来事が起こったが、それはまた別の話。

前へ 一覧